9月22日公示、10月4日投開票の、自民党総裁選。早くも出馬表明が相次いでいるが、目下有力候補と見られているのが、小泉進次郎氏と高市早苗氏だ。どちらも前回の総裁選に出馬し、石破茂首相に敗れている。
再出馬で初の総裁を狙う2人にとって、“参謀役” ともいえるキーパーソンとなるのは、いったい誰なのか。社会構想大学院大学教授の北島純氏(政治過程論)に聞いた。
「小泉さんの場合は、選対本部長についた加藤勝信さんがキーパーソンとなるでしょうね。現役の財務大臣で閣僚経験も多い。日米交渉においても、ベッセント財務長官との交渉を何度も経験している加藤さんは実務能力が高く、選挙対策にうってつけです。
すでに出馬を表明している茂木敏充さんと並ぶ、旧平成研究会(旧竹下派)のホープで、前回の総裁選に出馬しましたが、今回は出馬しないで小泉さんを支えるというところに、加藤さんの覚悟を感じます。
一方で、小泉さんが『コメ大臣』などの活躍をメディアで見せてきたのに対し、加藤さんは実直な人柄ゆえかそこまで目立っていません。その意味でも、2人のコンビは非常にいい組み合わせなのではないでしょうか」
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そんな小泉氏だが、「経験不足」「実力に不安がある」という声も大きい。これについて北島教授は、こう見解を示す。
「確かに小泉さんは、言説で批判を受けやすいのかもしれません。物議を醸した発言も過去に多くありますから。だから、総裁選では『チーム小泉』として、ほかの議員が広報活動を全面的にバックアップしていくことになると思います。
ただ、前回の総裁選から1年経って、その間に相当の修羅場をくぐってきたことも事実です。農水相としておこなった備蓄米放出については、メディアでかなり好意的に報じられました。世間も『よくやっている』という声が多数でしょう。この経験を備えた小泉さんを侮ってはいけないと思います」
■高市氏の “参謀役” は
一方の高市氏の “参謀役” はどうだろうか。高市氏は前回の総裁選で、第1回投票では石破氏をしのぐ181票を集めて1位通過。しかし、決選投票では国会議員票が集まらず、苦戦した経緯がある。
「高市さんについては、特に保守層からの受けがいい。しかし、前回の総裁選以降は、メディア露出はあまり多くありませんでした。参院選で『党の背骨を入れなおす』といった言葉が話題になったくらいで、小泉大臣がコメ問題で連日のようにメディア露出していたのに比べれば、最近ちょっと影がうすかった。
そんな彼女を支えるとすれば、旧安倍派をはじめとする保守系議員をまとめて『高市を推そう』と持っていける力のある人間ということになると思います。その意味で、やっぱり萩生田光一さんがキーパーソンでしょうか。
ただ、萩生田さんについては、先日政策秘書が略式起訴されたばかりで、まだ “裏金” のイメージが強い。世間や党員のなかでも『裏金問題はまだ終わっていない』という意識は強いですから、萩生田さんが前面に出て高市陣営を引っ張っていくのは、正直 “諸刃の剣” だと思います」
こう語った北島氏だが、「高市陣営の重鎮としては、古屋圭司元国家公安委員長や中曽根弘文元外相の顔が浮かびますが、表の交渉も裏の交渉も担うような側近議員の存在が、正直あまり見えてこない」ともいう。
「高市さんは自分で政策を考えることができる人なので、誰かに頼る必要はそれほどない。それが総裁選では裏目に出てしまう。高市さんを推す党員票がどれくらい多くなるかを見て議員票が動くとすれば、党員票を獲得する政策をどれだけ熱くアピールできるかがポイントとなるのではないかと見ています」
一方、総裁選全体を揺るがす「キングメーカー」の存在も指摘されている。岸田文雄元首相だ。
「もともと岸田さんは、宏池会という自民党内でリベラルな立ち位置ですが、小泉さんと高市さん、どちらにつくのかが総裁選の結果を左右しそうです。
前回は『高市さん以外を』ということで石破さんにつき、結果として石破政権への道を開きましたが、今回はどうなるか。前回の路線でいけば、今回は小泉氏を推すことになるのかもしれません。
実際、岸田氏も菅義偉氏、麻生太郎氏とともに小泉支持を固めたと報じられるようになってきました。正直、岸田氏としてはキングメーカーとしての存在感を発揮できる余地が少ないと思いますが、岸田氏はかねてから『首相再登板』の意向があるとも言われてきました。小泉内閣成立のあかつきには、その布石としたいのかもしれません」
総裁選の行方はまだまだ不明瞭だ。
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