
高市早苗首相(写真・長谷川 新)
11月7日の衆院予算委員会で、立憲民主党・岡田克也議員が「中国による台湾有事への対応」を高市早苗首相に質問すると、高市首相は「やはり、戦艦を使って武力の行使もともなうものであれば、『存立危機事態』になりうるケースであると、私は考えます」と答弁。これがいま、日中間の争いの火種となっている。
「『存立危機事態』は、2015年の安倍内閣で成立した安全保障関連法に明記され、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により、明らかに日本の存立が脅かされる危険がある場合、限定的ですが、集団的自衛権の行使を可能としました。
『何をもって、日本の存立が脅かされているのか』について、歴代内閣は中国台湾問題を念頭に、曖昧さを残していましたが、高市首相は踏み込んだ答弁をしたため『台湾は中国の一部』とする中国政府が問題視したのです」(政治担当記者)
中国政府が自国民に『日本への渡航を自粛するように』と呼びかけるなど、事態が混沌とするなか、11月18日には外務省の金井正彰アジア大洋州局長が中国・北京を訪れ、中国外務省の劉勁松アジア局長と協議した。
「金井氏は『首相の答弁は従来の政府の立場を変えるものではない』と説明し、日本の治安が悪化していないことも告げて、渡航自粛要請の是正を求めました。また、中国の薛剣・駐大阪総領事がSNSに不適切な抗議文を投稿したことについても強く抗議し、適切な対応をするように求めました。
一方の中国側は、高市首相の発言が『ひとつの中国の原則に背く』と、激しく抗議したようです」(同前)
今後、どのような曲折をたどるのか。日中問題に精通する国際問題評論家で、日本維新の会所属の参議院議員でもある石平氏に聞いた。
「高市首相が発言の撤回を明確に拒否していることで、中国は観光客の訪日を止めたりしていますが、効果はありません。対応に苦慮しているのは、日本より中国です。もし、中国が厳しい措置をとるなら、協議を終えたあとにすぐにできたでしょう」
また、この協議では、中国の劉局長が金井局長に対してポケットに手を入れたまま話しかけるなどの“態度”も注目された。Xでも
《態度悪い》
《まるで子供の振る舞い》
などの声があがっていた。これについても石平氏が分析する。
「協議のあとに、劉局長がポケットに手を突っ込む傲慢な態度をとっていましたが、あれは中国の国内向けに『日本は降参した。自分たちが勝利した』と印象づけるための姑息な手段です。逆にいえば(印象操作以外に)対抗手段が取れないということでもあるのです。
さらにいえば、この問題をエスカレートさせることによって、国際社会が台湾問題に関心を高めることになると、結果として中国に批判が集まり、不利な立場になってしまいます。中国はこれを心配しているはずです」
日中間の今回の軋轢は、どのように決着するのだろうか。
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