社会・政治
【自民揺るがす9月2日】参院選大敗「石破首相に責任はあるのかないのか」総括文書が決める “総裁選前倒し” の機運

「総括委員会」の会合に出席した左から小野寺五典政調会長、森山裕幹事長、菅義偉副総裁(写真・長谷川 新)
参院選に大敗した原因を分析・検証する自民党「総括委員会」がまとめる報告書の素案の一部が明らかになった。
8月28日夜、共同通信は【独自】ニュースとして、「総括委員会」の報告書では石破首相個人の責任に言及せず、回避する調整に入ったと報じた。
29日に「総括委員会」の会合を開き、報告書の素案を提示し、まとまれば9月2日に開かれる両院議員総会に諮るという。ただし、それまでに素案が修正される可能性もある。
【関連記事:石破首相、支持率急上昇で高まる「続投」の可能性…党内政局に国民は冷め、“おろし” も勢いなし】
朝日新聞も29日、総括について《石破茂首相(党総裁)の個人責任を強調せず、自民そのものが有権者の支持を得られなかったと認定する方向》と報じている。
ある自民党関係者は、8月中旬ごろ、本誌記者に次のように話していた。
「そもそも党内政局では、執行部を握っているほうが、圧倒的に強いのです。現在、参院選の敗因を分析する『総括委員会』が8月下旬の発表に向けて報告書を作成中ですが、委員長が森山裕幹事長ということもあり、報告書では結局のところ、『石破総裁一人の責任ではない。党の体質が国民の理解を得られなかった』といった内容になるのではないかとの憶測も出ています」
今回あらためて聞くと、「ある程度予想どおりでしたね。森山裕幹事長が責任をかぶるのでしょう。森山さんと木原誠二選対委員長は辞任するでしょう。石破首相を続投させるという執行部の明確な意思表示で、石破退陣を求める声を牽制しようとしているのだと思います」と話す。
両院議員総会までに修正される可能性があるとはいえ、今回の報道にはXでも賛否が分かれた。
《選挙で負けたのは石破のせいで、その責任が一番大きいと思うんだけど、こういう報告書って一番肝心なことはかけないんだね。》
《自民党、総括の名を借りた「責任回避」。選挙に敗れても首相個人の責任に触れず、組織の失敗にすり替える。これで国民の信頼を取り戻せるはずがない。》
といった石破首相の責任に触れないことを批判するポストや、
《石破個人の問題じゃなく、安倍岸田の裏金派閥政治や失言議員に嫌気さした結果だよ》
《参院選の敗因を押し付け合う首相と裏金派閥の醜い争いこそ自民党離れを招いた原因。》
など、参院選大敗の原因が党の現状にあることを指摘するポストが入り乱れている。
■石破おろしに賛成する勢力の動きは?
党執行部は、石破氏個人の責任を回避しようとしているが、石破おろしに賛成する勢力も負けてはいない。
石破内閣には閣僚、副大臣、政務官のいわゆる「政務三役」を務める議員が60人以上いる。内閣にいる以上、総裁選の前倒しに賛成し、石破おろしに加担するのは難しいとの見方もあるが、さっそく政務官が反旗を翻した。
法務大臣政務官の神田潤一衆院議員は、28日朝、Xに長文を投稿。総裁選前倒しに賛成する議員の氏名公表は、石破総理・総裁の続投を支持する側からの「政局」だとし、
《私は(中略)「総裁選挙の前倒しを求めるべき」との考え方に大きく傾いている。例えそのために「大臣政務官の職を辞す」ことになろうとも、それこそが、国民にとって重要な政策を前に進めていくために必要なこと》
とポストしたのだ。
29日午前には、小林史明環境副大臣も、早期の総裁選実施が必要との認識を示した。小林副大臣は自身のXに、
《元々、私自身は総裁選を早期に実施すべきという考えです。これまで副大臣という立場から、公に意思を示すことは控えてきましたが、今回の手続きで氏名を公表することが決定されたため、あえて控える必要も無くなりました。
報道で首相周辺の話として、「政務三役が署名をする場合は、辞表を出さないと筋が通らない」という情報があります。本当に必要があるのなら、副大臣を辞して手続きを行いたいと思います》
などとポストした。
「早急に石破さんは退陣すべき」と総裁選の前倒しに賛成する自民党秘書はこう言う。
「昨年10月の衆院選の直前、裏金事件をめぐって非公認とした候補者が代表を務める党支部に2000万円の活動費が支給されましたが、これが選挙結果に大きく響きました。森山幹事長が主導したのかもしれませんが、石破さんはトップの総裁だったわけです。
今年3月には、衆院選で当選した新人議員らに石破さん本人が10万円の商品券を渡したご自身のカネの問題もあったじゃないですか。評判がよくなかった、一律2万円給付という参院選の公約も、党総裁の石破さんが決断したわけです。
どこに個人の責任がないと言い切れるのでしょうか。神田政務官、小林副大臣のように、石破さんにNOと言える政務三役が続くことを期待しています」
参院選の総括についての報告書は、最終的に素案どおりとなるのか。政治担当記者が言う。
「報告書の内容が素案どおりだと、総裁選前倒しに賛成する側にとっては機運が下がる可能性が出てきます。しかし、石破首相は “親分” の党総裁であり、国政選挙2回と都議選で大負けしたわけですから、総裁としての責任は当然あるわけです。
石破氏の責任についてまったく触れないわけにはいかないでしょう。当然、修正される可能性もあると思います」
報告書が公表されるのは9月2日だ。その内容が、臨時総裁選をするか否か、8日に出る結論に大きな影響を与えるのは間違いない。はたして、政務三役による “辞任ドミノ” は始まるのだろうか。