菊池啓太郎容疑者(写真・本人のFacebookより)
2月10日、警視庁特別捜査課が暗号資産を詐取した疑いで、東京都港区在住、職業不詳の菊池啓太郎容疑者(30)を逮捕したことが分かった。警視庁はすでに電話をかける「かけ子」の男9人を逮捕しており、菊池容疑者をリーダー格と見て捜査を進めている。
「副業サイトをうたって利用者を募った菊池容疑者は、2025年の春頃に大阪府の20代女性に『初期費用が必要』と嘘をつき、165万円相当の暗号資産を騙し取りました。被害者は後を絶たず、46都道府県の約450人から計7億円以上を詐取したとみられています。さらに、犯行拠点となったアジトからは2万人の名簿が押収されました」(社会部記者)
2022年に日本を震撼させた「ルフィ事件」以降も、特殊詐欺の被害は深刻さを増している。警視庁によれば、2025年に確認された特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺の被害総額は3241億円に上り、前年比1.6倍という“過去最悪”の数字となった。その一端を担うまでに堕ちた菊池容疑者は、なぜ犯罪に手を染めたのか。彼の知人は複雑な胸中をこう語る。
「彼は180cmを超える爽やかなイケメンでした。静岡県出身で、中学時代は恵まれた体格を活かしてリトルシニアで野球に打ち込んでいました。高校は野球の推薦で、県内屈指の進学校である静岡高校に進学。
同校は甲子園出場常連の強豪です。菊池は高校時代は外野手としてプレーし、惜しくも甲子園出場は叶いませんでしたが、東海大会準優勝の成績を残しています。50m走は5.8秒の俊足でプロからも注目されていましたが、大学進学を選びました」
野球推薦で中央大学に進んだ菊池容疑者。当時の友人はこう振り返る。
「野球には熱心でしたね。プロも目指していたようですが、途中から営業職に興味を持ったようです。
ベンチャー企業でインターンをしながら営業や経営のノウハウを学び、卒業後は大手人材派遣会社に就職しました。次に選んだのがプルデンシャル生命保険です。2020年ごろに転職しました。2021年夏には結婚もして、まさに順風満帆でしたね。『若いうちにプルに転職できて嬉しい』と喜んでいたことを覚えています。体育会系出身で、エネルギッシュな高身長のツーブロックイケメン。まさに絵に描いたような“プルゴリ”(猛烈に働く同社社員の俗称「プルデンシャル・ゴリラ」の略)です」
だが、その転落は早かった。
「3年半ほど勤めた2023年7月ごろに退職してしまいました。本人は辞めた理由について『起業したいから』と話していましたが、実際は営業成績があがらず、思ったより稼げていなかったようです。その後は、実際に自分で会社を立ち上げてさまざまな事業をしているようでしたが、“怪しい仕事をしている”と話題になり、あまり深く関わる人はいませんでした。金回りがよかったという話も聞かないですね。
社会常識はあったはずですから、まさか特殊詐欺に手を出していたとは驚きです。自分のやっていることが“犯罪”だとわかっていたはずですが……。自業自得ですね」
大学時代の別の知人は、ある深刻な不安を口にする。
「プルデンシャルに入社してからは、野球部の人脈を積極的に使って営業をかけていました。何人もの野球部関係者が、彼から保険契約を誘われたという話を聞いたのです。もし、こうした個人情報をそのまま特殊詐欺にでも活用されていたらと思うと不安です。菊池は捕まっても、個人情報はそのまま裏社会に残るんじゃないかという気がして……」
プルデンシャル生命保険といえば、100人超の社員らが約500人もの顧客から計31億円余りをだまし取るなどした、大規模な不祥事が発覚したばかり。菊池容疑者がその組織的な不正に関わっていたかは不明だが、同社の「数字がすべて」という風土が彼に影響を与えた可能性は否定できない。
本誌が、菊池容疑者が在籍していたかどうかプルデンシャル生命保険に確認したところ、「恐れ入りますが、社員・元社員の在籍確認についてはお答えしておりません」と回答した。
また、在籍時に知った個人情報を特殊詐欺に使った可能性について確認すると「これまでに特殊詐欺に弊社顧客の情報が利用されたという事実は把握しておりません」と答えた。
経済ジャーナリストはこう語る。
「一連の不祥事によって、プルデンシャル生命保険の実態が徐々に知られつつあります。ライフプランナー(LP)と呼ばれる営業マンの最大の特徴は、フルコミッション(完全歩合制)という過酷な給与体系にあります。顧客への接待からプレゼントまですべて自腹ですが、その分、契約を多く取れれば莫大なリターンがある。年収が億を超える営業マンもザラという世界です。しかしその結果、“カネさえ儲けられればいい”という思考に陥り、不正に手を出す社員が続出したというわけです。
菊池容疑者の動機はまだ不明ですが、こうした異常なほどの“拝金主義”に倫理観を歪められてしまったのかもしれませんね」
あまりに残念すぎる、かつてのエリート球児の末路である。
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