社会・政治
山尾志桜里氏 “無所属”で出馬再会見、国民民主党へのリベンジ否定も…組織票ナシ、主張は「憲法と皇室」の厳しい現実

2025年7月1日、都内で会見を開き、参院選への立候補を表明した元衆院議員の山尾志桜里氏(写真・長谷川 新)
7月1日、元衆院議員の山尾志桜里氏が東京・吉祥寺駅近くの選挙事務所で会見し、参院選(7月3日公示、7月20日投開票)の東京選挙区に無所属で立候補すると表明した。
国民民主党は5月14日、山尾氏を参院選の比例代表候補として公認したが、6月11日、国民民主党は両院議員総会で、山尾氏の公認を取り消した。山尾氏は前日の10日に出馬会見を開いたばかりだった。
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山尾氏をめぐっては、衆院議員時代のガソリン代の不正支出、JR無料パスの私的利用、そして弁護士の倉持麟太郎氏とのダブル不倫問題が再浮上し、SNSなどを中心に出馬に対する批判が殺到。同時に山尾氏を公認した党への批判の声も高まっていた。
「6月11日の取り消しの翌日に山尾氏は声明文を発表し、10日の出馬会見に玉木雄一郎代表と榛葉賀津也幹事長の同席を希望したものの『辞退会見であれば同席する』と言われたことを暴露しました。これによって、玉木氏が山尾氏の会見前にすでに公認取り消しを決めていたと思われることが発覚し、玉木氏に対しては『ひどい仕打ちだ』などという批判が起きました」(政治部記者)
参院選の東京選挙区では、改選数6に加え、欠員補充1の計7議席を争う(補選との合併選挙で7位当選者は任期3年)。
国民民主党からは元NHKアナウンサーの牛田茉友氏と元IT会社社員の奥村祥大氏の新人2人が立候補の予定だが、同党と山尾氏の間にはそうした経緯があるため、1日の会見では、報道陣から「(2人の立候補者のうちの)どちらかを落とすこともあるかもしれないが、リベンジ(復讐)か」と聞かれた山尾氏は「リベンジという考えはまったくない」と否定した。
また、過去の不倫問題については6月10日の会見と同様に口を閉ざした。
山尾氏は1日の<出馬会見のご案内>でも、「いわゆる過去の私生活に関する報道については、既に6月10日の会見において質問が尽きるまで回答を重ねており、また、関係者のプライバシー等の侵害につながりかねない新たな発言は行えない旨を含め、本人の考えを示させていただいております」などと釘を刺していた。
「山尾氏は、女性天皇の容認や憲法改正による安全保障の実現などを訴えていきたいと話していました。山尾氏自身も『憲法と皇室は集票も見込めないので選挙のたびに優先順位は下がる』と認めていたように、国民にとって優先順位は低いと思います。毎日新聞の6月の世論調査を見ても、参院選で各政党に期待する議論の分野については、物価対策、景気対策や社会保障問題など身近な問題が上位になっていますから、山尾氏の『憲法と皇室』の主張はかなり厳しいのではないかと思います」(同前)
東京選挙区の情勢について、政治部記者は「投票日まで残り2週間以上あり、3日からの選挙戦次第で状況は変わってくるとは思いますが」と前置きし、こう続ける。
「現状では、自民党新人で元スポーツ庁長官の鈴木大地氏、公明党新人で医師の川村雄大氏、共産党現職の吉良佳子氏、国民民主党新人の牛田茉友氏、立憲民主党現職の塩村文夏氏の5人が当選圏内とみられています。残り2議席を支持率が急伸している参政党新人で歌手のさや氏、自民党現職の武見敬三氏、れいわ新選組新人で元衆院議員の山本譲司氏、日本維新の会の元参院議員の音喜多駿氏、国民民主党新人の奥村祥大氏などが争う状況です。山尾氏はこれといった組織票がないため、苦しい戦いになりそうです」(同前)
山尾氏の政治への執念は国民に響くのだろうか。