社会・政治
石破首相、続投に向け有利な展開「総裁選前倒し」の賛否は「名前公表」でしぼみゆく“おろし”の風

石破首相、続投に向け有利な展開「総裁選前倒し」の賛否は「名前公表」でしぼみゆく“おろし”の風
自民党は8月27日、総裁選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)の2回目会合を開いた。焦点となっていた総裁選の前倒しに賛成する党所属国会議員の名前を記名方式にするかどうかについては、前倒しを要求した議員と都道府県連名を公表することに決めた。
政治担当記者が言う。
「自民党は党則6条4項でいわゆる総裁リコール規定をもうけています。今回の場合は党所属の国会議員295人と都道府県連の代表47人の総数342人の過半数172人以上が要求すれば、総裁選の前倒しが実施されます。ただし、このリコールが発動された例はありません。
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逢沢委員長は会合後、記者団に対し『最終的に委員会として議員の名前を公表することで意見がまとまった』と話しました。9月2日の両院議員総会で参院選の総括をした後に、総裁選前倒しに賛成か否かの意思確認の手続きに入り、9月8日に集計結果が出ます」
この決定について、自民党関係者はこう話す。
「総裁をおろすということは、それだけ重大なことですから、覚悟をもって堂々とやれということです。石破さんは絶対に辞めるべきだと信念を持っている議員は、名前を公表されても構わないと思っています。
ただ、過半数に達せずに石破さんの続投となった場合、賛成派は徹底的に干されますから、名前を出すとなると腰が引けてしまう議員も出てくるでしょう。石破さんにとっては有利な展開になったと思いますね」
そして、9月2日に発表される参院選の総括の内容も総裁選前倒しの判断に大きな影響を与えそうだ。
同関係者が続ける。
「総括で、『石破総裁ひとりの責任ではない。党の体質が国民の理解を得られなかった』といった内容になるという憶測もあります。もしそうなった場合、石破おろしは一気にしぼむ可能性があります」
とはいうものの、石破おろしに賛成する側は総裁選の前倒し実施をあきらめているわけではないようだ。
別の自民党ベテラン秘書は、「臨時の総裁選をやるべきで、石破総裁の早期退陣に賛成です」という立場でこう話す。
「たしかに名前を公表すると決まったことで、総裁選の前倒しを要求することに躊躇する先生が出てくるかもしれません。石破内閣には閣僚、副大臣、政務官を務める議員が60人以上いますから、その先生方は総裁選の前倒しに賛成しづらいということもあります。
しかし、石破さんは2009年の麻生太郎内閣のときに起きたいわゆる『麻生おろし』の際、農林水産大臣という現役の閣僚ながら、麻生さんに対し退陣を要求した過去があります。ですから、石破内閣から“裏切り者”が出たとしても文句は言えないはずです。さらに、29日には総理官邸前で『戦後80年石破談話断固阻止』の“反石破”の街頭演説会、31日には『石破辞めろデモ!』が総理官邸前で予定されています。これらの集会に大勢の人が詰めかければ、再び石破おろしへの流れになるのではないかと望みをつないでいます」
9月8日、石破政権の命運が決まる。