自民党内での派閥復活の兆しで対立がささやかれている高市早苗首相(左)と麻生太郎副総裁(写真・長谷川 新)
裏金問題に端を発し、麻生派を除いて解散した自民党の派閥だが、先の衆院選で66人もの新人議員を迎え入れた同党は、彼らを囲い込むべく、再びグループを結集しようとしているようなのだ。
「かつて最大派閥だった旧安倍派の萩生田光一幹事長代行は、国政復帰した議員ら20人ほどと2月末に会合を開いています。旧二階派も3月初頭に会合を開いており、再結集の動きと見られているんです」(政治担当記者)
だが、高市早苗首相にとって、この動きが“対麻生太郎・党副総裁”として働く可能性があるというのだ。政治ジャーナリストの有馬晴海氏は、党内情勢についてこう見る。
「日本独自の派閥制度には賛否が分かれるものの、これだけの大所帯となった自民党をまとめるのに派閥を復活させるというのは、理にかなってはいます。
なかでも最大級となっているのが、麻生派。衆院選を経て60人ほどに拡大しました。このあいだ麻生派の議員に聞いたら、『40代以下が20人もいるんですよ』と目を丸くしていましたね。それだけ若返りが進んだということですが、派閥の領袖・麻生太郎さんの後継がいないという弱点もあります。それでも『数は力』、党内での影響力はいまだに大きいでしょう」
では、これを高市首相はどう見ているだろうか。麻生副総裁に相談せず解散を決断したころから、首相と副総裁との関係性には溝ができているといわれているのだ。
高市首相は、前回の総裁選時に麻生最高顧問(当時)に頼み込んで助力をもらい、自民党総裁の座に就いたともいわれている。いわば高市政権誕生の立役者ではあるが、その麻生副総裁に黙って解散を決めたことで、両者の間には亀裂が入っているとも見られている。これに対抗すべく、高市首相も派閥を味方につける必要が出てきそうだ。
「もともと高市さんは『旧安倍派』とも呼ばれる清和会にいましたが、現在は無派閥。しかし、故・安倍晋三元首相と高市さんの考えが近いこともあり、彼女としては旧安倍派をもう一度、集結させ、自分の味方につけたいところでしょう。何しろ、反目してしまった麻生さんの派閥が勢力を拡大しています。これに対抗せねばなりません。
派閥解消のきっかけとなった『裏金問題』は、旧安倍派がもっとも強い逆風を受けました。前々回の衆院選で多くの“裏金議員”が落選したわけですが、先の選挙で復活したという清和会メンバーも多いです。そのため、『高市さんには恩がある』という議員も多く、高市さんとしては“復活議員”の助力に期待をかけていると思われます。
実際、この間に20人が旧安倍派に集まっています。かつて“安倍派5人衆”と呼ばれたうちの3人、萩生田さん、西村康稔(やすとし)さん、松野博一さんが旗振り役となって、この派閥を束ね始めているようです。萩生田幹事長代行に加え、新たに西村さんに選挙対策委員長、松野さんに組織運動本部長の職を与えている辺りも、旧安倍派結集の後押しとみられています」(同前)
こうしてくすぶる「高市vs.麻生」の、派閥対決の可能性。だが、彼女が向き合うのは麻生派だけではなさそうだ。自民党内の主要派閥、「宏池会」「二階派」にも動きが見られている。
「岸田文雄元首相が率いる宏池会ですが、解散して以降も“仲よしグループ”としての結束は、麻生派よりも強いくらい。岸田さんの下には、前回の総裁選に出馬した林芳正さんが所属しています。その意味では、高市さんの失脚を待つ立場にあります。次は林さんを総裁に据えて、岸田さんは院政を敷きたいと思っているのでは。
一方の二階派は、首領だった二階俊博氏が引退していますが、その後継に武田良太さんが入る形です。武田さんは“裏金落選”した後、前回の衆院選で当選し、復活しています。二階派という名前の派閥ではありますが、総裁候補の小林鷹之を擁し、結集していくとみています」(同前)
まさに群雄割拠といった感のある党内情勢だが、それでもやはり最大の対決構造は、高市首相と麻生副総裁になりそうだ。
「これらの主要派閥は、どこもみな反目状態です。これまでに言われているとおり、高市さんは無派閥で仲間が少ない。これでは、選挙では勝てても党内運営は難しいですよ。高市さんは“数の論理”で党内も掌握したいでしょう。
現状は、麻生さんと幹事長の鈴木俊一さんが党内を仕切っているわけですが、2人とも財務大臣経験者で、緊縮財政派です。高市さんは積極財政で、お金を回して景気をよくしたい。しかし、麻生さんたちに邪魔されて、やりたいことをやれない。仲間がいないからです。
この構造を崩すためには、旧安倍派の力を借りてでも、党内のイニシアチブを奪わなければならないと、高市さんが思っていても不思議ではありません」(同前)
麻生副総裁からの“自立”を図りたい高市首相の足がかりとなるのが、派閥復活なのかもしれない。
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