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石破首相「総裁選前倒し」が決定的に…自民「解党的出直し」総括が大義名分に、“やぶれかぶれ解散”懸念も勝ち目なし

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記事投稿日:2025.09.05 18:45 最終更新日:2025.09.05 18:46
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
石破首相「総裁選前倒し」が決定的に…自民「解党的出直し」総括が大義名分に、“やぶれかぶれ解散”懸念も勝ち目なし

辞任の意向を表明した森山裕幹事長(左)と、石破茂首相(写真・長谷川 新)

 

 石破茂政権が、どうやら終わりを迎えそうだ。

 

 9月8日に、総裁選の前倒しを実施するか否かの集計結果が発表される。自民党党則6条4項の、いわゆるリコール規定では今回の場合、党所属の国会議員295人と都道府県連代表47人を合わせた総数の過半数である、172人以上が総裁選の前倒しを要求すれば、すぐにも総裁選への準備が始まる。

 

 政治部デスクが言う。

 

「党内の現在の状況をみると、総裁選前倒しは実現する可能性が高くなってきました。首相はこれを察知して『前倒しとなれば解散もありうる』と、党内に聞こえるように脅している状態です。2日の両院議員総会で森山裕幹事長が辞意を表明すると、小野寺五典政調会長、鈴木俊一総務会長、そして木原誠二選対委員長が相次いで石破首相に辞意を伝え、党四役がそろって辞意を表明しました。

 

 石破政権が続くようならば、四役の後任や人事構想の話が出てきてもよさそうですが、森山氏続投の可能性以外に話はまったく聞こえてきません。これは、石破政権が倒れるかどうかの瀬戸際に来ているからです」

 

 

 自民党のベテラン秘書も「総裁選を実施することになりそうです」とし、こう続ける。

 

「前倒しに賛成する側の票読みでは、すでに国会議員だけで過半数の172人に達していると聞きました。党は2日に発表した、参院選を総括した報告書で《わが党は党を一から作り直す覚悟で解党的出直しに取り組むこと》と誓っています。この『解党的出直し』という文言が、前倒しに賛成するかどうか迷っていた議員の、賛成の決意を固めるきっかけのひとつにもなったようです。石破さんが辞めれば解党的出直しができるとは限りませんが、『解党的出直しをするなら、石破総裁が辞めるのが第一歩だ』と。この文言が出たことで、石破おろしをする大義名分ができたと思います。

 

 また、総会のあいさつで、石破さんは口頭で陳謝してはいましたが、報告書に石破さん個人の責任が盛り込まれていなかったことに対して、党国会議員らの不満がかなりくすぶっていたこともたしかです。5日午前中の時点で『石破さんは終わった』という声が、党内のあちこちから聞こえてきています」

 

 また、別の秘書は総裁選の前倒し要求が記名式であることを指摘しながら、こう言う。

 

「総裁選前倒しの要求をする議員名が公表されることで、反対に石破さんの続投を支持する議員も明らかになります。記名式であることに、当初は、前倒し賛成派が不利になるとの見方がありました。しかし、石破さんの続投を支持した場合、次の選挙で『石破続投を支持した議員だ』と、反発を買う可能性が考えられ始めたことも、賛成派が増えた要因のひとつではないかと思っています」

 

 党四役の辞意については、森山氏とほかの3人とは、分けて考える必要があるという。

 

 前出のデスクが続ける。

 

「『進退を首相に預ける』とした森山さんは、前倒しが実施されなければ、自分が石破首相を支えるつもりでいます。『誰かが支えなければならない場面が来たら仕方ない』と言っていましたから。ただし、ほかの3人は『もう二度と石破首相に協力することはない』という強い気持ちでの辞意です。石破首相には、小泉進次郎農水相を幹事長に据え、森山氏を幹事長代行などにして政権運営を続けたいというプランが浮上したこともありました。しかし、小泉氏はすでに次の総裁選をにらんだ動きをしていますし、前倒しが可決されるという見通しも持っています。8日の前倒しには賛成するのかもしれません」

 

 総裁選前倒しに賛成する議員が続く流れは、止まらないようだ。

 

 5日、閣僚としては初めて鈴木馨祐(けいすけ)法相が、総裁選前倒しを要求する書面に署名することを表明した。鈴木氏は5日午前、自身のXに《臨時総裁選の実施につき、9月8日に態度表明を自民党所属衆議院議員として求められています。私は党則に基づき臨時総裁選の実施を求める書面に署名し提出することといたしましたのでご報告いたします。》などとポストしたのだ。

 

 総裁選の前倒しが濃厚となりそうな状況のなかで、石破首相が対抗する手段はあるのか。

 

 8日に総裁選前倒しが決まれば、石破氏は立候補することはできるため、再選すれば続投できる。また、自らの手で衆議院を解散し、総選挙に突入させるという、最後の一手も残されてはいる。しかし、そうは問屋が卸さないという。

 

「たとえ石破首相がその総裁選に出たとしても、勝つ見込みはまったくありません。石破内閣の支持率が急回復したとはいえ、4割に届いておらず、不支持率のほうが高いという現状もあり、“やぶれかぶれ解散”しても、選挙で勝つまでの支持を得られるとも思えません。解散したくてもできないと思います。石破首相が続投できる可能性は限りなく低くなったと思っています」(前出のデスク)

 

 この“やぶれかぶれ解散”については、いま自民党内では、追いつめられた石破首相が敢行するのではないかと懸念が持たれているという。

 

 前出の秘書が言う。

 

「衆議院の解散は、事実上、首相がみずからの判断で解散時期を決められるため専権事項と解釈されています。その“伝家の宝刀”を抜く可能性も出てきたとして、党内では懸念の声が出ています。石破さんは何をするか分からないと。

 

 解散は、閣議で全閣僚が閣議書へ署名して決めることになっています。2005年の小泉純一郎首相による『郵政解散』では、島村宜伸農水相が最後まで解散詔書に関する閣議書への署名を拒否したため、島村氏は罷免され、小泉首相が農水相を兼務して署名し、解散しました。

 

 石破首相も閣僚が署名を拒否すれば、罷免して兼務し、解散を強行することは可能ではあります。しかし、解散には大義が必要です。自分がリコールされたから、やぶれかぶれで解散なんて、そんな大義はないでしょう。ですから、実際に解散することは極めて困難だと思っています」

 

 石破政権の命運が尽きるときが近づいているようだ。

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