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金正恩が表明した「核実験停止」はアメリカへの命乞い

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.04.25 20:00 最終更新日:2018.04.25 20:00

金正恩が表明した「核実験停止」はアメリカへの命乞い

『写真・KCNA/UPI/AFLO』

 

 その列車の客室の出入り口と中には、軍人が配置されていたという。

 

<列車が出発するとき、スピーカーからこんな告知が流れてきた。『この列車の中では軍法が適用され、軍人の命令に従わねばならない』。とくに次の4つが強調された。『カーテンを絶対開けるな』『車窓の外を見るな』『目的地まで寝ること』『手洗いへ行くときは軍人を呼んで同行すること』……>

 

 かつて「1号列車」に乗車したことのある韓国在住の脱北者A氏の証言だ。A氏は北朝鮮の情報機関である朝鮮労働党統一戦線部出身。2000年に江原道元山にある金正日の招待所を列車で訪ねたときの体験だ。

 

 3月の金正恩朝鮮労働党委員長の “電撃訪中” にも「1号列車」が使われた。金日成、金正日、そして金正恩と、歴代最高指導者が利用してきた専用特別列車。その厳重な警戒ぶりを語るのは、冒頭のA氏を取材した「統一日報」論説委員の洪熒氏だ。

 

「もう1台の列車をダミーで先に走らせ、線路の安全を確認します。窓は防弾ガラス。人工衛星の追跡を逃れるために、車両には赤外線を吸収する特殊コーティングが施されています。12両のうち6両は最高指導者専用で、残りの6両に随行員が乗っている。最高指導者がどの車両に乗っているかわからないようにしているのです」

 

 ここまで過剰に警戒するのも当然だろう。米軍はいまも偵察衛星で24時間、金正恩の行動を監視しているという。初の外遊、初の列車移動で、金正恩はさぞビビっていたに違いない。訪中の目的も、じつは「命乞い」だった。

 

 北朝鮮が、核実験場の閉鎖と核実験の停止を表明した。
 4月27日におこなわれる韓国との南北首脳会談、5月末に予定されている米朝首脳会談を前に、大きな先手を打った形だ。これも、アメリカへの命乞いの一環なのは間違いない。

 

 トランプ大統領は、「北朝鮮は非核化に同意した。世界にとって素晴らしい」とツイッターで強調したが、アメリカが求める非核化と、北朝鮮が提示した非核化はまったく意味が違うと言うのは、元自衛艦隊司令官の香田洋二氏だ。

 

「アメリカは、北朝鮮に不可逆的で完全な核の放棄と検証を求めている。一方、北朝鮮が言う『朝鮮半島の非核化』とは、自分も非核化を目指すから、核保有国のアメリカも、朝鮮半島における核を放棄しろという意味です。

 

 これはつまり、米軍は朝鮮半島から撤退しろと言うに等しい。だが、アメリカは中国やロシアがいるから、朝鮮半島からは絶対に撤退しない。

 

 これでは合意に達するのは難しい。米朝会談は決裂する可能性が高いでしょう。いや結局、米朝会談は実現しない可能性がある」

 

 決裂のシナリオは、いまも水面下で動いているのだ。

 

(週刊FLASH 2018年4月17日号)

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