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亡くなったホーキング博士「トランプ大統領」を大批判してた

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.03.20 06:00 最終更新日:2018.03.20 09:53

亡くなったホーキング博士「トランプ大統領」を大批判してた

『提供:Zero G/AFP/アフロ』

 

 ご存知「車椅子の宇宙物理学者」と異名を取ったスティーブン・ホーキング博士が、3月14日、イギリスのオックスフォードにある自宅で静かに冥界に旅立った。享年76。

 

 21歳のとき、全身の運動機能がマヒする進行性の難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」と診断された。母国のイギリスはじめ、欧州各国の医者を訪ねたが、どこでも「余命2年」との宣告。

 

 しかし、現代医学に惑わされることなく、自らの生命力を信じ、車椅子生活を余儀なくされながらも、半世紀以上、生き続けた。

 

「ブラックホール蒸発理論」など独創的な研究成果を残しただけでなく、人工音声を駆使して、わかりやすい言葉で科学を身近な存在にしてくれた。

 

 そんな博士を支えたのは、最初の妻との間にできた3人の子供たち。ホーキング博士の口癖は「宇宙の神秘を解明できても愛する家族がいなければ価値がない」。

 

 一時期、妻と離婚し、身の回りの世話を献身的にしてくれた看護師と再婚したが、3人の子供たちとの面会を快く思わなかったため別れ、結局、最初の妻ジェーンと改めて結婚。

 

 子供たちには「本当に愛する人と出会うのは得がたいこと。『この人だ』と確信できたときには『絶対に失ってはダメだ』」と言い聞かせていた。

 

 そんな子煩悩のホーキング博士が最も危惧していたのは「人類と地球の未来」であった。「今のままでは子供や孫たちが暮らしていけなくなるに違いない」というのだ。

 

 地球温暖化、自然災害、新たな病原菌、テロや核戦争の恐れ、人類を凌駕する人工知能(AI)の台頭など、すべて人間が生み出した脅威によって「地球も人類もあと100年で終わりを迎える」と断言した。

 

 最終的には「人類が生き残る道は地球以外の惑星に移住するしかない」との結論に至り、その準備も始めていた。宇宙移動に耐えるため無重力空間を体験したり、地球外知的生命体(ET)との交信に関心を寄せたりしていたが、移住も交信も実現することはなかった。

 

 ホーキング博士が生まれたのは1942年1月8日で、その日はガリレオ・ガリレイが死んで300年め。亡くなったのは、相対性理論で有名なアインシュタイン博士の誕生日というめぐり合わせだった。

 

 生前、博士は「アメリカのトランプ大統領は実に危険だ。人類や地球を大切に守ろうとする発想が微塵もない。科学の進歩や発見に背を向け、一部の右翼思想に迎合している」と厳しい目を向けていた。また、メイ首相による欧州連合からの離脱決定には「イギリスの未来を誤った方向に導くものだ」と猛反発していた。

 

 政治的課題にも臆せず自分の考えをぶつけ続けたホーキング博士。その思いを改めて噛みしめ、人類の危機を回避する手立てを今こそ真剣に考えるときだろう。(国際政治経済学者・ 浜田和幸)

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