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高市早苗首相、「維新切り総選挙」の可能性はあるのか…識者は“公明党の連立出戻り”シナリオも指摘

社会・政治 記事投稿日:2025.12.09 14:30 最終更新日:2025.12.09 14:36

高市早苗首相、「維新切り総選挙」の可能性はあるのか…識者は“公明党の連立出戻り”シナリオも指摘

2025年、総理就任後の高市早苗首相は口角が上がった自然な笑顔に(写真・長谷川 新)

 

 首相就任から1カ月半、いまだに高い支持率を誇る、高市早苗首相。台湾有事に絡み「存立危機事態」に触れた発言が中国からの強い反発を招くなど、トラブルめいた事柄はいくつか取りざたされたものの、いまだに国民の人気は高いようだ。

 

 そんな中で注目を浴びているのが、「1月解散説」。高い支持率のまま総選挙を強行的に行い、少数与党に落ち込んだ自民党の議席を大幅に回復させるのではないか、との噂も囁かれている。政権樹立のために手を取り合った日本維新の会との共闘関係にも、注目が集まるところだが、維新と自民党の間で緊張関係が走る出来事が。日本維新の会に離党届を出したのち除名された3議員が、自民党会派入りしたのだ。これにより、自民党と維新で233議席となり、衆議院で過半数に達した。元朝日新聞政治部デスクの鮫島浩氏は、こう語る。

 

「連立のパートナーである維新を辞めた人間を招き入れるというのは、維新からすれば『舐めているのか!』という事態でしょう。普通はあんなことしません。それに踏み切ったということは、それだけ維新を軽んじているということですよ。逆に言えば維新に対して、『維新を逆なでしても構わんと思っている』という自民党のメッセージでもあると思います」

 

 こうした動きは、単なる衆院における3議席増をのみ意味するのではないようだ。鮫島氏は、自民党がいずれ「維新切り」する可能性まで指摘した。

 

「今、高市さんの支持率が非常に高いので、今解散総選挙をしたら、どの党よりも自民党が強いでしょう。場合によっては、単独過半数を回復できる可能性もある。

 

 一方、維新としては、せっかく与党入りしたのに、自民党に議席が回復されてしまうと“用なし”になってしまうので、解散されたら困る。そこで、連立入りの際に『議員定数削減』という政策を持ちだした。これにはある種、総理の解散権を縛る効果があって、与野党でこうした選挙制度を議論しているさなかに、こうした議論を打ち切って『現行制度で解散します』というのは、通例であればやりにくいはずです」

 

 だが、そうしたリスクを冒してでも高市氏が解散に踏み切る可能性も十分にある。解散することによって政権を強くする、というのも歴代総理が打ってきた手法の一つだったようだ。大胆な総選挙を戦ってきた歴代総理を引き合いに出し、鮫島氏はこう続ける。

 

「総理大臣の力の源泉は解散権です。安倍晋三氏や小泉純一郎氏は、総理だった当時に、早い段階で解散をして、勝って、長期政権を樹立しました。解散をしないと長期政権にはできないし、逆に解散総選挙に勝てば、強い政権を作れるという側面があります。

 

 今の高市政権は高支持率ながら、史上まれにみる弱い政権です。衆参ともに、ほぼ過半数の状態ですから。こうした状況で、高市さんが周囲の反対を押し切り、『今なら勝てる』と解散すれば、これは強い政権になりますよ。実際、現政権のキングメーカーとされる麻生太郎氏は、早期解散を望んでいるとも聞こえてきます。

 

 ただしそのためには、議員定数削減を打ち出した維新を切らねばならない。維新は当然反対するでしょうが、反対されたらそれを種に連立解消し、解散してしまう可能性もあります。そうすれば、おそらく総選挙には勝てますよ」

 

 鮫島氏が語った「維新切り解散総選挙」の可能性は、どれほど現実的なものなのだろうか。政治ジャーナリストの青山和弘氏は、早期解散の可能性についてこう語った。

 

「高市さんの周辺には『早く解散すべき』という議員が少なくありません。しかし、高市さんはあまり解散には前向きでないようです。今山積みになっている政策を実現したい、という思いが強いと見られます。

 

 ただ一つだけ言えるのは、年明けに通常国会が始まるまでは、結構時間が空いているんです。例えば外務省は、そこにヨーロッパ外遊を提案しているのですが、これに対しては保留にしています。

 

 こうした状況で客観的事実として、年始に解散総選挙に打って出る時間的余裕は、あるにはある。やろうと思えば『1月解散』は可能ですが、私が取材する中では、今の臨時国会がどういう方向性に向かうかもわからない中で、現段階で前向きという感じではないようです」

 

 あくまでスケジュールを客観的に見た際に、「1月解散」の余地はあるという青山氏。一方、政治評論家の有馬晴海氏はこう指摘する。

 

「今の高支持率は実績というよりは期待値が反映されたものでしょうから、早期解散は考えにくいのではないか、と私は見ています。

 

 今後は、防衛費増額に伴う増税なども視野に入ってくるでしょうから、それに対する批判も当然受けることになると思われます。今も、存立危機事態の発言で対中関係が悪化し、インバウンド客が遠のいている。ホテルは干上がっています。つまり、今後何か起こったときには高市人気が急速に落ちる可能性も、まだ抱えているわけです。

 

 解散をするなら、早くても予算が組まれた後の4月以降だろうと思いますが、その時に、果たして今ほどの支持率を維持できているかはわかりません」

 

 では、「維新切り」についてはどうだろうか。有馬氏は、自身がキャッチした公明党の動きとともに、こう分析した。

 

「実は、公明党内部では自民党との連立に戻ろうという動きもあるようなんです。というのも、公明党の“新しい奥さん”となった野党第一党の立憲民主党の動きがあまりにも鈍いから。

 

 高市さんに最後通牒を突きつけた斉藤鉄夫代表を降ろして、新たな代表を立て、連立出戻りというわけです。もしそういった話になれば、これまでに連立の実績がある公明党をとって、自民党は維新を切ると思いますよ」

 

 解散、そして維新との連立の行方は――。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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