社会・政治
旧統一教会「韓鶴子総裁」逮捕で日本に動揺も…現役信者が「これ以上は減らない」と漏らすワケ

2025年9月22日、韓国のソウル中央地裁へ出頭する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁(写真・共同通信)
韓国の特別検察は、9月23日、政治資金法違反容疑で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁を逮捕、ソウル拘置所の独房に収監した。
韓容疑者は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻や側近に金品を渡し、見返りに教団の事業などをめぐり、便宜を図ってもらった疑いがあるという。
教団トップの逮捕は、日本の信者に動揺をもたらしているのだろうか。「このような事態になったことは誠に遺憾」とのコメントを発表した教団の日本法人広報渉外局に話を聞いた。
「日本の本部に、信者さんからの問い合わせが来ています。もちろん、ショックだとか驚いたとかの声はありますよ。逮捕されたことに衝撃を受け、不安を抱えている人はいます。いまは、信者一人ひとりが逮捕の事実を受け止めているところです。
彼らに対しては、毎日オンライン祈祷会を実施しています。その祈祷会のなかで、現在の総裁の状況についてお伝えしています。加えて、韓国本部の公式サイトで、2週間ぐらい前からコメントも出しているので、それを見て状況を把握していると思います。
韓国では、信者さんが検察前でデモをおこなったりしているようですが、日本の本部からは『過激なことをするのではなく、まずは韓総裁の健康を祈ろう』と伝えています」
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教団によると、現在の信者数は約9万人、全国に280カ所の教会があるという。安倍晋三元首相銃撃事件後に信者数は1万人あまり減ったとみられる。
一方で、ある現役信者は「総裁が逮捕されても、これ以上、信者の数は減らない」とみる。
「83歳の韓総裁は、心臓病の手術を最近されたばかりです。そして、収監されて不自由な思いをされている。収容先は劣悪な環境なので総裁のお体が心配です。
古くからの信者は、2012年に亡くなった教祖・文鮮明先生がアメリカで逮捕されたことも知っています。それまでは、文先生が統一教会の十字架を背負ってきた。
韓総裁は、文先生が亡くなってから矢面に立ってきましたが、今回が初めての逮捕となります。それだけに、特に2世信者など若い世代がショックを受けているのは間違いありません。教団のリーダーが逮捕されたのが初めての体験ですから。
ただ、今回は統一教会だけが狙われたのではなく、ほかのキリスト教会の関係者も逮捕されています。前大統領を追い込みたいということなのでしょう。ある種の宗教弾圧の意味合いもあると思います。
総裁の逮捕で、信者が離れるのかといえば、それはないです。安倍晋三先生が亡くなられて以降、今年3月には解散命令も出され、統一教会を離れる信者はもうとっくにやめています。それでも残った信者さんは、そう簡単にはやめないでしょうね」
信者らは、捜査の行方を固唾をのんで見守っているようだ。