楽天グループ株式会社・三木谷浩史代表取締役会長兼社長より、本誌記事(2023年4月18日号掲載)が名誉毀損に当たるとして提訴されていた裁判で、2026年1月14日、本誌側の上告が棄却され、東京高裁での控訴審判決が確定しました。
当該記事は、深夜の東京・六本木の歩道上で、キャップを被った男性A氏と芸能人、そして上半身を下着一枚になった三木谷氏がポーズを取る写真を掲載したものです。本誌は関係者への取材をもとに、三木谷氏と肩を組んで写っているA氏が、コカインを密売している現役暴力団員であることを突き止め、A氏本人への取材もおこないました。
本誌の取材では、三木谷氏がコカインをA氏より購入していた事実は認められなかったため、楽天グループ広報部に質問状を送付し、強く否定するコメントを取ることで、読者に誤解を生まないよう、慎重に事実関係を記した記事を作成しました。その一方で、それ以外の点については、A氏の話をもとに慎重な取材をおこない、確認がとれた事実のみを詳細に記しました。
これに対し、確定した控訴審判決では、次のように判示されました。
「一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すれば、本件各記事は(略)少なくとも1審原告三木谷がコカインの密売人であるA氏からコカインを購入した疑いがあるとの事実を摘示したと認めるのが相当である」
その結果、本誌側の主張も一定程度で認められた東京地裁での一審判決に比べ、3倍となる合計660万円の損害賠償と訂正記事の掲載が命じられたものです。
判決では、一審、二審ともに本誌側の取材記録の不備が一部認定されました。その点については編集部として深く反省し、今後の改善に努めてまいります。
しかし、取材して確認できた限りの事実を慎重に記載し、読者に誤解を与えないよう万全の配慮をおこなったうえで記事を作成したにもかかわらず、思いもよらない事実を認定され、その結果、三木谷氏の名誉を傷つけたと司法として判断されたことは、到底受け入れることができません。取材した結果を詳細に記すことで、意図しない事実を認定されて名誉毀損に問われるならば、我々は記事作成に際して大きく萎縮せざるを得ないからです。
この点で、確定した控訴審判決は極めて不当であると編集部では考えています。
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今回の三木谷氏および楽天グループによる本誌記事への名誉毀損訴訟について、ジャーナリストの寺澤有氏は以下のように語ります。寺澤氏は、2003年に消費者金融の最大手・武富士のスキャンダルを暴き、週刊誌で記事を執筆した結果、名誉毀損で2億円の損害賠償を求めて提訴されたものの、次々と新たな記事を執筆し、武富士側に請求を放棄(そもそも名誉毀損がなかったことを認め)させたジャーナリストです。
「1988年に発覚したリクルート事件も、川崎市助役がリクルートに便宜をはかる見返りに未公開株を譲渡されて利益をあげたのではないかという、いち地方公共団体の小さな疑惑が発端でした。その後、政治家や事務次官経験者が逮捕される一大贈収賄事件へ発展しましたが、最初に記事となった川崎市助役は最終的には刑事責任を問われていません。しかし、その後の疑惑の追及には必要な記事だったわけです。
報道機関の役割は捜査機関の役割とは違います。証拠を完全に押さえて、裁判で有罪に持ち込める段階まで報道できないとしたら、報道機関が存在する意味がありません。そもそも、報道機関には強制的に証拠を収集する権限もありません。
今回のFLASHの記事に対する裁判所の判断も含め、近年の名誉毀損訴訟で報道機関側に厳しい判断が続く状況から、報道機関が疑惑を報道するのを躊躇して、結果的に大きな社会的不正義が野放しになっていると感じます」
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今回、第一審の東京地裁では、本誌が掲載した写真そのものについても、三木谷氏側より「ねつ造ではないか」との主張がありました。
もとより取材の過程では、写真提供者の携帯電話の内部データを本誌記者が直接閲覧するなどして、写真の真偽は慎重に確認していましたが、警察への技術指導もおこなっている外部の専門家が詳細に鑑定した結果、画像に改ざんの痕跡はなく、ねつ造ではないことが裁判でも証明されています。
三木谷氏といえば、一代で楽天グループを築き上げた、日本を代表する経済人です。政府関係の会議のメンバーや経済団体の代表理事も務める一方、東北楽天ゴールデンイーグルスやヴィッセル神戸のオーナーとして、スポーツ界でも重きをなします。このような公人が、深夜の路上で下着一枚になって撮影された写真が存在するのであれば、本誌はその背景や経緯を取材して報道することには、高い公益性と公共性があると考えます。
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今後も本誌は、反省すべき点はきちんと反省しつつ、報道機関としての役割を全うする所存です。読者のみなさまの目となり足となって、事件、疑惑、スキャンダルを追い続けます。以上、今回の判決への本誌の考え方をお伝えするとともに、今後ともご支援を賜りますよう、何とぞお願い申し上げます。
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