
自民党の森山裕幹事長
参議院議員選挙(7月3日公示、7月20日投開票)まで残り3週間と迫るなか、6月29日、自民党の森山裕幹事長が奈良県五條市で講演。そこで、野党を牽制する発言が飛び出した。
森山氏は物価対策をめぐり、野党が消費税の税率引き下げや廃止を主張していることについて「正直な政治をして、本当の状況を話して、国民に選択してもらいたい。ポピュリズムの政治に陥ることがあってはならない」「政権の選択を間違ってはたいへんなことになる」などと話したという。29日、NHKが報じた。
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参議院議員の定数は248で、今回の参院選では改選124議席と、東京選挙区の欠員1人を補充する補欠選挙もおこなわれるため、計125議席が争われる。今回、選挙のない非改選議席数は自民党と公明党、合わせて75あるため、20日の選挙において自公で50議席を獲得すれば、森山氏が掲げている目標の「与党過半数」に達する。
政治担当記者が言う。
「自民党が実施した5月の情勢調査では、自民党が49議席、公明党が12議席の合わせて61議席と、余裕で過半数に達するという読みでした。しかし、都議選での自民党の大敗ぶりを見ると、状況は変わりつつあるようです。詳細は不明ですが、6月の情勢調査は自民党にとっては悪い結果が出たようですから、森山幹事長もあせっているのではないでしょうか」
自民党のベテラン秘書もこう言う。
「いま、党内では自公で45議席くらいまで落ち込むかもしれないという予測もあります。過半数ギリギリの50議席を獲れれば、万々歳という感じです」
参院選を直前に控え、自民党にとっては厳しい情勢がつづくなかで、森山氏が「政権の選択を間違ってはたいへんなことになる」と発言したことが報じられると、Xでは森山氏に対する皮肉の声が続々とあがっている。
《30年以上衰退してきましたからね、こんな国は世界中探してもありません。》
《どうやら30年間間違えていました》
《国民が選択を間違った結果G7で唯一不景気な国になってしまった。》
《自公を選択してきた間違いのせいで大変なことになっているもんね…》
1990年代初頭のバブル崩壊から現在までの間、民主党政権だった2009年9月~2012年12月までの3年3カ月を除き、約33年間、自民党は政権与党として国のかじ取りを任されてきた。
前出の秘書が言う。
「バブル崩壊以降、日本経済は低迷が続き、世界2位だったGDP(国内総生産)は2023年にドイツに抜かれて4位になっています。GDPを人口で割った1人当たりGDPは、2022年にイタリアに抜かれ、G7で最下位になるとさらに落ち続け、2024年には韓国の33位に対して日本は38位まで順位を下げました。
こうした“失われた30年”などの間、ほぼ自民党が政権を担当してきましたが、経済を好転させることができない状況が続いてきました。2024年度に入り、ようやく賃金は上昇傾向に入りましたが、物価高対策がうまく機能せず、実質賃金はここ4カ月連続で前年比マイナスが続いています。長年にわたり、こうした経済面で効果的な対策を打つことができなかった自民党のふがいなさに対して、有権者はいら立ちを募らせているのだと思います」
「政権の選択を間違ってはたいへんなことになる」という森山氏の発言は、いままさに“ブーメラン”として自民党に返ってきているようだ。