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「リモート会議中も性行為」大手広告代理店“30代エリート男”の「独身偽装事件」判決文に記された蛮行

社会・政治 記事投稿日:2026.01.09 17:30 最終更新日:2026.01.09 17:30

「リモート会議中も性行為」大手広告代理店“30代エリート男”の「独身偽装事件」判決文に記された蛮行

高級シティホテルのソファで仲睦まじい様子のA子さんとB氏

 

既婚者だと知っていたなら、私は絶対に関係を持つことはなかった。そのことは最初から明言していましたし、彼に何度も既婚者でないかを確認していました」

 

 そのように語るのは、神奈川県在住の会社員・A子さん。独身限定のマッチングアプリで、2023年に既婚者であることを隠して自身と交際した男性を、性的自己決定権(貞操権)侵害で訴えた原告女性だ。

 

「私が『もっとも嫌いなのは、都合のいい不倫相手にされること』と伝えると、彼は『される側はメリットはないですもんね』と理解を示して独身を偽装し、『ほかに大事な人はいない』などの言葉を繰り返しました。将来を見据えた真剣交際であることを匂わせ、私を性的に“搾取”してきたのです。ここで泣き寝入りをしたら彼はきっと同じことを繰り返す、私のような目に遭う被害者を増やしたくない、そう思って訴訟に踏み切ったんです」(A子さん、以下同)

 

 2025年12月8日、東京地方裁判所は男性の貞操権侵害を認め、慰謝料110万円を含む、総額およそ150万円の賠償を命じる判決を下した。判決は新聞やテレビなどでも大きく報道され、「独身偽装」や「貞操権侵害」が社会問題として広く認知されるきっかけとなった。過去の独身偽装をめぐる裁判では、賠償の額は50万円前後に止まるケースが多かったが、今回は、これまでの水準を大きく上回る賠償が命じられたのだ。

 

 被告の男性・B氏(30代)は、大手広告代理店に勤務。当時、部署横断のプロジェクトを担当し、インターネット上では顔写真付きの記事が確認できるエリートだ。

 

「代理店の営業やクリエイティブ部門の人はチャラくて遊び慣れているイメージでしたが、彼は『女性慣れしていない』と語り、朴訥で誠実な印象でした。話してみても、女性を騙すようなタイプに思えなかったので、信じてしまったんです。出会った当初は、大手広告代理店のマネージャー(管理職)であることを強調していました」

 

 裁判では、B氏がマネージャーであることは真っ赤な嘘だったことが判明している。さらに、真面目な印象からは想像できない大胆な行動も取っていた。

 

「実際の仕事ぶりを見せたかったのか、わざわざ勤務日にホテルを取り、リモート会議中に性行為をさせられたことが何度もありました。会議の内容ももちろん筒抜けで、部署同士の定例報告や、海外視察の計画に関する取引先企業との会議などが印象に残っています」

 

 判決文には、B氏がA子さんに《午後の会議をラブホとかにしちゃうか》《バーチャル背景にしとけば大体大丈夫》と送ったLINEが証拠として採用されている。さらに、横浜市内の高級ホテルで「部屋でリモートワークを行いながら、陰茎を扱うなどした」「リモート会議の予定時間になっても、原告との性行為を継続した」などの事実が認められている。

 

 有名私立大学を卒業後、地方銀行、Webマーケティング会社を経て、大手広告代理店に中途入社したB氏。キャリア女性であるA子さんも、地方からステップアップしてきたB氏のことを同じ目線で話ができる“真面目な仕事人間”で、価値観が似ていると感じたという。だが、そのB氏は華やかな世界に移って、舞い上がってしまったのだろうか。このような行動に加えて、際立つのが彼の性欲の強さである。

 

「交際期間は4カ月でした。その間、性行為は229回にも及びました。彼が毎回記録をつけて、共有してくるんです」

 

 A子さんは法廷でも行為の回数を証言している。この回数を交際期間で割ると平均で一日1.9回にもなるが、毎日会っていたわけではない。

 

「1日に10回などもありました。1泊2日の旅行で17回に及んだこともあります。私が生理のときも浴室やベッドにバスタオルを敷いて行為を求められました。あまりに性行為の頻度が多いので体がもたず、性交痛や不正出血もあるので、『普通のカップルがする程度の回数にしてほしい』とお願いしたこともありましたが、『結婚には体の相性が最重要』『性欲だけでは1~2回しかやれない、愛情がないと普通興味が失せる』と説得され、結局、最後まで回数は減らしてはくれませんでした」

 

 これらの性行為を、B氏はレポートにまとめ、A子さんに送りつけていた。そして驚くべきことに、B氏はすべて避妊をせずにおこなっているのである。しかもB氏は交際期間中、A子さんに性感染症(クラミジア)までうつしている。裁判では、A子さんは交際前に性感染症の検査を受けて陰性の結果が出ており、B氏以外との交渉はなかったことが判明している。また、A子さんが感染を伝えたとき、B氏は自分が保有していた可能性に言及した。

 

「私以外の相手にも、同じようなことをしていたのかもしれません。コンドームの装着をお願いしても着けたがらないので、『妊娠したら責任を取って』と伝えたところ、『責任を取る』と言って何度も膣内射精されました。当時、彼が好きだったから、将来を見据えた真剣交際だと思ったから受け入れていたんです。既婚者だとわかっていたら、絶対に受け入れなかった……」

 

 A子さんは、B氏との交際が4カ月を過ぎたある日、突然LINEをブロックされ、ほかの一切の連絡手段を断たれた。

 

「前日まで普通にやりとりして、旅行の計画も立てていました。何度も『連絡が欲しい』と伝えましたが返事はなく。私は納得がいきませんでしたので、調査会社に依頼したところ、彼は20代早々で結婚していて、お子さんも2人いるらしいことがわかったんです。奥さんとお子さんの写真を見て、こんな可愛いお子さんがいるのに、彼は何をしているんだろう、彼は何を考えていたのか、私に言って来たことは全部ウソだったのか──。愕然として、泣き崩れました。

 

 後でわかったことだが、B氏はA子さんとの性行為の様子を撮影した画像や動画を妻に発見され、責められて指示されるがままにA子さんを“ブロック”したのだという。性行為の様子を撮影した画像や動画は、今はB氏の妻が保管し、夫の独身偽装を知りながらも「不貞の証拠」として削除を拒否している。A子さんは、こう訴える。

 

「“不貞”ではないんです。彼が独身だと思ったから、彼が好きだったから行為を受け入れた。既婚者だと知っていたら絶対に受け入れなかった。不倫、不貞行為などと言われることがありますが、独身を偽装されたために判断を歪められた性的自己決定権の侵害で、本来は不同意である性交ともいえる、れっきとした性加害なのです」(A子さん、以下同)

 

 A子さんは、調査でわかったB氏の住所に手紙を送ったところ、すぐに弁護士を立てられ、弁護士を通じての話し合いになった。B氏から謝罪の言葉は一切なく、解決金20万円のみ提示された。交渉は決裂し、2024年10月に訴訟に踏み切った後も、B氏の対応は一貫して不誠実なものだったという。

 

「裁判官の心証も悪く、最終的に裁判所から慰謝料300万円の和解案が提示されました。弁護士は異例の金額だと驚いていましたが、私にとってはお金の問題ではなく、反省の色を見せない彼に不法行為の事実認定を突きつけたいと判決をいただくことにしたのです」

 

 B氏からの謝罪の言葉は、裁判中も一切なかった。

 

「本人尋問の際、原告による被告質問の機会が与えられ、私が直接、彼にいろいろ問いただしたのですが、『わからない』『記憶にない』を繰り返し、目を合わせようともしませんでした」

 

 同種の事案を多く手がけ、今回の裁判も傍聴した第一東京弁護士会所属の川面武弁護士は、裁判中のB氏の様子を次のように語る。

 

「反省していないという印象を受けました。独身偽装の訴訟では、表面上だけでも謝罪する被告が多いのですが、彼は疲れ切った表情を見せながらも、最後まで謝罪や反省に関する言葉を口にしませんでした」(川面弁護士)

 

 川面弁護士は、「不倫相手のみを対象とした損害賠償請求事件における不貞慰謝料などと比べても、独身偽装の慰謝料水準が低額なことは不合理」とも訴える。

 

 A子さんには、疑問に思っている点がある。B氏の、大手広告代理店での立場だ。

 

「裁判の判決文には、会社名も、彼がリモート会議中に性行為をしたことも、業務上のやりとりが筒抜けだったことも書かれています。完全なコンプライアンス違反ですし、これだけニュースにもなっているので、何らかの処分を下されてしかるべきだと思います」

 

 本誌が大手広告代理店にB氏の在籍確認と、判決を受けて何らかの処分をおこなったか、もしくはおこなう予定があるのかを問い合わせたところ、広報部門よりこのような回答があった。

 

「本件にかかわらず、社員個人の業務以外に関する案件につきましては、個人情報的観点から、在籍確認などについてもお断わりしております。何卒ご了承いただけますよう、よろしくお願いいたします」

 

 2025年12月23日には、さいたま地検の検事が同様の独身偽装をおこない、同26日付で懲戒免職となった。その後、前科前歴や捜査情報を漏らしていた疑いも報道されている。A子さんは、裁判に勝訴した現在も、「これだけの被害を受けて、約150万円の賠償金では正直低すぎるとの気持ちはあります」と悔しさをにじませる。

 

「私は、彼が妻子ある既婚者と知ってから、何度も死にたいと思いました。適応障害になって以前のように働けず、収入も大きく減りました。裁判では、このぶんの賠償はわずかしか認められなかったのです。けれど、独身偽装と貞操権をめぐる裁判では水準を上回る賠償額で“画期的な判決”との声もいただき、世間でも大きく取り上げていただきました。これで、独身偽装が重大な不法行為であるとの認識が広がりましたから、多くの被害女性が泣き寝入りせず声を上げ、加害者に賠償を求める流れが生まれ、ゆくゆくは刑事罰化に繋がれば本望です」

 

取材/文・ウラノけいすけ

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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