
自民党新総裁に選出された高市早苗氏(写真・JMPA)
10月4日に自民党総裁に決まった、高市早苗氏による自民党の新たな執行部体制が正式決定した。
7日午前、自民党は臨時総務会を開き、幹事長に鈴木俊一総務会長(麻生派)、党副総裁には高市総裁誕生に多大な貢献をした麻生太郎党最高顧問が返り咲いた。また政調会長には、総裁選に出馬し、決選投票では高市氏に投票した小林鷹之元経済安全保障担当相(旧二階派)、総務会長には有村治子元女性活躍相(麻生派)が就任した。
そのほか、選挙対策委員長には、総裁選で高市陣営を支えた古屋圭司元国家公安委員長(無派閥)、国会対策委員長には梶山弘志元経済産業相(無派閥)、組織運動本部長には新藤義孝政調会長代行(旧茂木派)、広報本部長には鈴木貴子元外務副大臣(旧茂木派)を起用した。
また、派閥の裏金問題をめぐり、2025年8月に政策秘書が東京地検特捜部から政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で略式起訴された、萩生田光一元政調会長(旧安倍派)が幹事長代行に起用された。
政治担当記者が言う。
「高市総裁誕生に貢献した麻生派と旧茂木派を重用する、あまりにも露骨な人事だという批判も党内からは聞こえてきます。さらに、岸田政権では裏金問題で要職を外されていた萩生田氏が復権するなど、“解党的出直し”を誓った割りには、首をかしげざるを得ない人事とも言えます。共同通信が実施した緊急世論調査では、高市新総裁に期待するが68.4%、期待しないが25.5%となるなど、高市総裁への期待値は高くなっています」
そうした状況のなか、永田町では高市氏と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係が再注目されている。
旧統一教会は、文部科学省の教団への解散命令請求で、2025年3月25日に東京地裁が教団の解散を命じる決定を出している。
社会部記者が言う。
「旧統一教会については、信者の高額献金や霊感商法などの問題で、東京地裁は『膨大な規模の被害が生じ、現在も見過ごせない状況が続いていて、教団に事態の改善を期待するのは困難』と指摘し、国の請求を認めて解散を命じました。教団側は抗告し、現在は解散命令の判断について東京高裁で審理が続いている状況です。教団の田中富広会長は10月5日、群馬県内で報道陣の取材に対し、高裁の判断について『来年1〜2月には出るだろう』との見通しを話しています」
高市氏は、旧統一教会系メディアの世界日報社が発行する月刊誌「ビューポイント」2001年4月号の対談記事に登場していたことを指摘され、2022年8月10日、第2次岸田改造内閣で経済安全保障担当相に就任した際に、閣僚就任会見でその事実を認めた。
「高市氏は、親しくしていた評論家の細川隆一郎氏からの誘いだったため参加したこと、『ビューポイント』と旧統一教会とのかかわりについては知らなかったことを釈明しました。ところが、高市氏が旧統一教会系メディアに登場していたのは、それだけではなかったことを、2023年3月19日号の『しんぶん赤旗 日曜版』にスッパ抜かれたのです。高市氏は『世界日報』に1994年4月24日付、1995年1月1日付、1996年1月1日付、1997年3月17日付、2001年1月5日、6日付の計6回、登場していると報じられました。1990年代は、旧統一教会の霊感商法や集団結婚式などがメディアに大きく取り上げられた時期で、1994年5月の福岡地裁判決では霊感商法が旧統一教会による組織ぐるみの犯罪であると事実上、認め、賠償を命じました」(前出・社会部記者)
自民党のベテラン秘書が言う。
「旧統一教会と『世界日報』との関係も広く知られるようになっていましたから、高市さんが『世界日報』と旧統一教会との関係を知らないというのは、あまりにも不自然です。2023年3月の『しんぶん赤旗 日曜版』の当該記事は、今回の総裁選期間中にも永田町に出回り、党内からは『高市さんのウィークポイントになるね』と指摘されていました。1996年の『世界日報』では『私は家長制度が復活してもいいと思う』と話しており、旧統一教会の思想との共通点があることも指摘されています。
10月中旬には首相指名選挙が行われ、日本憲政史上初の女性首相に就任する見込みの高市さんですが、今後、共産党などから旧統一教会との関係を追及される可能性もあると思います」
一国の首相となりそうな高市氏が、旧統一教会との関係性について、今後、自ら語ることはあるのだろうか。