社会・政治
新浪剛史氏「大麻成分サプリメント」疑惑釈明会見も残る疑問…カギ握る“ニューヨーク在住”女性の存在

新浪剛史氏(写真・共同通信)
サントリーHDは9月2日、鳥井信宏社長と山田賢治副社長が会見を開き、同社代表取締役会長だった新浪剛史氏が辞任したことを発表した。
当日、会見に先んじて一報を流したのは東京新聞だった。報道によると、7月に福岡県警が大麻取締法違反容疑で逮捕した男の捜査で、新浪氏の自宅に大麻成分が含まれているサプリメントが送られた可能性が浮上し、新浪氏は取り調べや自宅の捜索を受けていたという。
「サントリーは家宅捜索があった22日に事態を把握し、当日午後に検討会を開いています。26日には臨時取締役会が開かれ、新浪さん本人を聴取しました。28日には取締役全員の意見を確認し、9月1日に総意を伝え、新浪さんが“一身上の都合による役職辞任”を申し出たとのことです」(社会部記者)
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福岡県警は、税関から違法の疑いがある薬物輸入に関する情報提供を受けて動いたという。
「輸入された荷物は、福岡在住の男性によって新浪さんに郵送されることになっていました。ですが、その荷物のなかにあったサプリメントから、『THC(テトラヒドロカンナビノール)』という大麻由来の成分が検出されたため、その男性は逮捕され、荷物は新浪氏の自宅に送られることはありませんでした。福岡県警は、新浪氏がサプリメントの郵送を依頼したのではないかとして、都内にある自宅を家宅捜索したのです。
そこで見つかったのは、海外で正規販売されているサプリメント。新浪さんは『知人から送られたもので、健康にいいと紹介された。大麻成分が含まれているのは知らなかった』という供述をしています」(同前)
ローソンの立て直しに尽力し、その後、サントリーに移った新浪氏。2014年に創業家以外では初めてサントリーの社長に就任し、約10年にわたってトップを務めた。2024年1年間のグループ決算では、売上、営業利益ともに過去最高を達成するなど、華々しい業績を上げていた。そんな“有名経営者”の薬物疑惑であったことから、捜査はトップシークレットだったという。
「福岡県警は、財界の大物である新浪氏を相手に、かなり慎重に捜査を進めていたはずです。報道陣にわからないよう家宅捜索するはずでしたが、自宅が東京にあるため、警視庁に協力を求めました。その結果、警視庁から情報が漏れたようで、家宅捜索する様子がテレビで報じられてしまいました」(別の大手紙記者)
今回、新浪氏の薬物疑惑の焦点になっているのは、サプリメントを彼に勧めたという、ニューヨーク在住の女性だ。「週刊文春」によると「サントリーアメリカの社長に紹介された60歳ぐらいの女性マッサージ師」だというが……。
「マッサージ師という説もありますが、セラピストでもあるようです。その女性の弟が、国内で逮捕されたことが発端で、新浪氏は家宅捜索を受けました。福岡県警が、そのニューヨーク在住の女性の捜査もおこなおうとしているのかはまだわかりません」(同前)
新浪氏は、3日におこなった経済同友会代表幹事としての会見で「私は荷物を受け取ってもいないし、家族が廃棄したので見てもいない。彼女が勝手に送っただけで、依頼もしていない」と、一連の疑惑を否定し、女性の責任にも言及した。
だが、前出の大手紙記者は、会見での新浪氏の発言に疑問を呈する。
「そこまで言うなら、新浪氏はその女性を訴えるべきでしょう。自分を嵌めたようなものですから。そもそも、荷物は福岡を経由させず、直接、自宅に送るよう指示すればいいでしょうし、家族にも『こんな荷物が届くから捨てないように』と言えばいい。とにかく見ていない、使用もしていない、私は潔白だといっても、説得力を欠く会見でした」(同前)
捜査はまだ始まったばかり。経済界トップに何があったのか。はっきりした結果をだれもが待っている。