
2月26日の参議院本会議で答弁する高市早苗首相(写真・長谷川 新)
「これはまずい。外形的には安倍(晋三)元首相の森友学園事件と同じだ」と唸るのは、自民党の麻生派議員だ。
高市早苗首相が3月2日、自身のXアカウントに《名前のせいか、色々な誤解があるようですが、このトークンについては、私は全く存じ上げませんし、私の事務所側も、当該トークンがどのようなものなのかについて知らされておりません》と投稿をしたことが、SNSで波紋を呼んでいる。
「この暗号資産『SANAE TOKEN』は、格闘団体の『BreakingDown』のCOO・溝口勇児氏が率いるコミュニティ『NoBorder DAO』のプロジェクトとして、発行が告知されていました。新しいテクノロジーで民主主義をバックアップする『Japan is Back』プロジェクトの推進を目的に発行されるとして、コミュニティへの意見表明などの“貢献”で、トークンが付与されるということでした。2月25日の発行後、発行価格の0.1円に対し一時は40倍の高値がつきました」(政治担当記者)
ところが、すぐにトラブルが露呈することとなった。もともと高市首相と近しい人物として知られる、京都大学教授の藤井聡氏が、このトークンの関係者としてYouTube番組「NoBorder」で「溝口さんにも提案させていただいた」と語っていた。さらに溝口氏は、このトークンをめぐって「高市さんサイドとはコミュニケーションを取らせていただいている」と、大胆な発言もおこなっていた。だが、こうした“コミュニケーション”を高市首相自らが否定したことで、信頼性が揺らいでいるのだ。
高市首相の投稿後には、溝口氏が《ちょっと待ってて。関係者と話してるから。》とXで投稿。発行側も把握していないことがわかり、混乱に拍車がかかっている。
「その後、急浮上したのが、トークンの発行実務を請け負っていたという、株式会社neuの松井健氏です。高市首相の投稿がきっかけになったのか、《「SANAE TOKEN」に関する責任の所在について》と題した文章をXに投稿したのです。その中では《トークンの設計および発行に至るまでの一切の業務について、私が運営する株式会社neuが主体となって行い、その責任を負ってまいりました》と明かしています」(同前)
松井氏がトークンの責任者ということらしいが、そもそも、それまでトークンの関係者として名前があがっていなかったことなどから、疑問視されている状態だ。この松井氏とは何者なのだろうか。格闘技関係者が明かす。
「じつは松井氏は、溝口氏の格闘団体に参加経験もあるアマチュア格闘家で、最近は溝口氏のボディガード的な役割をしていた人物でした。ここ最近は、溝口氏につねにつき添っていることで、関係者には顔が知れていました。実際、2025年、安倍昭恵さんが、溝口氏らと靖国神社に参拝した様子をXで投稿しましたが、その写真にも写りこんでいました。
彼はもちろん、プログラマーなどではありません。その人物が突然『私にすべての責任がある』と表明しても、にわかには信じられません」(同前)
一方、不透明な事情は、高市首相サイドにも存在する。Xであくまで無関係だと主張する高市首相だが、じつは溝口氏の周辺以外で、トークンの宣伝に一役買っていたのが、高市首相が支部長を務める自民党奈良県第二選挙支部の公式応援団「チームサナエが日本を変える」だ。高市首相の“宣伝カー”である「Veanas号」を有し、2025年末に高市首相の関連グッズなどを販売していたのが、このチームである。
このチームは公式Xで、同コインについて、《いま、民間から力強いプロジェクトが立ち上がっています。(中略)コミュニティ提案により実現した『SANAE TOKEN』という新たなインセンティブ設計も注目されています》などと投稿。さらに、《チームサナエはこの取り組みに共感し、我々のVeanas号での活動と連携をして、共に日本の明るい未来を紡いでいきたいと思います》などと、今回問題となったトークン事業を把握していることを明らかにしていたのである。
つまり、高市首相が「存じ上げません」と訴える一方で、彼女の地元支部はトークンとの連携を喧伝していたわけだ。冒頭の議員がこう続けた。
「後援組織の投稿は、すでに削除されているようです。高市首相がトークンの存在をどこまで把握していたのかはわかりませんが、少なくとも、支部関係者は知っていたわけです。いずれにしても、溝口さんの動画での口ぶりからは、消費者が首相公認の暗号通貨だと勘違いしても、仕方がなかったと思います」(同前)
金融庁がすでに調査を開始しているなか、発行団体は「SANAE TOKEN」の名称を変更すると発表した。名前を変えただけでは、説明責任は果たせないはずだ。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







