
家宅捜索を受けたモームリの代表・谷本慎二社長(中央 写真・梅基展央)
10月22日、退職の意思を本人に代わり会社に伝えるサービス「退職代行」をおこなう「モームリ」に、捜査のメスが入った。運営会社の「アルバトロス」が、警視庁から家宅捜索を受けたのだ。テレビやYouTube、雑誌など多くのメディアに出演していた同社に、いったい何が起きたのかーー。
「同社はコロナ禍の2022年に設立された企業で、『退職代行』を各メディアで広く紹介したことで、実際に利用する人が後を絶たず、瞬く間に有名になりました。その一方で、退職時に残業代や退職金の交渉に発展した場合、法律の専門家以外がおこなうと違法行為になる危険性もありました。同社は提携している弁護士の存在を主張しており、家宅捜索前日の21日も、ホームページで49名の退社が確定したことをアピールしていました」(社会部記者)
しかし、同社は非弁行為などの弁護士法違反の疑いで捜査を受けている。
「弁護士資格のない者が、退職希望者を弁護士にあっせんして、見返りに報酬をもらっていた違法行為があったとされ、谷本慎二社長は任意聴取を受けています」(同前)
本誌は2024年6月、「非弁行為」について谷本社長に取材している。その際には「まったく問題ない」と語っていた。
ーー非弁行為への対応は?
「退職の通知は法律上、まったく問題ありません。また、当社は労働環境改善組合という、所属する会社に関係なく労働者が集まった合同組合に加盟しており、当社社員も組合員です。依頼者も組合に加盟すれば、団体交渉権を行使し、依頼者の会社との退職交渉が可能になるんです」
としたうえで、弁護士会からは数年前から事情を聞かれていたという。
ーーこれまでに法的なトラブルはありましたか?
「2023年に一度、弁護士会に『非弁行為ではないのか』という“タレコミ”があったようですが、事業内容を弁護士会にお伝えしました。そうしたら、やはり『違法の可能性は低い』とご判断をいただきました。違法の可能性が出てきたら通達すると言われましたが、その後、なんの連絡もありません。堂々とやっています」
ーー有期雇用で即日、辞めづらい方もいる?
「いままで、有期雇用でやむを得ない理由がない、という方はほぼいらっしゃいませんでしたね。それに、当社で対応できない事案には、ほかの信頼できる弁護士事務所を紹介することもありますよ」
ーー同じサービスなのに?
「はい。弁護士事務所とウチとでは、“ものが違う”と思っているので。やはり、弁護士事務所とウチでは、対応できる交渉ごとには大きな差がありますからね。僕は単に、日本の職場環境をよくしたいだけなんです」
日本の職場環境をよくしたいと語っていた谷本社長。その熱意は本物だったのだろうか……。