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“恐怖の薬物パーティ”レーサム田中事件で初公判 争点は不同意性交致傷「私のような目にあう女性が二度と現れないように」被害者怒り

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記事投稿日:2025.07.31 19:32 最終更新日:2025.07.31 19:32
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
“恐怖の薬物パーティ”レーサム田中事件で初公判 争点は不同意性交致傷「私のような目にあう女性が二度と現れないように」被害者怒り

高級ホテルの中でバスローブを羽織る田中容疑者。女性に指示を出している

 

 都内の高級ホテルで2024年6月、違法薬物を女性2人と使用したとして覚せい剤取締法違反などの容疑で逮捕された不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛被告の初公判が7月9日、東京地裁であった。

 

 20代で同社を創業、わずか9年でJASDAQ上場を果たし、国有地の証券化も手掛けた「不動産業界の風雲児」による過激な性的パーティー。その実態の一部が検察の冒頭陳述で明らかになった。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が解説する。

 

「冒頭陳述で検察は、事件当夜の田中被告らの状況を詳しく説明しました。それによれば、田中は宿泊先のホテルに複数の女性を入れ替わりで派遣させ、その間に複数回、薬物を密売人の男に配達させていたということです。

 

 

 現場にいた女性が、『田中に薬物を強要された』と知人男性に連絡したことで、今回の犯行が発覚しました。知人男性が田中被告の宿泊していたスイートルームに突入したことで警察が呼ばれ、田中被告がもう1人の女性と一緒に立ち去った後に室内を調べたところ、客室やベッドの枕の下からコカインや覚せい剤が発見されたということです」

 

 検察側の冒頭陳述に対し田中被告は、違法薬物の使用については「間違いありません」と認めた。薬物使用の動機として「大きなストレスがあり薬物に依存した」と語り、「お金の力で傲慢だった。関わった人には、巻き込んでしまい申し訳ない」とも謝罪している。

 

“巻き込んだ人”とは、現場にアテンドされた女性陣のことだろうか……。この事件では田中被告だけではなく、ホテルに同宿していた女性らも逮捕された。芸能活動をしていたAさんと、大学生のBさんだ。Bさんはこの日の事件を、2024年7月、本誌に告発している。田中被告のセックスパーティーに4回出向いたことを認めた上で、「スカウトとの約束では田中被告との性行為の条件はなく、また、いかなる薬物の使用も田中被告の単独使用の約束だった」と主張した。

 

 一方、田中被告は初公判前の7月11日、そのBさんから不同意性交致傷についても追送検されている。薬物使用容疑を肯定したのとは一転、こちらの容疑に対して田中被告は、「やってません」と否認しているのだ。

 

「不同意性交致傷罪は、罰則が6年から20年の拘禁刑、もしくは無期禁固刑です。薬物使用だけなら、初犯でもあるので執行猶予もあり得ます。しかし、不同意性交等罪だけでも5年以上の有期刑なので、有罪になると拘禁刑が確定すると見られています。田中被告としても、参加女性がセックスパーティーへの参加が4回目であったことなどから、性行為に関しては合意があったことを主張する考えなのでしょう」(松崎氏)

 

 田中被告が薬物使用を認めたことで、今後の裁判ではBさんへの不同意性交致傷罪の審議が中心になると見られている。性加害事件の被告弁護人として経験豊富な須賀翔紀弁護士は、今後の裁判の見通しについてこう語った。

 

「今回の事件では、田中被告は警察の取り調べでも一貫して『不同意性交』については否認しているので、田中被告の自白などの直接証拠はありません。

 

 一方、Bさんは、供述調書で性行為や薬物使用について、事前に合意があったことは否定していると思われます。これは、『不同意性交』を示す重要な間接証拠になり得ます。

 

 また、事件現場にはもう一人の女性、Aさんもいたので、Aさんの供述調書も作成されているはず。仮に『Bさんが薬物を田中から使われた時に、驚いた様子だった』などとAさんが供述していれば、Bさんとの供述の一致として信用性が認められ、『不同意性交』を示すうえで重要な間接証拠になり得ます。

 

 検察はおそらく、そうした間接証拠を積み上げることで、『不同意性交はあった』とする仮説に真実性を持たせる作戦を取ると思われます」

 

 田中被告が裁判で薬物使用だけを認めたことについて、Bさんの顧問弁護士である加藤博太郎弁護士はこう語る。

 

「冒頭陳述でも明らかになっていますが、Bさんは田中被告による靴ベラを使った暴力で怪我もしています。また、田中被告の性行為は当初の“約束”にはなく、当日、すべて承知の上で部屋に来たというのは無理があるように思います。

 

 Bさんは現在、『田中が厳罰に処せられて、自分のような目にあう女性が二度と現れないようにしてほしい』とも、語っています」

 

 裁判の行方に注目が集まる。

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