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選挙取材に「クズブス女が突っ込んできた」参政党・さや氏の“ブレーン”三橋貴明氏の“妨害行為”を弁護士が指弾「民主主義社会の秩序を破壊する蛮行」

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記事投稿日:2025.08.19 17:30 最終更新日:2025.08.19 17:38
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
選挙取材に「クズブス女が突っ込んできた」参政党・さや氏の“ブレーン”三橋貴明氏の“妨害行為”を弁護士が指弾「民主主義社会の秩序を破壊する蛮行」

練馬駅前で演説する、さや氏(2025年7月)

 

 シンガーソングライターで保守系インターネット番組のキャスターという異色の肩書が耳目を集め、参議院選挙の東京選挙区で2位当選した、参政党さや(本名:塩入清香)氏。7月19日に芝公園(東京都港区)でおこなった最終演説は、「わたしをみなさんのお母さんにしてください」という言葉で締めくくり、拍手喝采を浴びた。

 

 後に、本名と既婚であることを公表したが、経歴は謎に包まれ、多くの記者が街頭演説を取材しようとしたものの、さや氏への質問が許されたのは一部のメディアに限られた。

 

 

 筆者もさや氏に対し、同党代表・神谷宗幣氏による「高齢女性は子どもを産めない」「LGBTはイデオロギー」など、波紋を呼んだ発言の意図について取材を試みたところ、同党側から「個別の質問には答えない」と断られた。ただ、「写真撮影は可能」とのことだったので、7月13日夕刻、練馬駅前での街頭演説の後、筆者はさや氏に名刺を渡し、「ひと言だけでもコメントを」とお願いした。

 

 さや氏が応じようとしたそのとき、応援弁士としてそばにいた経済評論家三橋貴明氏が「ダメだと言っているだろう! NG、NG、NG」と大声で割って入り、筆者は三橋氏によって体を押しつけられ、後ずさりさせられたのである。さや氏はこの三橋氏の行為を黙認し、次の演説会場へと向かった。

 

 その後、三橋氏はXに《これが、わたくしが一瞬、目をそらした瞬間に、クズブス女が自称取材に突っ込んできた瞬間》などと投稿(後に削除)。さらに、ブログにも筆者を《グレーの服を着たブス女》と記し、筆者に対して《突っ込む(物理的に、というか暴力的に)突っ込む)》と自慢げにつづっていた。

 

 7月15日、筆者はYouTubeチャンネル「一月万冊」に出演し、さや氏への取材を三橋氏に妨害された件を話したところ、これに気分を害したのか、三橋氏は翌16日に『深月ユリア』というタイトルのブログ記事を公開した。記事には、筆者が出演した番組への批判とともに、《俺の大事なものを傷つけようとしたカス》《俺は真の男女平等主義者だから、糞が突っ込んできたら、容赦なく突っ込むよ》《お前は糞だ、糞女。人間の大便だ》《お前は単なるクズカスブス女だよ。これからも、クズカスブス女の代表として生きろよ》《候補に対して攻撃を向けたら、ガチ、自殺に追い込むレベルの攻撃をするからね(はーとまーく)》といった暴言が並んでいた。

 

 さらに、《名前オープンにしちゃったんだから、当然、全てを調べて、攻撃するよ。住所も、家族関係も、交遊関係も、全部、おカネに任せてやるからね》《これは脅迫とかそういう話ではなく、「宣戦布告するけど、いいの?」という話だよ》《俺の候補に手を出すな。手をだしたら、マジで自殺したくなるほどの暴力受けるよ》など、脅迫とも受け取れる内容を記載し、SNS上で炎上する事態となった。

 

 編集部は三橋氏に対し、一連の取材妨害とネット投稿についての見解を問い合わせたが、期日までに回答はなかった。その後、7月17日に筆者が三橋氏から受けた行為や中傷に関してまとめた記事が公開されると、三橋氏は問題のブログ記事を削除した。

 

 この三橋氏の言動について、東京都内の法律事務所に所属するA弁護士に見解を求めた。A弁護士は「暴行罪、侮辱罪、名誉毀損罪にあたる可能性がある」とし、次のように述べた。

 

「女性が知らない男性から身体を密着させられており、刑法上の暴行罪に該当する可能性があります。そもそも三橋氏は、ブログで『暴力的に』おこなったことや筆者が『腰を抜かした』と書き、『突っ込む行為』が暴力的であったと自ら認めています。

 

 次に、ブログのように不特定多数の人が閲覧できる場で、公共の利害に関わらない事柄で他者の社会的評価を低下させる事実を公然と示した場合、名誉毀損罪が成立します。三橋氏の投稿は、読者に対し筆者が能力のないジャーナリストであるかのような印象を与え、社会的評価を低下させる行為です。ましてや『ブス』などの表現は誹謗中傷であり、人身攻撃に及ぶもので公益性とは無縁です。さらに『お前は糞だ』『人間の大便だ』『クズカスブス女』といった表現を繰り返しており、これは明らかに個人の尊厳を否定する侮辱的表現とみなされます」

 

 そしてA弁護士は、三橋氏の言動をこう結論した。

 

「選挙の取材を暴力で排除し、その後も執拗にブログでジャーナリストの人格を卑劣な言葉で攻撃する行為は、取材活動への圧力となり、報道の萎縮を生みます。これは民主主義社会の秩序を破壊する蛮行です」

 

 さらに、筆者は練馬警察署にも確認したところ、「暴行罪の適用は難しいかもしれないが、侮辱罪は成立する可能性がある」との回答であった。

 

 さや氏は街頭演説で「わたしの頭には三橋先生の経済理論がある」と繰り返し、応援弁士の三橋氏もまた「さやさんの頭のなかは三橋貴明だからね!」と主張していた。三橋氏のブログによれば、さや氏は三橋氏が経営する株式会社経世論研究所の従業員でもあり、同氏のYouTubeチャンネル「三橋TV」にたびたび出演している。

 

 三橋氏とさや氏、そして参政党の関係はどのようなものなのだろうか。また、同党は三橋氏の行為をどうとらえているのだろうか。同党に質問したが、期日までに回答はなかった。また、編集部は三橋氏にA弁護士の法的見解について同氏がどう考えるかを問い合わせたが、回答は得られなかった。

 

 民主主義の根幹をなす「言論の自由」。その否定ととらえられかねない行為について、同党と三橋氏には説明責任があるはずだ。

 

取材・文/深月ユリア

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