
2025年10月4日、自民党新総裁に選出された高市早苗氏(写真・JMPA)
混迷極める政局が、ついにひと段落を迎えようとしている。
10月4日の自民党総裁選で、下馬評を覆して当選した高市早苗氏。このまま“日本初の女性総理”の座に就くかと思いきや、10月11日には公明党が連立離脱を表明したことで、注目は一気に首班指名へと移っている。
18日現在では、日本維新の会との連立がほぼ確実視されており、連日高市氏と維新の吉村洋文共同代表が会談を重ねている状態だ。さらに国民民主党の玉木雄一郎代表は、維新が自民に突き付けた「国会議員の定数削減」について、17日に「この法案が出てくれば、臨時国会の冒頭で賛成します」と語った。
こうしたなか、政権交代の姿勢を崩さない立憲民主党だが、同党の安住淳幹事長は同日、「(立憲、維新、国民の)三党で具体的に来週どういう風に臨むかという話になる」と、いまだに情勢は不透明だという見解を示しているが……。
「今回は、政界再編の絶好のチャンスでもあったんですよ」
そう話すのは、ジャーナリストの鈴木哲夫氏だ。ポイントになったのは維新だという。鈴木氏が見ている、現在の政局情勢とは――。
「維新が自民と連立するとなれば、数の論理からして、衆議院の過半数にかなり近くなります。つまり、維新が自民を助けることになるわけです。自民と維新が組むことで、少数与党ではあるものの自民党は何とか政権維持できる状態に近づくわけですから、わざわざ内輪もめなどして党を割って、政権を手放すことはしません。
本来なら、この政権交代の潮目で自民党が一度下野し野党になれば、路線の違いなどから党が割れ、本当の政界再編が起こりえた状態でした。維新の動きが結果的にそれを止めてしまったということです」
では現状で、どのような政権のありようが考え得るのか。鈴木氏は“非安定的国会”となると見ている。
「維新と自民が連立したとしても、衆議院でも過半数に数はギリギリ届いていません。だから、両党がいろいろな政党に声をかけて数を集めていくことになります。政権運営をする上で、与党側は相当苦労すると思います。
一方の野党側も、立憲と国民に公明が新しく加わり、野党の対決姿勢も苛烈になっていくでしょうね。また、高市総裁としても、他党に連携を求めるためにはある程度の妥協を強いられることになるでしょうから、らしさが失せ、こうした与野党対決が続けば政権の支持率は下がっていく可能性もあります」
一方、“維新次第”の局面はこれからも出てくると思われる。
「首班指名で高市総理が誕生した場合、次のポイントは内閣不信任案でしょう。高市氏の総裁任期は、石破氏の残りの2年。その間彼女は頭を下げながらも政権を何とか維持しようとするでしょう。しかし、『政治とカネ』に関する政策や減税などの経済政策で与野党がぶつかり、おまけに内閣支持率が下がってくれば当然、立憲や国民、公明など野党から内閣不信任案の動きが出てきます。
維新が自民と連立政権を組んで入閣などしている場合には、これに賛成できませんから、内閣不信任案はそう易々とは通りません。一方、維新が閣外協力などの形で自民とくっついた場合には、不信任案に賛成できますから通ってしまう。そうなれば、維新がキャスティングボートを握ります。成立すれば高市氏は総辞職せずに解散、自民が敗れれば、自民下野、そして政界再編の芽が出てくるかもしれません」
大きな政局の分かれ目に、維新はどう動くのだろうか。