
石原伸晃氏(写真・本人提供)
「『私たちは保守中道の政党。高市(早苗)さんとは組めません』という公明党、創価学会からの、高市さんに対する三行半だったと思います」
10月10日、公明党の斉藤鉄夫代表が「いったん白紙にして、これまでの関係に区切りをつけます」と、自民党との連立離脱を発表。政界に激震が走った。
行政・規制改革担当相、国土交通相、環境相、内閣府特命担当相などを歴任した石原伸晃元自民党幹事長は、公明党の連立離脱について冒頭のように語り、その理由を続けた。
「建前は、公明党の政治改革案に高市さんからの回答がなかったということになっていますが、これは古い問題です。国政選挙を2回やって、連立与党は負けましたが、そのとき石破(茂)さんに(回答の要求を)言ったのかといえば、言っていない。そのことからも分かります。
高市さんは自民党のなかでも右寄りですから、公明党としては『相容れない』ということなのでしょう。高市さんは(公明党離脱の)予兆を感じていなかったと思いますよ。だからこそ(10月10日の)斉藤代表との会談後に、あれだけ顔が引きつっていたのです。気の毒ですよね。『なんで私のことが嫌いなの』と思っているはずです」
公明党の離脱で、同党支持母体の創価学会による自民党候補への“選挙支援”がなくなることも危惧されている。
「創価学会の方々の票は、1選挙区で1万5000から2万票と言われていますが、全員が右向け右で(自民党候補に)投票していたとは思えませんから、実際の影響は分かりません。選挙区事情によるでしょう」
今後の選挙だけではなく、現状でも、単独では衆参両議会で過半数に遠く及ばない状況でもある。
「国会運営は厳しいと思います。(政策ごとに他党と組む)パーシャル連合になるでしょうが、政策合意を優先するために、自民党は独自色が出せなくなります。そうすると党勢回復にも影響があります。
2025年11月に、自民党は結党70周年を迎えます。自民党は党是にしている憲法改正など、自分たちが信じるところを発信していかないと、失った支持は戻りません。混乱したときこそ、結党の原点に戻ることです。そしてそれに向かって邁進する、決してブレない、媚を売らないということです。
プラスに考えれば、これまで公明党に対して気配りが必要でしたが、これからは自分が信じるところを言っていける環境になったのではないでしょうか」
「保守政党」として原点に回帰することを提言した石原氏。日本維新の会との連携については「政治が安定する」と歓迎する。
「衆院においては、自民党の196議席と日本維新の会の35議席を足せば過半数まで残り2議席になります。少数与党のままでは、何も決められない政治が続いてしまいます。国家国民のためにそういった状況はよくありません」
最後に石原氏は、高市総裁へ「鉄の女」と呼ばれた英国の元首相の名をあげ、エールを送った。
「高市さんはサッチャーを尊敬していて、サッチャーになりたいのですから、自身が総理を目指すことになった“原点”に立ちかえることです。
女性初の自民党総裁で、右派を代表する論客。思うこと、信じることを言わなくして、自民党の復活はありません」
果たして高市総裁は、右派としての独自色を出していけるだろうか。