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危ない“盗撮講師”から子どもを守れるか? 出口保行氏がチェックする「進学塾10社の盗撮対策」

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記事投稿日:2025.07.14 14:50 最終更新日:2025.07.14 14:53
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
危ない“盗撮講師”から子どもを守れるか? 出口保行氏がチェックする「進学塾10社の盗撮対策」

東京未来大学こども心理学部長の出口保行氏(写真:本人提供)

 

 6月24日、名古屋市と横浜市の小学校教員が女子児童を盗撮した等の容疑で逮捕され、撮影した画像をSNSグループで共有していたと報道された。SNSグループには小中学校の教員ら約10人が参加していたとみられる。

 

 その後も教員による盗撮事件は後を絶たず、7月1日には所沢市の小学校教員も逮捕されており、阿部俊子文部科学相が「子どもたちの前からすぐ離れて、一刻も早く名乗り出てほしい」と呼びかける事態になっている。

 

 

 保護者に動揺が広がるなか、盗撮は学校だけではなく学習塾やスイミングスクール、習い事教室など子どもと大人が接点を持つ、あらゆる場所での危険性が指摘されている。実際、2023年8月に四谷大塚の講師による授業中の生徒の盗撮事件などが発生している。

 

 そこで本誌は夏休みを前に、大手進学塾の10社に「盗撮と性被害についての対策」などについての質問状を送付。表の回答が得られた。早稲田アカデミーについては質問状の回答自体を検討できないため、「質問状受け取り不可」の回答。ほか10社中の4社は設定した回答期限までに回答がなかった。また、日能研については過去、全ての教室に監視カメラを設置していると報道されている。

 

 この結果を踏まえ、犯罪心理学者で東京未来大学副学長兼こども心理学部長の出口保行氏に、盗撮被害を防ぐための対策を聞いた。

 

「人は動機を形成するとすぐに犯行に及ぶわけではなく『検挙される危険性の高さ(リスク)』と『失うものの大きさ(コスト)』の両方を考えて犯行を前に進めるかどうか判断します。そのうえで、まずは盗撮事案を起こしにくくする対処が必要です」と指摘する。

 

 盗撮や性犯罪を犯せばすぐにバレる状況をつくり、それらの犯罪を犯すことで刑罰に加えて社会的にもいかにマイナスになるかを周知する必要があるというわけだ。

 

 そのために、ハード面では「視認性の確保」と「防犯カメラなどの設置」、ソフト面では「採用時のスクリーニング」と「採用後の職員研修・啓発研修」が最低限度必要だと言う。

 

「室内が見えやすくなる大きな窓の設置、防犯カメラなども『犯行をいかに思いとどまらせるか』という視点から、作動していることが誰にでもわかるように設置することが効果的です」と語り、四谷大塚やSAPIX、栄光ゼミナールの対策を評価した。

 

 また、「採用時のスクリーニング」については、学校などで子どもと接する仕事に付く人に性犯罪歴がないか確認する制度「日本版DBS」の施行が2026年を目途に予定されている。ただし、現在のところ学習塾に参加義務はなく、任意での参加とされている。そのため、独自の採用基準を設けている四谷大塚や栄光ゼミナールのような対応が求められるという。

 

 今回の取材では数社から回答が得られなかったが、そうした進学塾も含め、出口氏は「各社の取り組みが一層前進することを期待しています」と施設側の対応の重要性を語った。

 

 子どもたちが安心して勉強できる環境の整備を期待したい。

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