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石破首相、自民党内から「辞任」求める声噴出のなか“続投”再表明 すがる理由は「世論調査」と「TICAD」

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記事投稿日:2025.07.29 18:50 最終更新日:2025.07.29 18:50
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
石破首相、自民党内から「辞任」求める声噴出のなか“続投”再表明 すがる理由は「世論調査」と「TICAD」

参院選の開票結果を待つ石破茂首相(写真・JMPA)

 

 自民党は7月28日午後3時半から、党本部で両院議員懇談会を開いた。当初2時間を予定していたが、4時間半の長丁場となり、石破茂党総裁(首相)の続投を支持する声も一部に出たが、辞任を求める声が多くあがった。

 

 石破氏は冒頭で「多くの同志のみなさま方、議席を失うことになりました。深くお詫びを申しあげます」と、参院選で惨敗したことを謝罪。

 

 しかし、日米関税交渉について「合意の着実な実行ということに私どもとして全力を尽くし、万全を期したい」と述べ、「けっして政治空白を生むことがないよう、責任をはたしてまいりたい」と、続投に理解を求めた。

 

 

 また、森山裕幹事長は、参院選の結果を分析するため党に総括委員会を設置するとし、8月中に報告書を取りまとめたいとしたうえで「報告書がまとまった段階において、幹事長としての自らの責任については明らかにしてまいりたい」と、辞任を示唆した。

 

 政治担当記者が言う。

 

「次期総裁選にも立候補するとみられている小林鷹之元経済安全保障担当相や青山繁晴参院議員などから退陣を求める声があがり、一方で、船田元衆院議員からは続投を支持する声があがったようですが、退陣を求める声の方が多数派だったようです。

 

 懇談会終了後に報道陣から『続投方針に変わりはないか』と聞かれた石破氏は『ございません』と、あらためて続投の意思を示しました。また、自らの責任問題については『国民世論とわが党の考え方が一致することが大事だと思っている。そういうことも総合的に踏まえて適切に判断したい』と話しました」

 

 両院懇談会は、党としての議決がおこなわれないために「ガス抜きに終わる」(自民党ベテラン秘書)との批判が出ていたのだが、29日に自民党は党の役員会で、重要事項の議決権がある両院議員総会を近日中に開催することを決定した。

 

 自民党ベテラン秘書が言う。

 

「両院議員総会は、党大会に次ぐ会議で重要事項の議決権がありますが、かりにこの総会で石破総裁への退陣を求めることが議決されたとしても、強制力がないため、石破さんが『辞めない』と言えばそれまで。辞めさせることはできません。

 

 石破さんを退陣に追い込むには、党則にある、いわゆる『リコール規定』しかありません。これは、党所属国会議員と都道府県連代表者の過半数が署名すれば、任期途中であっても総裁選を前倒しすることができるというもの。

 

 ただ、70年の自民党の歴史のなかで、このリコールが発動されたことはありません。その前に追い込まれて退陣するハメになってきたからです」

 

 石破氏が続投の意思を崩していないのは、最近の世論調査の影響もあるようだ。

 

「石破さんはひとことも『辞める』とは言っていませんし、続投の意志は固いままです。“石破おろし”も、参院選直後よりもややトーンダウンしている感があります。朝日新聞が7月26、27日に実施した世論調査では、石破首相は『辞めるべき』の41%に対し、『その必要はない』が47%と上回っています。

 

 また、毎日新聞が26日と27日に実施した世論調査でも、石破内閣の支持率は29%と低いままですが、1カ月前の調査から5ポイントアップしたのです。こうした世論調査の結果も、石破さんの続投の気持ちを後押ししているとみられています。

 

 ただし、25日に首相官邸前でおこなわれた『石破辞めるな』のデモは自民党以外の人たちがやっているわけですから、党のことは党で決めることから考えれば、『石破退陣へ』の流れはもう止められないのではないでしょうか。その流れは森山幹事長の辞任により、一気に加速すると思います」(同前)

 

 今後の政治日程は、参院選を受けて8月1日から5日まで臨時国会が開かれ、参院の議長、副議長の選出などがおこなわれる。8月6日には広島の平和記念式典、9日には長崎の平和祈念式典、そして15日には全国戦没者追悼式があり、首相はいずれも出席予定だ。さらに石破氏は、8月20日から横浜で開催されるアフリカ開発会議(TICAD)に意欲をみせているという。

 

 政治部デスクが言う。

 

「首相は、アフリカの首脳を招いて日本で開くTICADは必ず成功させたいと言っており、少なくともここまで退陣表明などはおこなわないと思います。立憲民主党が8月1日から5日までの臨時国会で内閣不信任決議案を出しそうにない雰囲気も、こうした動きを助けています。

 

 ただ、だからといって石破政権が何カ月も続くとも思えません。9月には自民党役員の任期が切れますが、党四役のなかでも『続投要請があっても断る』という幹部がいます。内閣改造・党役員人事ができない事態に追い込まれ、この少し前に退陣せざるを得なくなるとみています」

 

 自民党関係者もこう言う。

 

「TICADは各国の首脳との調整が終わっており、石破首相が出席しないという選択肢はないと聞いています。ですから、TICADが終わる8月22日までは退陣表明はしないはずです。逆に言えば、23日以降はいつ退陣表明してもおかしくないと思います」

 

 2024年9月27日、自民党総裁選で石破氏が決選投票で高市早苗前経済安全保障担当相に勝ち、第28代自民党総裁に選出されてから10カ月。もはや石破政権は風前の灯か。

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