社会・政治
世耕弘成氏の石破首相“退任要求”に国民総ツッコミ…自民「選挙連敗」のきっかけに旧安倍派“裏金疑惑”指摘する声

世耕弘成衆院議員(前参院幹事長)が、7月29日放送の『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)に出演。自身と萩生田光一元政調会長、西村康稔(やすとし)元経済産業相、松野博一前官房長官の旧安倍派幹部4人と会談した際に「(首相は)もう交代しなければいけないということは一致した」と明かした。4人は7月23日に会食していた。
旧安倍派をめぐっては、派閥のパーティー券収入を政治資金収支報告書に記載していなかった、いわゆる“裏金疑惑”が社会問題となり、のちに自民党の政権基盤を揺るがす状況へとつながった。
政治担当記者が言う。
「裏金疑惑発覚後、初の国政選挙となった2024年10月の衆院選挙において、自民党は選挙前勢力の247議席から191議席と大きく議席を減らし、少数与党へと転落しました。2025年6月の都議選でも、自民党は33あった議席を21まで減らし、大敗。そして7月の参院選で、自民党は改選議席52から39議席へと減らし、自公で50議席獲れば過半数に達するところ、47議席しか獲れずに、参院でも少数与党になってしまいました。
参院選では、“政治とカネ”の問題は物価対策や社会保障問題に比べ、争点としてはトーンダウンしていましたが、旧安倍派を中心とした自民党の裏金問題の影響がなかったとは言い切れないと思います」
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現在、参院選の大敗を受け、自民党では石破茂総裁への退陣要求が強まり、8月上旬にも両院議員総会を開くことが決まっているというが、自民党ベテラン秘書はこう言う。
「参院選前には、自公で45議席割れば石破さんの責任問題になるが、45議席獲れば石破さんだけの責任ではなく、自民党全体の責任という声が党内であがっていました。ですから現在、退陣を要求する議員らが多数派になっていることに、少しですが違和感を覚えています。
もちろん、党のトップとしての石破さんの責任は大きいとは思いますが、裏金問題に端を発した自民党への不信感を現在も抱いている有権者は少なくないと思っています。ですから、石破さんが辞めることになったとしても、党の体質を根本から変えない限り、党を再生することは難しいのではないでしょうか」
裏金問題をめぐっては、先の4人の政治資金収支報告書への不記載額は、世耕氏が1542万円、萩生田氏が2728万円、西村氏が100万円、松野氏が1051万円となっていた。
自民党は2024年4月に処分を決定し、世耕氏は離党勧告処分を受け、自民党を離党。西村氏は党員資格停止1年、萩生田氏と松野氏は党役職停止1年となった。
2024年10月の衆院選では、世耕氏、萩生田氏、西村氏は無所属で出馬し、当選(世耕氏は衆院和歌山2区から鞍替え出馬)。松野氏は自民党公認(比例重複なし)で当選した。
前出の記者が言う。
「2025年4月3日に、萩生田氏、西村氏、松野氏の処分期間が終了しました。世耕氏は復党を望んでいるようですが離党したままで、まだ復党できていません。旧安倍派幹部の処分期間は終了したものの、“裏金問題”が尾を引いて参院選大敗の要因のひとつになった可能性は否定できないと思うのですが……」
こうした状況もあるため、冒頭の世耕氏の発言については、4人に対するツッコミの声も出ている。
《そもそも、この現状を作り出したのは誰なんだろうね…。退陣だ辞任だと騒ぐ前に、自分たちの責任もちゃんと考えたほうがいいんじゃない?》
《旧安倍派の裏金自民党議員が自民党の評判を落としたのに何言ってんだ。》
《今の自民党への不信感の原因作ったの旧安倍派だろ。》
また、7月の参院選の和歌山選挙区において、自民党公認候補で二階俊博元幹事長の三男・二階伸康氏ではなく、当選した無所属の望月良男氏を支援した世耕氏に対して《この人は参院選で自民党候補ではない候補者を応援してたぞ》というツッコミも出ていた。
2025年6月25日、旧安倍派(清和政策研究会)は政治団体の解散届を総務相宛に提出し、正式に解散。46年の歴史に幕を下ろした。
しかし、石破おろしをめぐって、旧安倍派は再び結束を固めそうな勢いだ。