社会・政治
共産・吉良よし子氏「“がんばろう” というときには、自然に口をついて出てきます」繰り返し観た『レ・ミゼラブル』劇中歌【国会議員の“自分応援”ソング】

日本共産党・吉良よし子参院議員。韓国の「ろうそくデモ」を呼びかけるTシャツを手に(写真・保坂駱駝)
テープがすり切れるほどリピートした曲、厚い“壁”にぶつかったときに聴いた曲――。音楽好き政治家に聞いた「自分のための応援ソング」。日本共産党・吉良よし子参院議員の一曲は、映画『レ・ミゼラブル』より『民衆の歌』だ。
「大学では、早稲田大学合唱団に所属していました。入学して出会った友人と一緒に勧誘され、人間関係がよさそうだったことが決め手です。大学には、より本格的で大規模な早稲田大学混声合唱団もあり、そちらにいらしたのが田村智子委員長だったんですよ(笑)。
幹部学年の3年次には、先輩にその気にさせられて、指揮者に立候補しました。高校まで習っていたピアノで伴奏を務めることはよくありましたが、指揮をするのはまったくの未経験。無我夢中で取り組みました。
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合唱団では、毎年、異なる場所で9泊10日の合宿をおこない、コンサートの会場探しからチケット販売までを自分たちでするんです。現地の早大卒業生の支援を得たり、団員のみんなと心をひとつにしたり――。このときの達成感が、私の政治家としての原点になったのかもしれません。
音楽好きの家庭に育ちました。祖母や叔父は音楽教師で、父の趣味はジャズ鑑賞。弟は音大を卒業してジャズドラマーになりました。家族でよく、『ウエストサイド物語』や『サウンド・オブ・ミュージック』などのミュージカル映画を観ましたね。
『レ・ミゼラブル』は2012年の公開時に観て、胸が熱くなるほど感動し、その後は何度観たかわからないほど。蜂起したパリ市民が政府軍と衝突する場面で歌われる『民衆の歌』は、英語で覚えてしまったくらいです。翌年の参院選に出ることはもう決まっていて、当時は作品にとても鼓舞されました。今でも “がんばろう” というときには、この曲が自然に口をついて出てしまいます。
2011年の東日本震災で福島第一原子力発電所の事故が起き、2012年6月の関西電力大飯原発の再稼働反対官邸前デモには、数万人が集まりました。政治を変えようと思えば変えられると体感していた時期に出会った、まさに革命歌なんです。
『民衆の歌』は、コロナ禍で自宅待機を余儀なくされた時期に、『Shows at Home』というプロジェクトでミュージカルスターたちが歌った曲でもあります。“みんなで力を合わせよう”というとき、選ばれる歌だと思うんです。
韓国では、2016年に朴槿恵(パク・クネ)政権退陣を要求した『ろうそくデモ』や、2024年12月の戒厳令発布に際してのデモで、少女時代の『Into the new world』という歌がテーマソングのように使われました。歌詞を見ると、ただのラブソングではなくて、連帯を促し“みんなで乗り越えていこうね”という呼びかけに聞こえるんです。
実況中継を見ていたら、ほかにもBTSやaespa、SEVENTEENらの曲がデモ現場で流されていました。興味深く思ったのは、若者たちがみんなペンライトを持ったり旗を振ったり、なんだか楽しそうなこと。そんなデモが日本にもあってもいいのに、と思いました。そのための“民衆の歌”が、J-POPからも生まれてほしいですね」
きらよしこ
高知県高知市出身 早稲田大学第一文学部卒業 2013年に初当選し、ブラック企業対策や学費無償化などに取り組む