
トランプ米大統領と満面の笑みで友好アピールをした高市早苗首相(写真・JMPA)
先の日米首脳会談で、高市早苗首相がトランプ米大統領に贈ったキャップが大きな話題になった。刺繍されていたのは「JAPAN IS BACK」の文字だ。この「Japan is back」という文言が、現在商標登録を申請されている。
申請登録されたのは、首脳会談のあった10月28日。日米首脳会談を取材した大手紙の政治部記者は、こう解説する。
「刺繍入りのキャップを高市首相がトランプ大統領に送ったことは、会談当日に首相官邸、米ホワイトハウスがそれぞれのXアカウントで公表しています。首脳会談が大成功だった空気感を醸成させることに、このキャップが一役買ったのは間違いないと思います」
では、どのような組織が商標登録申請をおこなっているのか――。
高市首相を支援する全国キャラバン「Veanas号」では、公式グッズとして、高市首相愛用の歯ブラシなど、彼女にまつわるグッズを販売している。この通販サイトを運営するのが、Veanas合同会社だ。だが、発送業務を担うのは、別会社の「PoliLab合同会社」。今回「Japan is back」を商標登録申請したのが、この「PoliLab合同会社」だ。
この「PoliLab合同会社」は、高市首相の政治団体の政治資金報告書によれば、2024年の自民党総裁選で宣伝広告費として3300万円の支出がされた記載もある。代表の織田匠吾氏は、自民党大阪青年局のメンバーでもある。
「織田さんは2023年の豊中市会議員選挙に立候補し、落選しています。豊中市の青年会議所会員でもあります。自民党学生部の経験もあり、言ってみれば、コテコテの自民党員です。織田さんが市議選に勝っていれば一気に衆議院選挙の公認を狙ってくるはずともっぱらの噂でした」(大阪自民党関係者)
つまり、商標登録は明確に高市首相を支持する自民党党員らによって申請されていたといえるだろう。ちなみに「Veanas号」公式サイトは、高市首相の選挙区である奈良2区の自民党第2区青年局長が運営しているサイトであり、本誌も亀岡宏和局長からコメントを受けたこともある。
もちろん商標登録によって直接的な利権が生じるわけではないし、あくまで申請中であり、これが商標として認められるかは未確定でもある。とはいえ今後、「Japan is back」が、どこまで世間に受け入れられ、波及するのかも未知数だ。「似たような例としてはオバマ前大統領の2008年大統領選で、世間に浸透した『YES WE CAN』があります」とは、ジャーナリストの松崎隆司氏だ。
「大型の景気対策を指すスローガンだったわけですが、オバマ・ブームもあり、また商標が取られていなかったので、オバマ大統領の関連グッズとして顔写真と一緒にプリントされたTシャツなどのアパレル商品や缶バッチなどが米国土産として量販店で広く販売されていました。
流行語大賞は『働いて働いて働いて働いて働いてまいります』でしたが、そもそも、高市さんが2025年の総裁選で掲げたスローガンは『Japan is back』でした。もし、流行語大賞に『Japan is back』が選ばれていたら、大きな商権になっていた可能性はあったでしょう」
今回の高市首相のケースでは、本人ではない自民党関係者による商標申請だが、政治アナリストの伊藤惇夫氏はこう苦言を呈する。
「日本の政界では、あまり聞いたことがない事例です。ただちに問題があるわけではないでしょうが、自民党員も関係しているので、一種の利益供与と疑われても仕方がない事例のようにも考えられます。『商標登録』くらい良いじゃないかという意見もあるでしょうが、こうした関係性がもっと大きな利益供与に発展する可能性は否定できませんからね。
また、トランプ大統領へのキャップのプレゼントはサプライズだったはず。確かに申請日から勘案するに、事前に情報が伝えられていたと考えるのが妥当です。“モヤモヤ”感はぬぐえません」
商標登録の申請からは、高市首相の応援団の熱気が伺えた。
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