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人間をナメきった「新世代クマ」が襲ってくる!西日本は4月にも人里に現れる可能性【専門家が語る獣害予想】

社会・政治 記事投稿日:2026.01.12 06:00 最終更新日:2026.01.12 06:00

人間をナメきった「新世代クマ」が襲ってくる!西日本は4月にも人里に現れる可能性【専門家が語る獣害予想】

中津川河川敷を歩くクマ(写真・共同通信)

 

 2025年の「今年の漢字」にも選ばれた「熊」。2025年4月〜11月末の全国のクマ被害件数(速報値)は209件、被害者数230人うち死亡者数は13人と、過去最悪の数字を記録している。ツキノワグマなどの野生哺乳類の遺伝進化を研究している森林総合研究所の大西尚樹氏は、クマ被害の急増には2つの理由があるという。

 

「ひとつは、東北地方のブナやナラの実の大凶作です。これらはクマの秋の主食で、食べ物がないため人間の生活圏まで降りてきています。

 

 またもうひとつは、里山の消滅です。昔は奥山と人里の間に里山があり、薪や畑の肥料を取るために使用されていました。それが経済の変化により里山が手入れをされず、過疎化により耕作放棄地も増え、野生動物たちの居心地のいい場所になってきた。つまり、野生動物の生息域と人間の生活圏がかなり近づいたことにより、クマが目撃されやすくなってきているのです」(大西氏)

 

 長岡技術科学大学准教授で、野生動物の調査や鳥獣被害対策を手がける「うぃるこ」の山本麻希代表も同様に、「ブナとミズナラ、コナラの大凶作が重なっていることが大きな原因」と言う。

 

「東北や北陸のクマは、ブナに影響されやすいです。クマ被害の話題が多かった2023年も、ブナの凶作が原因といわれています。2026年は新潟のブナが豊作になるなど、2025年ほど問題にはならないところも多いと思います」(同前)

 

 では、2026年はクマは山から下りてこなくなるのか。

 

「クマは基本どんぐりを好むので、豊作であればある一定数は山でおとなしく生活すると思います」(大西氏)

 

 だが、「人間の生活圏での “楽さ” を覚えてしまったクマは危険性がある」と山本氏は指摘する。

 

「クマは寿命が長くけっこう頭もいいので、 “学習” するんですよ。人間の生活圏に行けば、エサがある、手に入れるのも山より安全で楽だ、と。その証拠に、ブナの大凶作時のクマの出没件数は、年々増加してきています。

 

 また、母グマに人間の生活圏でのエサ取りを学び、人里近くに定住した “新世代クマ” が二代、三代と代替わりをして増えています。

 

 このクマたちは、人間に慣れていて怖がりません。そんな “新世代クマ” の人里の出没率は、今後も増えていくと考えられます」(同前)

 

 大西氏も「人間を怖がらないクマが増えている」と人間をナメたクマに警鐘を鳴らす。

 

「昔は、里山にクマが現われても追い返すマンパワーがありましたが、最近では猟友会の人も減り、なかなか追い返すことができません。追い返すことができないと、クマは人間を怖い存在だと思わなくなります。

 

 最近、クマによる死亡事故が起きると、『クマが “人間の味” を覚えた』と言う人がいますが、あれは違います。人間と接触した結果、クマが人を怖がらなくなったために距離感が近くなってしまい、事故につながったのです。

 

 以前、クマが出たときに軽トラで追い返したらそれ以降出なくなったと言う人がいましたが、この方法は意外と理にかなっています。クマは危険な場所だと知ると出没しなくなります」(同前)

 

 2025年のクマの大量出没に対して、国は「危機的な事態」と被害の多い地域に自衛隊の派遣をしたり、緊急銃猟や警察官による発砲を許可したり、大きく動き出した。

 

「これまでは、クマが絶滅しないように制限して駆除してきました。ですが、クマは繁殖力が強く、個体数が予測を大幅に上回っている状態です。このようなクマが山で高密度になっている状況では、積極的に捕獲して、個体数をある程度減らしたほうがいいだろう」と、大西氏は話す。

 

 山本氏も、「クマの大量出没の年はいつもより駆除を多くおこなうが、数年で戻るのが現状。これまで以上の駆除が必要だと思います」と言う。

 

 また、クマが人間の生活圏に出没しない “山作り” も必要になってくるという。

 

「ブナが凶作のときに、ナラのどんぐりがあることでクマは山から下りずに食事にありつけていました。そのナラの木が今、枯れているのです。

 

 枯れてしまったナラの木は一度切って大きく育てないと元に戻らない、大変面倒くさい木です。今のままならどんぐりの木は生えてこないです。クマ被害を抑えるためにも、国が力を入れて恒久的にクマがエサにありつける森を回復させることが大事です。

 

 ただ、これには相当な費用がかかります。地方自治体で費用全体をまかなうことは難しいですね」(山本氏)

 

 現在はクマの冬眠期で、出没数は減っている。2026年のクマの動向は、どうなるのか。

 

「東北のブナやナラは豊作になる予想なので、2025年に東北地方で出没していたクマの大半は山で過ごすと思われます。

 

 ただ、新世代クマは4月ごろから動きだし、桑の実やトウモロコシを食べるため、出没するかもしれません」(山本氏)

 

「東日本」でクマの出没数が減る予想に対して、「西日本」は警戒が必要だという。

 

「西日本のブナは凶作になりそうです。西日本はクマをほぼ絶滅寸前まで追い込んだ過去があるため個体数が少ないといわれていましたが、西日本でもクマの高密度化が始まっています。

 

 4、5月からクマがエサを求めて人里付近に現われることが増えると思われます。山菜採りで山に入るときは必ずクマ鈴をつけ、またクマが出てこなかった地域でも気をつけてください」(大西氏)

 

 危機的状況は、2026年も続きそうだ。

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出典元: 週刊FLASH 2026年1月20日・27日合併号

著者: 『FLASH』編集部

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