社会・政治
【参院選】「33万票で落選」いるなか「5000票で当選」の“珍現象”ほぼ“当確”の「特定枠」について本人に見解を聞いた

5000票で当選した舞立昇治参院議員(写真・共同通信)
「選挙制度だから仕方ない」といわれればそれまでだが、7月20日におこなわれた参議院選挙で「5000票で当選」という事態が起き、有権者を驚かせている。
「自民党から比例代表の『特定枠』で立候補して、3回めの当選を果たした舞立(まいたち)昇治氏です。『5000票当選』は、7月21日に共同通信が報じました。
舞立氏は2013年の参院選に『鳥取県選挙区』より自民党公認で出馬、初当選しました。その後、2019年の参院選では、『島根県選挙区』と合区になった『鳥取島根選挙区』に自民党から立候補して再選。このときは約3万3000票を獲得しています。
今回、自民党は同じ区から元島根県議の新人候補の擁立を決めたため、舞立氏は特定枠の第1位になっていたのです。同じく自民の特定枠で立候補した福山守元衆院議員は、6000票で当選しています」(政治ジャーナリスト)
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「5000票で当選」の背景には、この「特定枠」という仕組みがあったということだ。
「参院選の比例代表では通常、候補者が得た個人名票の多い順に当選していきます。ただし『特定枠』を使うと、そういった候補者より優先的に当選できるのです。比例代表で票数を得られる自民党レベルになると、ほぼ『当選が確約されている』といえるでしょう」(政治ジャーナリスト)
ちなみに、今回の参院選比例代表の当選者で、もっとも多く個人名票を獲得したのは、日本保守党の北村晴男氏で97万5000票だった。
また、政治団体「NHK党」の浜田聡氏も比例代表候補として33万5000票を獲得したが、議席に届かなかった。なんとも不可思議なことが起きる比例代表制度。舞立氏ご本人はどのような感想をお持ちだろうか。
事務所に問い合わせると、文書で「比例代表の特定枠名簿登載者は、名簿登載者個人としての選挙運動をおこなうことができない制度となっているため、個人の得票はできる限り生じないようにすることが制度の趣旨と考えております」との回答があった。
同じ参院選候補者でも違いが生じる現在の制度。腑に落ちない国民も多く、あらためて国民的議論が必要なのではないだろうか。