
2025年9月20日、自民党総裁選に出馬を表明した小泉進次郎氏(写真・長谷川 新)
「まるで1年前と同じ光景を見ているようです」
こう漏らすのは、自民党のベテラン秘書だ。
自民党総裁選(10月4日投開票)で、小泉進次郎農水相が失速し始めたからだ。
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「2024年9月27日の総裁選で、小泉氏は当初“当選確実”とまで言われていました。しかし、いざ総裁選がスタートすると、みるみる失速し始めました。当時、党内からは『討論会に出れば出るほど支持が離れていく』という声が出始め、結果3位となり、上位2名による決選投票に進めませんでした。今回、出陣式に代理を含む国会議員が候補者中最大の92人も集結し、圧勝ではないかという見方が広がっていましたが、ここにきて前回と同じように失速し始めました」(同前)
2024年9月13~15日に、日本経済新聞とテレビ東京が実施した世論調査では、自民党支持者に限ると3位に転落し、総裁選では実際にそのとおりの結果となった。今回も似たような傾向があらわれてきた。
政治担当記者が言う。
「9月25日、日本テレビが党員・党友に実施した独自調査で、小泉氏は高市早苗前経済安全保障担当相に抜かれ2位となり、3位の林芳正官房長官も支持を伸ばしています。小泉氏は2024年の総裁選で『カンペの見過ぎ』と指摘されましたが、24日に開かれた日本記者クラブ主催の候補者討論会でも、用意された紙に目を落とす場面がしばしば見られ、自分の言葉で語っていないという印象を持たれています」
小泉氏が自分の言葉で語っていないという点は、2024年9月16日に開催された、候補者によるネット討論でも見られた。
討論会で「経済政策」をテーマに各候補が政策を掲げていくなか、小林鷹之氏は「労働市場の流動性を高めていくことが重要であって、この失業なき労働移動というものを進めていくことが大切」と主張。すると、小泉氏は「そこ、小林さんとまったく同じです」と発言したのだ。
さらに、サイバーテロ対策についての議論では、小林氏と高市氏が「アクティブサイバーディフェンスの重要性」を主張。これは、サイバー攻撃を受けてから対応を考えるのではなく、未然の防御を想定したものだが、小泉氏は「まさに、いまのお2人のように考え方が一致している」と同調していた。
あれから1年が経った今回も、前回と似たような、小泉氏独特の手法が見受けられた。
前出の政治担当記者が言う。
「23日に放送された『news23』(TBS系)に5人の候補者が出演しましたが、外国人政策について、高市氏は『外国人政策に関する司令塔をしっかり強化する。不法滞在の方、これはもうお帰りいただくしかないですし、難民のふりをして入ってくる方、これも出ていっていただくしかない』と話しました。その後に話を振られた小泉氏は『そういった課題について、しっかりと政府全体の司令塔機能を強化する』などと述べたのです。Xでは《小泉進次郎さんは高市さんの発言をリピートしてるだけなんだな。》など、小泉氏に対する厳しい声があがっていました」
こうした状況のなかで、小泉氏の失速に追い打ちをかけているのが、25日発売の「週刊文春」の小泉陣営による“ステマ作戦”報道だ。
「小泉陣営の広報班長を務める、牧島かれん元デジタル相の事務所が、小泉陣営関係者に対して動画配信サイト『ニコニコ動画』に『ポジティブなコメントを書いてほしい』などと依頼したメールの存在を、『文春』がスッパ抜きました。コメントの例文には『あの石破さんを説得できたのスゴい』などといった称賛コメントのほかに、ほかの候補者への中傷と思われる例文も含まれていたとのことです。これには、小泉氏のInstagramのコメント欄に《総裁選を辞退して下さい》などといった声が相次ぎ、26日には『総裁選辞退』がネットのトレンドワード入りする始末となっています」(同前)
この報道について、小泉氏は26日の記者会見で「私自身も知らなかったこととはいえ、総裁選にかかわることでもあるので、申し訳なく思う」などと陳謝し、事実関係を認めた。
前出のベテラン秘書が言う。
「この問題は尾を引くと思います。党内からは『正々堂々とやれ』という批判の声があがっています。
報道機関の最新の世論調査では、国会議員票は小泉氏がリードしているとされていますが、ここにきて『林芳正官房長官の国会議員票が伸びているようだ』という声が、党内のあちこちから聞こえています。防衛相、農水相、文科相、外相、内閣官房長官など、多くの閣僚を経験してきた林氏と違い、小泉氏は財務相、外相、経済産業相といった重要閣僚の経験がありません。自公連立政権は少数与党とはいえ、総裁選後に実施される内閣総理大臣指名選挙で野党がまとまることは無理なようですから、次の自民党総裁が首相になるはずです。
アメリカのトランプ大統領が10月下旬に来日する予定で、新首相と会談します。トランプ大統領との最初の会談はとても重要ですから、『小泉さんではまとも外交ができないのではないか』『トランプ氏の相手が小泉さんでは心もとない』などという声が、党内から上がり始めているのです」
28日にはニュース・情報番組『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ系)、NHKの討論番組『日曜討論』に候補者たちは出演し、討論をかわす予定で、その後も30日には党本部での政策討論会が控えている。
「討論会に出れば出るほど支持が離れていく」と前回の総裁選で言われた小泉氏。今後の討論会をどう乗り切っていくのかが、注目されている。
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