社会・政治
吉村府知事 「再生の道」石丸氏擁護に「あり得ない」党内から怒りの声“敵に塩”で結束に危機

万博のPRに必死の吉村知事
日本維新の会代表の吉村洋文・大阪府知事が6月24日夜に自身のXに投稿した内容に、党内部から批判の声が出ている。
投稿では、6月22日の都議会議員選挙で42人の立候補者が全員落選した地域政党「再生の道」の石丸伸二代表が批判されたことについて言及。吉村氏は《ここぞとばかりに、石丸氏を揶揄したりバカにしたりする意見に溢れているが、いずれ痛い目にあうだろう》とポストした。
翌25日の大阪府庁での定例会見で、この投稿についての真意を聞かれた吉村氏は石丸氏について「特に僕自身が感じたことを発信したというところです。思うところを率直に発信したというところに尽きます。二元代表制を掲げて都議選を戦って、結果は当選する人はいませんでしたけれども、その戦い方と得票もみても僕はすごいなあと思いますね」と一定の評価を語った。
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さらに吉村氏は、「当初都知事選に出たころから、多極の成長型国家を目指すというなかで都知事選に出られて、おっしゃっていることは1本筋が通っているというのが僕の見方です。それは今も変わってないです」と石丸氏を持ち上げた。
石丸氏を評価する吉村氏の姿勢にある維新の関係者は、「ウチは7月20日の参院選の東京選挙区と比例代表で『再生の道』と競合するのに、代表でもある吉村さんが石丸氏を持ち上げるなんて何を考えているのか。敵に塩を送るなんてあり得ない」と怒りを隠せないようだ。
政治担当記者が言う。
「党としての政策がない状況で『再生の道』は全員落選しましたが、定数3の墨田区では3位の自民党候補の18777票に迫る16880票で次点となり、同じく定数3の豊島区でも3位の公明党候補の17524票に迫る16933票で次点でした。
一方の維新は、現職1人を含む6人を擁立しましたが全員が落選。次点にも入らずに惨敗でした。都議選に限って言えば、立候補者数の違いはあるものの維新に比べて再生の道は健闘したと言えるのではないでしょうか。そして、参院選では再生の道とも競い合うわけですから、競合相手を自党のトップが褒めることは維新関係者としては複雑な気持ちになるのは当然だと思いますけど…」
吉村氏と石丸氏の関係が近いことは以前から指摘されていた。2024年9月、YouTubeチャンネル「ReHacQ-リハック-」で吉村氏と石丸氏が対談した際も、維新内部から批判が起きていた。
対談の議題は、同年7月の橋下徹氏によるXへの次の投稿が前提となった。
《今の維新国会議員は完全に古い政治の象徴やからね。領収書の非公開を主張するわ、政治は飲みニケーションだというわ、旧文通費の使途制限や野党予備選から逃げるわ。石丸さんに国政維新をぶっ壊して無党派層を引き付ける新しい第三極を作ってもらうのが日本の政治のためやろうね》
議論の中で石丸氏は「野党は一本化のために予備選をやるべき」とし、仮に自身が維新の代表なら“野党予備選”を公約にして次期衆院選を戦うと主張。それに乗らない野党は「片っ端から殲滅していけばいい」「(そういう)戦略を僕ならゲーム的に考える」と語った。
「それを聞いた吉村知事は『(石丸氏の発言は)カットしてもらって僕の発案に』と、前向きな態度を見せました。その後、『馬場(伸行共同代表・当時)さんに刺客を送りたかったら、大阪17区で出ますよ』という石丸氏の発言などにも合いの手を入れながら、うなずいていたんです」(前出・政治担当記者)
当時、維新の関係者は、吉村知事の迷走ぶりに怒りを隠せなかった。
「吉村知事は何をやっているのでしょうか。都知事選で維新に頭を下げに来たくせに“ステルス支援”じゃなきゃいやだと駄々をこね、敗戦後には維新を批判している石丸氏にすり寄るようなもので理解不能です。総選挙に向けて、いまは党内が結束しなければならないときだというのに、馬場代表を批判し、国会議員団への攻撃を強める橋下氏や石丸氏まで持ち出して“身内”たたきにいそしむなんて……」
さらにこう続けていた。
「国政を知らんぷりできる橋下氏や吉村氏による石丸氏との連携は、いまの維新の会を解体し、“新たな維新”を立ち上げようとする動きの前兆だと見ています。反党行為とまでは言いませんが、明らかに分党行為ですよ」
6月13日〜16日の時事通信社の世論調査では、維新の政党支持率は前月比で0.7ポイントダウンの1.6%という惨憺たる結果になっている。吉村氏は25日、参院選の目標について「候補者全員の当選と与党の過半数割れ」と述べたというが、かなり厳しい情勢だ。はたして“痛い目”にあうのは誰になるのだろうか。