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勢い増す参政党、なぜ“普通の主婦”が取り込まれるのか「きっかけは“オーガニック信仰」専門家が明かす“不安の連鎖”

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記事投稿日:2025.07.18 13:30 最終更新日:2025.07.18 14:22
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
勢い増す参政党、なぜ“普通の主婦”が取り込まれるのか「きっかけは“オーガニック信仰」専門家が明かす“不安の連鎖”

6月27日、松本市で演説する参政党の神谷宗幣代表(写真・金谷千治)

 

 7月20日の参院選投開票日を前に、神谷宗幣氏が代表を務める参政党の支持者が拡大している。“日本人ファースト”を掲げる保守政党と位置づけられる参政党だが、若者や主婦など幅広い層から支持を集めているようだ。神谷代表は過去に「戦後は連合国軍総司令部(GHQ)によって、日本は自虐史観に洗脳された」「メディアも特定の勢力に牛耳られている」と、“陰謀論”とも取れる発言を繰り返し、2023年には「天皇陛下に側室を持ってもらい、たくさん子どもを作っていただく」などといった発言を繰り返してきた過去もある。

 

 いったいなぜ、これほど支持を広げてきたのだろうか。

 

「7月6日、『プレジデントオンライン』は、朝日新聞取材班による『「オーガニック妻」が知らぬ間にハマるターゲティングのうまさ…超積極財政を掲げて急伸する参政党の正体』というタイトルで、参政党の支持層ターゲティングを解説しました。そこでは、保守王道、ワクチンへの陰謀論、オーガニック重視といった層に対し、それぞれ訴求力を持っていると分析しています。とくに、オーガニックに傾倒している主婦は多く、ここを入口に参政党に賛同する人が多いと報じていました」(社会部記者)

 

 漫画『ママ友は「自然」の人』(竹書房)の原作者で、『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)などの著作を持ち、スピリチュアルやオーガニック信仰を持つ人々に詳しい、ライターの山田ノジル氏も、この分析に賛同する。

 

「記事が解説しているとおり、主婦層を取り込む一因に“オーガニック信仰”があるのは間違いないでしょう。政策で『化学的な物質に依存しない食と医療の実現』を打ち出しているので、当然、有機農法や無添加食品を選択する層への訴求力は強いです。自分の周囲でも、生活クラブや雑誌『クーヨン』を好む主婦が、『今回は参政党に入れる』と言い出し始めている人たちがいるのを確認しています」(山田氏・以下同)

 

 

 子どもや家族の健康を第一に考える主婦たちは、できるだけ健康的で安全な食品を求める傾向が強い。もちろんそれは素晴らしい理念だが、健康や安全をうたうビジネスは昭和の時代から後を絶たない。

 

「子を持つ親世代の一部が、添加物や農薬を不安視する一因には、それが“病気や障害の原因”と過剰にあおる商売の存在があるからです。それらは疑似科学、ニセ医学の領域です。コロナ禍を経て、社会全体の“健康意識”が高まっています。

 

 ただでさえ重い病気にかかったとき、人は“犯人探し”をしたくなるもの。原因が明確になれば、気持ちの落としどころも生まれます。共通の敵がいれば、コミュニティの絆も深まります。『真実に気づいた』という高揚感もあるでしょう。その結果、『農薬や添加物は怖い』と誘導され、取り込まれていくのです。

 

 しかし、根拠の薄弱な話をベースにした極端な生活は、家庭を含むコミュニティのなかに分断が生んでしまいます。今回、原作を担当した漫画のなかでは、不安を抱えたお母さんの受け入れ先を『育児サークル』にしていますが、これを参政党に置き換えても成立します。そういう“分断された人たち”によって、参政党が支持されている部分もあると思います。もちろん、参政党を支持することで“分断される”という、逆ルートもあるでしょう」

 

 参政党の公式サイトでも、政策の「二の柱」として「国民に健康と食の価値」をうたっている。

 

「なんとなく不安に思っているところに、力強く断言されてしまうと、説得力を感じてしまいますよね。自分の趣味嗜好でオーガニックを選択するのは問題ありません。しかしそれが、政党支持につながる形で取り込まれて、排外主義へと誘導されていく流れには、不安を感じます。今回の選挙ではあまり前面に出していませんが、参政党はこれまで、いわゆる“陰謀論”も大いに利用してきました。とくに設立初期は、コロナ禍での反ワクチンが柱だった印象です。当時、キャッチーで需要が大きかったという理由はあると思いますが、それも“いま、言わない”だけで、党の理念として消えているわけではないでしょう。反科学的なメンバーが別の政党へばらけていったことで、間口がより広まった感じもあります」

 

 子どものことを何より考える母親たちが、不安の“犯人探し”をあおられ、農薬や添加物、医療が悪い、ひいては現状の国が悪い、といった意識に誘導されていく、というのが山田氏の考えだ。

 

「“敵”を見つけることで、怒りと同時に心が安らぐ、癒やされるということもあるでしょう。陰謀論などもそうですよね。自分たちが不遇な境遇にいるのは、闇の力のせいなんだというナラティブ(物語)を味わい、癒やされる。しかし、そうして同志と盛り上がった結果、“不安ビジネス”に吸収されていってしまう。批判されてすぐに引っ込めましたが、参政党では候補者が過去に『大調和波動米』を買う権利を350万円で売ったり、関係者がジャンボタニシ農法を視察したりするなど、“トンデモ”な話題にこと欠かない状況です。いまは“日本人ファースト”の排外主義を前面に押し出していますが、数ある政策のひとつひとつを精査しているようにも見えず、コロコロと主張が変わっていく点にも、票集めの意図を強く感じます」

 

 主婦たちがオーガニックや排外主義を支持する背景に、家族を思う心があるのは間違いない。

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