沖縄県名護市辺野古沖で転覆し、引き揚げられる船「不屈」(写真・共同通信)
3月16日午前10時過ぎ、沖縄県名護市の辺野古の沖合で、研修旅行にきていた京都府の同志社国際高校の生徒らを乗せた小型船「不屈」と「平和丸」の2隻が転覆。女子高校生の武石知華さんと船長の金井創さんが亡くなった。
社会部記者が言う。
「生徒たちは高校の平和学習で現地を訪れていました。当時現場では波浪注意報が出されていました。2隻は普段は辺野古の工事に抗議する際に市民団体が使用している船で、船を運航する団体の説明では、突然高波が来て、まず金井船長が操舵していた『不屈』が転覆し、助けに向かった『平和丸』も転覆したそうです。
『不屈』には金井船長と生徒8人が乗船し、『平和丸』には乗務員2名と武石さん含む10人が乗っていました。生徒たちは全員、救命胴衣を着用していて、金井船長は着用していたかどうかは調査中のようです」
救命胴衣を着ていたにもかかわらず、武石さんはなぜ、亡くなってしまったのか。そして、船が転覆した原因は何だったのか。
日本水難救済会の遠山純司(とおやまあつし)理事長に聞いた。遠山氏は海上保安官として40年の経験を持つ。
「大きな波を受けて、瞬時に転覆したと思われます。船がひっくり返るほどの衝撃ですから、海にあまり慣れていないと思われる女子生徒さんが、精神的にショックを受けた可能性もありますし、船体のどこかに体が当たって、ケガをされたり、場合によっては意識を失ったりすることもあると思います。
そういうパニック状態にあったなら、たとえ救命胴衣を着ていたとしても、呼吸をしようとした際にたくさんの海水を飲み込み、それが肺に入って溺れてしまうということは十分あり得ると思います。
また、ひっくり返った際、甲板上にいた人が船の中に閉じ込められる可能性もあります。船長さんの場合はその可能性もあったのではないかと思います。操舵装置がある船の中心部にいたと思われるので、ひっくり返ったときに外に出られず、船の下に閉じ込められてしまったのではないか。その際にパニックになると、上下左右、自分がどういう状態にいるかというのがわからなくなってしまうこともあり、冷静に船の外に脱出することが難しくなってしまいます」
転覆した際の波の状況についてはこう推察する。
「原因は2つ考えられます。1つは、沖合の深い海域から波長の長いうねりが沿岸の浅瀬に入り、急激に波が高くなる『浅水効果(せんすいこうか)』という現象です。
もう1つは、リーフ(外礁)や岸辺にあたった波が跳ね返り、沖から押し寄せてくる後発の波(入射波)がぶつかって最大で通常の2倍くらいの大波になる現象です。沿岸部で大波が発生するのはこうしたことが原因です。局部的にリーフの際(きわ)で急に波が高くなった可能性があります。岸辺に近い所でも大きな波が急に起こり得るため、海上保安庁などのプロでも十分に注意が必要な海域なのです」(同前)
事実、同日午後5時過ぎ、事故後に周辺で調査活動を行っていた海上保安庁那覇海上保安部所属の小型船が転覆し、海上保安官6人が海に投げされたが全員救助されている。
また、今後の事故検証についてはこう話す。
「今回は、事前に波浪注意報が出ていたということで、出港のときは仮に穏やかであっても、そのうち時化(しけ)てくる可能性は十分に想定されていました。そういう状況において、たくさんの人を乗せて航行した点に関しては、今後検証されることになると思います」
尊い命が失われた痛ましい事故の検証が待たれる。
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