社会・政治
1000万円以上の値がつくこともある「アカウント売買」の内情「批判者の買収がいちばん手っ取り早い」識者が語る裏事情

写真はイメージです。(写真・photoAC)
「真偽不明の情報や、明らかにフェイクと思われる情報の拡散を、阻害する効果を生むことを期待する」
6月27日、参院選を前に、自民党の逢沢一郎選挙制度調査会長は、SNS運営事業者に対してこう表明した。ところが参院選では、差別投稿やデマなどが、一般のアカウントから横行したことが大きく取り上げられる結果となってしまった。
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政治とSNSについては、選挙以降も議論される重要なテーマであり続けている。そんななかで人知れずおこなわれているのが、「SNSアカウントの売買」だ。
「切り抜き動画や、まとめ情報の発信をするSNSアカウントが昨今、目立ちますが、じつはそれらは、売買の対象になることも多いんです。フォロワーが1万人を超えると、売買の対象になる傾向があります」
アカウント売買の実態を語るのは、アングラ情報に詳しいジャーナリストの萩原ミカエル氏だ。実際、SNSアカウント売買の仲介会社は、複数、存在しているようだ。その“物件”ファイルには、フォロー数やアカウント開設年月、リポストや返信率といったフォロワー特性のほかに、所有者の希望売買価格が記載されている。萩原氏が続ける。
「これまで売買の対象となるのは、美容系アカウントが主流でした。多くの場合、成約する売買価格は30万円から40万円程度でした」
ところが、最近では1000万円超えで売値がつくアカウントも発生しているようだ。とくに政治系のアカウントでは、売買取引が増加傾向にあるという。
「SNSユーザーの関心が高い事件やできごとがあった後、関連する投稿が多いアカウントは高額になります。選挙直後で政治が盛り上がっているいま、政治系のアカウントは高額になりやすい傾向にあります。
ただ、政治系のアカウントにありがちなのが、特定の政党やグループを熱烈に支持したり、逆に猛烈に批判するアカウント。投稿の内容が暴露的なものや独自情報を含むものでなくても、一定のフォロワーがいれば、公表されている“珍発言”などをまとめるだけで批判投稿がバズることも多くありますから。
ただ、過去の発言やスキャンダルなどを掘り起こされると、困るのが批判される側です。公表ベースの内容に論評を加えるだけなら、開示命令などの法的措置を取ることも難しいといいます。
となれば、批判される側としては、アカウントごと買収してしまうのがいちばん手っ取り早いわけです」(前出・萩原氏)
萩原氏によれば、こうした理由から、現在も某政治系アカウントが高額取引されているさなかだという。こうした、SNS上の批判をつぶす目的としてアカウントを買収する試みは、政治に絡んだもの以外でも以前からあったようだ。
「じつは、2024年末に取りざたされた『悪質ホスト問題』に関連して、業界の内情を投稿していたアカウントが、当時、批判の矢面に立たされていたホストグループ関係者に売却されたことがありました。結果、売却されたアカウントでは、別のホストグループが攻撃される事態に。
当時、やはり1000万円以上のお金が動いたとされます。このアカウントは確認できるだけで3回、所有者が変わっているということです。そのアカウントはまだ稼働していますが、いまはセクシー女優などの芸能情報が多くなっており、当初とは路線がまったく違います」(同前)
あなたが見ているそのアカウントも、もしかしたら誰かに売買されたものかもしれない――。