社会・政治
自民党 都議選惨敗で浮上する「両院で少数与党」の可能性…参院選のカギは国民民主を躍進させた「支持政党なし保守層」に

石破茂首相
都議選直前の各社世論調査では、自民党の政党支持率は回復傾向にあった。世論調査の正確性に定評がある時事通信社が6月13日〜16日におこなった調査では、7月に予定されている参院選の比例区投票先を聞く項目で、自民は5月の調査から4.8ポイント増の24.5%だった。
「こうした世論調査の結果を知って、党内には安堵が広がっていました。小泉進次郎農水相のおかげでコメの価格も落ち着き、石破首相が打ち出した全国民への2万円給付も、評判は悪いながら『国民は必ず理解してくれる』と……。
しかし、フタを開けてみれば、我が党は歴史的大敗となる過去最低の21議席。支持率アップの数字はメッキで、それが剥がれてしまったのでしょうか」(自民党職員)
なぜ自民は惨敗を喫したのか。与野党問わず、国会議員から聞こえてくるのは、「これまでは消去法で自民に投票していた『支持政党なし保守層』が、こぞって国民民主に流れてしまったため」という声である。
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「時事通信社の世論調査では、参院選の比例区投票先が国民民主は5.2ポイントの大幅減で6.0%でした。これは自民とは対照的な結果です。しかし、同党は都議選で議席なしから9議席を獲得しています。
そのカラクリは支持層にあります。国民民主の支持者の多くは、税金などががっぽり取られて給料の手取りが少ない『30代男性』です。これまでは『選択肢がないから』と自民に投票してきた人たちが、熱烈な支持者となり国民民主に投票しています。世論調査で支持率を下げたのは、女性支持者が離れたからと見られています。
そのおもな理由は、参院選立候補者として公認しながら取りやめになった山尾志桜里さんに対する嫌悪です。不倫疑惑、ガソリン代の不正請求、JR無料パスの不正使用などに女性有権者は改めてノーを突きつけたのです。この『山尾ショック』がなければ、あと2議席は上乗せできたとも言われ、11議席になれば、国民民主が単独で条例案を提出できることになりますから、党としては残念なことでしょう」(政治記者)
参院選まであと1カ月。構図はこのまま変わらないのだろうか。
「国民民主は2024年10月の衆院選の勢いが今でも続いていることがはっきりしました。有権者は『勝ち馬に乗ろう』という心理が働きますから、『支持政党なし保守層』が自民から国民民主に流れる可能性は高いと思います。
今回改選となるのは自民52議席、公明党14議席の計66議席。このうち50議席を獲得すれば参院全体で過半数になりますが、都議選の結果を見ると、黄信号が点灯し始めたようです」(前出・政治記者)
自民党の「衆参両院で少数与党」という現実が目の前に……。