
立憲民主党の安住淳幹事長(写真・長谷川 新)
「建前やきれいごとで政権は作れないと思っている。どんなに世の中から批判されようとなんだろうと、あと48票、死に物狂いで集めるためにだったらなんでもやらせてもらう」
10月14日の記者会見で、立憲民主党の安住淳幹事長は厳しい口調でこのように語った。立憲民主党の衆院議員148名に48名が上乗せされれば、自民党の議員数196名と同数になる。
公明党が自民党との連立から離脱を表明すると、安住幹事長は野党連合による政権交代に向けて、国民民主党、日本維新の会との折衝を活発化させている。
「しかし党内では、安住幹事長の “前のめり” に危惧する声があがっています。安住幹事長は『政策や理念は大事だが、現実の政治を動かすのは国会議員の人数』だと主張しています。
つまり『政権交代するためにまずは一緒になろう。その先はそこから考えよう』ということで、実現するなら『野田佳彦代表を総裁候補から降ろしてもいい』とまで言い切っています。
そのため、党内のベテラン議員からは『1993年にできた非自民・非共産の8党会派による細川連立政権と同じになるのではないか。砂上の楼閣にならなければいいが』という声が聞こえてきます」(政治ジャーナリスト)
細川連立政権は、自民党の流れをくむ議員から社会党まで、政策や理念がまったく違う寄り合い政権だったことから、細川氏ものちに『政権は1年もたないと思っていた』と述懐していたが、実際、連立政権は9カ月ももたず、短命に終わった。
当時、連立政権樹立に向けて剛腕を振るったのが小沢一郎氏だ。故・田中角栄元首相の「秘蔵っ子」と呼ばれた小沢氏は、田中元首相の持論である「政治は数であり、数は力」を体現したのである。
「安住氏と小沢氏は『政権奪取のためならなんでもやる』という、似た考えを持っています。2017年2月には共産党の機関紙にそろって登場、それぞれインタビューを受けて『野党共闘』を呼びかけていました」(同)
安住幹事長も、細川政権と同じ轍を踏むのか。
落語家の立川志らくは、10月13日放送の『ひるおび』(TBS系)で「立憲にプライドも何もないんですね。政権交代って本来、スタートじゃないといけない。野田さんがおっしゃっていること、安住さんがおっしゃっていることは、政権を取るのがゴールになっている」と懸念を示していた。
一方、小沢氏は10月14日、自身の事務所のXに《野党がいつまで経ってもチマチマしたことで揉めているようなら、早晩国民から完全に見放されることになる》と、歯がゆさをにじませるポストをしている。
総理大臣の指名選挙は10月21日におこなわれる公算が高い。誰に日本の舵取りが託されるのだろうか。