社会・政治
石破首相の進退握る自民党「総裁選管理委員会」委員長は「選挙で敵なし」「入閣歴なし」の“無敵の人”

参院選の開票結果を待つ石破茂首相(写真・JMPA)
参院選の惨敗を受け自民党は、8月8日、両院議員総会を開催した。そこで、石破茂首相の任期を待たず、前倒しで臨時総裁選をするべきとの意見が続出した。今後、党の総裁選選挙管理委員会が、所属国会議員や都道府県連などの意見聴取をしてその可否を決めるという。
「両院議員総会では、石破首相の退陣を求める厳しい意見が大半でした。しかし会場の7割方が空席の状況で、旧清和会(安倍派)や平成研究会(茂木派)といった、反主流派の議員で集めたという総裁選を求める署名簿は結局、出されずじまい。建設的な意見もほとんどないので、総会長の有村治子参院議員が『今後、総裁選実施の是非に議論を絞ってほしい』と取りまとめ、実施について総裁選選挙管理委員会に一任することで散会になりました。
“石破おろし”の急先鋒といえる旧安倍派と旧茂木派の面々への支持は、少なくとも国会議員のなかには広がっていません。一方の“石破側”の議員らに聞くと、『お盆で地元に帰れば、退陣論を敷くみんなも冷静になる』と、なぜか自信満々です。石破首相の退陣後の後継内閣によっては、野党が内閣不信任案を出しやすくなるので、ひいては解散総選挙の可能性が高まるとも見られています。石破首相の周辺議員は、怖くて政局など仕掛けられないだろうと考えているようです」(政治担当記者)
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石破おろしに走っているのは、党内でも一部に限ったことのようだ。とはいえ、もし総裁選の前倒しとなれば、これは事実上の「石破リコール」ということになる。そこで、にわかに注目されているのが、総裁選選挙管理委員会の逢沢一郎委員長だという。
「岡山が地盤の、当選13回のベテラン議員で、石破首相と当選同期でありながら入閣経験がない異色議員です」
逢沢氏についてこう語るのは、別の政治担当記者。逢沢氏とは、どのような経歴の持ち主なのか。
「逢沢さんは、民主党政権時代の自民党総裁である谷垣禎一さんが率いていた谷垣グループの、事務局長的な役割をしていました。そもそも谷垣グループは、逢沢さんを初入閣させるためにできたようなもので、結局、安倍内閣ではそれがかなわずに終わりました。
逢沢さんは祖父の寛氏、父の英雄氏に続く3世議員で、地盤を守れなかったのは英雄氏の最後の選挙だけ。選挙には強く、3代でじつに20回以上も当選しているほどです。にもかかわらず、逢沢家3代の誰も入閣経験がありません」(同前)
資産家としても知られ、岡山市内にある広大な邸宅で開かれる「桜を見る会」には毎回、300人以上が集まるという。
「逢沢さん自身は都内のマンション暮らしです。これも『2億円以上はするはず』といわれています。資産は報告分で5億円以上ともいわれます。一度、女性スキャンダルも報じられましたが、ほとんど話題にはなりませんでした。党内では実務能力の高さで知られていて、いくつもの議連で世話人をしています。先の総裁選ではなぜかSNS選挙を禁止。これが結果的に、石破総裁誕生のフォローになりました。
これで入閣すれば“論功行賞”の噂も経つでしょうが、組閣ではまったくそんな気配もありませんでした。というのも、本人に入閣する意思がないともっぱらです。カネがあって落選の心配もない、しかも入閣のポストも望んでいない。いい意味で“無敵の人”なんです」(同前)
前倒し総裁選の可否は、お盆明けにも決まるとされる。“無敵の人”逢沢委員長の出す結論は――。