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「暴走族に入っていた、という噂にはノーコメントです(笑)」維新・黒田征樹衆院議員、「中卒国会議員」だから得られる信頼…日当6000円の現場で学んだ「政治とカネ」

社会・政治 記事投稿日:2025.12.03 15:50 最終更新日:2025.12.03 16:57

「暴走族に入っていた、という噂にはノーコメントです(笑)」維新・黒田征樹衆院議員、「中卒国会議員」だから得られる信頼…日当6000円の現場で学んだ「政治とカネ」

日本維新の会・黒田征樹衆院議員(写真・梅基展央)

 

「私自身の経歴が自慢できるものではないため、正直なところ複雑な気持ちもあります」

 

 ためらいながらも、インタビューに応じてくれたのは、日本維新の会所属の黒田征樹衆議院議員(大阪16区)。言葉通り、国会議員としては異色の経歴の持ち主だ。

 

 高卒国会議員ですら珍しいなかで、黒田氏の最終学歴は「中卒」。地元・大阪府堺市の公立中学を卒業後、高校進学の道は選ばず、塗装の仕事に就いた。

 

「中学時代はサッカーと空手で青春を謳歌していました。正直、“ヤンチャ”もしましたよ。暴走族に入っていた、という噂にはノーコメントです(笑)。高校へ行かなかったのは、小5のときに親が自己破産したということもあるのですが、そのせいにはしたくない。まあ、私の出来が悪かったんですよ。何より、早く働いてお金を稼ぎたかったんです」

 

 中学を卒業後、一人暮らしを始め、塗装会社に就職。まだ15歳の少年にとって、社会は甘いものではなかった。

 

「社会に出ると、当たり前ですが、厳しさの連続でした。朝が早く、夏は灼熱、冬は極寒。日当6000円からのスタートでした。それでも、仕事の現場で鍛えられ、『誰かの役に立つことで信頼を得る』『感謝・感動の対価としてお金を得る』ということを身体で覚えました」

 

 22歳で独立し、27歳で株式会社Art-Projectを設立。社長となる。そして「政治」に目覚めた。

 

「会社を設立した当時、『税金の無駄遣い』が連日、テレビで報道されていました。『こっちは資金繰りにも苦労しているのに政治家は何をやってるんや』と、腹が立ちましたね。経営者として納税者として社会と向き合う中で、当時の政治や行政の不条理に強い問題意識を持つようになりました。税金の使い方、制度の不公平、無責任な仕組みに対する怒りが、政治を志す原点です」

 

 そして31歳で堺市議に挑戦し、その後、4期連続で当選を重ね、2024年の衆議院選で見事、初当選を果たす。永田町では、「中卒」という経歴もあってか、温かい声ばかりが届いたわけではなかったようだ。

 

「実際にお会いする方々からは『応援している』『自分も頑張ろうと思えた』といった声援が圧倒的に多いです。それでも、時には『中卒』という経歴だけで、最初から色眼鏡で見られることもあります。特に政治の世界では、『あの人はどこの大学?』というような、学歴で人を見る空気が今でも少なからずあるのは事実です」

 

 実際、心無い言葉を受けたこともあったという。

 

「ある研修会で、初対面の議員から『え?高校行ってないの?』と半笑いで言われたことがあります。悔しいというより『この人は、学歴でしか人を見てないんだな。でも絶対に見返してやる』と思いました。

 

 高校や大学で得られるような人脈を羨ましく思うことはありますが、それ以上に自分の人生だからこそ築けた、心強く実直な仲間との繋がりがあります。そうした信頼関係に支えられている今、経歴を理由に苦労を感じることはなくなりました」

 

 そもそも、国会議員になるために学歴は必要ではないが、それでも、大卒が多数を占める国会議員になるには、見えない“学歴の壁”があるのは否定できない。黒田氏はなぜ、その“壁”を打ち破って選挙で勝つことができたのか。

 

「家族や同級生・先輩・後輩、地元の皆様に支えていただいたおかげです。とくに、地域のオッちゃん、オバちゃんは僕の昔のことを知っている人もたくさんいて『あんた、昔、悪かったんやろ。そういうあんたみたいなんが頑張らなあかんのや』と応援してくださる。僕のエネルギーはそうした人たちの『期待』ですね。堺市議選で初めて当選させていただいたときに、『こんな僕に何千人もの方が一票を投じてくれたんや』と感謝に震えました。

 

“期待値”のスタートラインが低い分、結果が伴えばより高く評価されることがあると感じています。また、『這い上がってきた人間』としてリアリティや説得力を感じてもらえることもあり、自分の経歴がプラスに働き、人の心に届く瞬間を実感することもあります。

 

 学歴や肩書にとらわれず現場で培った感覚を持ち、泥臭いことも恐れず実行できる。それが高卒や中卒の国会議員の持ち味だと思います。頭でっかちにならず、挫折を恐れず、自分の感性を信じて挑戦する姿勢は多様な価値観を受け入れる社会の実現において、私が果たすべき役割であると考えています」

 

 この熱量が、政治を動かしている。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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