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社内外からも「出すぎてる」の声が…新浪剛史氏が変えたサントリーの「やってみなはれ」“ジェントル”イメージ

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記事投稿日:2025.09.06 10:30 最終更新日:2025.09.06 10:30
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
社内外からも「出すぎてる」の声が…新浪剛史氏が変えたサントリーの「やってみなはれ」“ジェントル”イメージ

新浪剛史氏(写真・共同通信)

 

 サントリーホールディングスの代表取締役会長だった新浪剛史氏の突然の退任が発表されたのは、9月2日。同社の鳥井信宏社長と山田賢治副社長が緊急会見を開き、前日に新浪氏が辞任したことを公表した。

 

 新浪氏が、大麻の有害成分が含まれるサプリメントを米国から輸入した疑いで、8月22日、麻薬取締法違反事件の捜査として、都内の自宅が家宅捜索されたという。自宅からは違法な製品は見つからず、尿検査でも陰性の結果が出ている。3日に経済同友会の会見に登場した新浪氏は「法は犯しておらず、潔白だと思っている」と明かした。だが、新浪氏はサントリーの会長の職は「会社の判断に従い」辞したというのだ。

 

 同族経営で有名なサントリーで、約10年にわたって事実上のトップを務め続けた新浪氏。異例の存在でありながら、華々しい業績も上げてきた。

 

「新浪さんがサントリーのイメージを変えてしまった、という部分はあると思います。社内外の人から『新浪さん、出すぎているね』といった声は聞こえてきましたから」

 

 

 新浪氏がもたらした“変革”についてこう語るのは、桜美林大学ビジネスマネジメント学群の西山守准教授だ。大手広告代理店で19年間、マーケティングなどに従事した経験のある西山氏は、新浪氏の手腕についてどのように評価しているのか。

 

「実績については、社内でも一定の評価はされていますよ。とくに海外展開については、うまくいっていたとおもいます。それまで酒類はともかく、清涼飲料水に関してはあまり海外展開がうまくいっていませんでしたが、新浪さんになって一気に軌道に乗りました。海外企業の買収など、それまで内向きな会社だったサントリーを、大きくグローバル化させたといえるでしょう。

 

 それに、新浪さんは社外からトップになったといっても、サントリーの同族経営のなかで一時的に招聘されただけにすぎません。創業家の佐治家、鳥井家が新浪さんをうまく活用できていたというだけで、新浪さん自身が経営をあまり自由に操れるような状況ではなかったと思います」

 

 社内的には成功していたという新浪氏だが、反対に、対外的には厳しい視線が向けられていた。西山氏が続ける。

 

「創業家は、どちらかというと“ジェントル”なイメージでした。一方で新浪さんはキャラクターが異なり、よくも悪くも非常にアグレッシブで、対外的にも積極的に発信するタイプでした。このキャラクターの違いが、サントリーのイメージを変えたと思いますし、そのせいでときには厳しくたたかれたりもしました」

 

 一部の報道では、パワハラが伝えられたこともあった。「ジャニーズ問題」の際には、事務所の対応を「真摯に反省しているのか大いに疑問だ」と批判したことも。強気な発言姿勢が賛否を巻き起こすことも多かった新浪氏の挙動は、それまでの創業家の温和な雰囲気とは一線を画した。

 

「とはいえ、もともとサントリーはアグレッシブな企業でもあります。創業者の鳥井信治郎氏の口癖である『やってみなはれ』は、その挑戦的な企業風土を表わす言葉として広く知られてきました。

 

 一方、グローバル志向の新浪さんは“強い”存在として知られ、『やってみなはれ』の温和な雰囲気とは一線を画します。古くからサントリーを知る社員や財界の人間からは『新浪さん、もうちょっとおとなしくしたら……』という目を向けられていたと思いますね」(西山氏)

 

 それでも西山氏は「新浪さんが“真っ白”だと分かった時点で、相談役などとして、権限のない形で経営にアドバイスする役職に就いてもよいのでは」と語る。それだけの手腕を持っていた人間ということだろうが、今後の彼の去就は――。

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