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「ここで商売したら店をぶち壊す」出店店主を脅迫の疑いで暴力団幹部が逮捕…ヤクザが狙う「ベビーカステラ露店」の仕組みとは

写真はイメージ(写真・photoAC)
「キッチンカーのオーナーは、大手ホテルでも働いていた元パティシエだといいます。営業日には、人だかりが出来るほどの超人気店でした。やはり味では適わないので焦ったんでしょう」
こう語るのは、ある事件の現場付近の商店主だ。
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8月20日、警視庁は足立区内でベビーカステラを販売していた男性を脅迫したとして、暴力行為処罰法違反などの容疑で、指定暴力団極東会系「服部一家」総長の服部順こと服部純也を組員2人とともに逮捕した。大手紙の警視庁担当記者が明かす。
「事件が起きたのは2025年1月2日、西新井大師近くの駐車場です。被害にあった男性の店舗の営業中に服部容疑者らが押しかけ、『誰の許可で店を出してるの?』、『俺たちは西新井でベビーカステラは1軒しか認めていない』などと脅迫したそうです。さらに、『明日もここで商売したら店をぶち壊す』と脅したとされており、実際に事件の翌日に、男性の店は消火器が噴射される嫌がらせを受けていて、これも服部容疑者らの仕業と見られています」
3人は警視庁の調べに、「注意しただけ」など、いずれの容疑も否認しているという。服部容疑者は、都内を本拠にする「極東会」傘下の名門団体二代目も継承した、有力幹部の一人だ。
そんな服部容疑者が自ら出向いて脅迫までしてキッチンカーを立ち退かせたかったのは、ある“事情”からだという。暴力団事情に詳しいフリーライターの萩原ミカエル氏がこう語る。
「極東会は、暴力団であるとともに、“的屋組織”ともしても知られています。事件のあった西新井周辺は、いわゆる彼らの縄張りになります。
縁日などで見かける屋台のなかでも、ベビーカステラは超人気商品で、それこそ飛ぶように売れます。しかも、材料は小麦粉と卵、他には甘味のための砂糖やハチミツくらい。高額の材料を使ってもかなりの利益が残るので、相当儲かるんです。今では暴力団幹部たちがこぞって手を出しているシノギなんです。
あまり味に差が出ないものとされていますが、被害にあったキッチンカーは本職の方が作っていたとも言われます。改正暴対法の施行後は、それまでのように『みかじめ料』や『ショバ代』と呼ばれる場所代を取ることも出来なくなり、客も取られたことで、焦ったんではないですか」
容疑通りであれば、“ベビー”どころではない恐喝沙汰だ。