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トランプ大統領、イラン爆撃に続いて北朝鮮攻撃はあるのか… “対岸の火事” とは言えない日本に迫る「核の脅威」

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記事投稿日:2025.06.30 16:03 最終更新日:2025.06.30 16:03
出典元: 週刊FLASH 2025年7月15日号
著者: 『FLASH』編集部
トランプ大統領、イラン爆撃に続いて北朝鮮攻撃はあるのか… “対岸の火事” とは言えない日本に迫る「核の脅威」

オランダ・ハーグで開かれたNATO首脳会議の記者会見で話すトランプ米大統領=6月25日(ロイター=共同)

 

アメリカがイランの核施設を爆撃」の一報が、世界を駆けめぐった。6月22日におこなった “先制攻撃” を、トランプ大統領は「イランの核の脅威を阻止するため」と正当化したが、国際法をフル無視した行動に世界各国から非難の声が上がっている。

 

 今回のアメリカの攻撃を “対岸の火事” とは言えないのが日本だ。イランと同様に「核の脅威」がある北朝鮮に対して、トランプ大統領は “攻撃” をする可能性はあるのか――。

 

 

「トランプ大統領は第一次政権の2017年末から2018年にかけて、実際に北朝鮮を攻撃することを検討していました。金正恩総書記を『ロケットマン』と呼んでいたころです。このときは、側近が止めたと言われています。北朝鮮の反撃で韓国と日本が火の海になるためです」と、国際情勢に詳しい上智大学総合グローバル学部の前嶋和弘教授が解説する。

 

 となると、「イランの次は北朝鮮」とトランプ大統領が考える可能性は高そうだが、前嶋教授は「アメリカは今、北朝鮮を攻撃できません」と断言する。

 

「今回のイラン攻撃を受けて『北朝鮮は震え上がっているでしょうか』という質問を受けるのですが、イランと北朝鮮では、状況が違います。

 

 アメリカ本土への攻撃手段がないイランに対して、北朝鮮は現在、アメリカ本土が射程に入るICBM(大陸間弾道ミサイル)と核を保有しています。トランプ大統領もそれを認めていますし、北朝鮮とロシアとの関係もこれまで以上に強固なので、ミサイル攻撃には慎重にならざるを得ません。

 

 第一次トランプ政権で北朝鮮の核削減交渉をまとめられなかったアメリカは、機会を逸してしまったのです。北朝鮮に核兵器と長距離ミサイルの開発の時間的猶予を与えてしまいました。残念ながらすでにどちらも完成状態というのがアメリカの見方です」(前嶋教授)

 

 アメリカによる北朝鮮へのミサイル攻撃は、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏も「”平時” にはない」と話す。だが、トランプ大統領は就任以来、予測しがたい言動を繰り返している。今が平時だとは、誰も断言できない。

 

 もし、アメリカが北朝鮮を攻撃した場合、どのような事態が予想されるのか。黒井氏は分析する。

 

「米軍は、空軍が三沢基地から、海兵隊戦闘機が岩国基地から出撃する場合が考えられます。その際は、両基地が北朝鮮の通常弾頭弾道ミサイルの標的になる可能性があります。

 

 第7艦隊の拠点の横須賀基地も標的になります。沖縄の海兵隊に出動の動きがあれば、沖縄および揚陸艦の出撃拠点である佐世保海軍基地も標的になるでしょう。通常兵器での戦争であれば、以上が標的として考えられます。

 

 ただし、金正恩政権が打倒される瀬戸際になれば、もう自暴自棄で核ミサイルを使う可能性もありえます。その場合は、より大規模な効果が期待できる東京都心が狙われるでしょう」

 

 最悪のケースでは、東京に核が落とされるという、恐怖のシナリオが考えられるのだ。

 

 また、トランプ大統領が北朝鮮を攻撃しないとしても、別の脅威が進行しているという。前出の前嶋教授が語る。

 

「トランプ政権に近い人の一部は『北朝鮮の核保有を認めた上で交渉せざるを得ない』と語っています。そのうえで『核とミサイルの保有数は少なくしろ』と交渉しようと考えているのでしょう。

 

 そのとき心配されるのが『核ドミノ』です。中国、ロシアに加え、北朝鮮も核を持つとなると、国民の半数以上が『核を保有してもいい』という意見の韓国も、核を持つことになるかもしれない。

 

 さらに、政権に近い別の人物は『日本の核保有も認めていい』と言っています。私もアメリカのニュースメディア『ポリティコ』から『日本に核を持たせたらという議論があるが』と聞かれました。

 

 私は『日本は議論できるレベルではない。唯一の被爆国として認められるわけがない』と回答しましたが、アメリカではこうした動きも出ているのです」

 

「核の脅威」はすでに迫っている。

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