
ブランケットを使う高市早苗首相(写真・長谷川 新)
過去最多の議席を獲得した総選挙から1カ月半、高市早苗首相に相次いで問題が押し寄せている。
「3月18日の参院予算委員会では、現在持ち上がっている比例定数削減に関し、参政党の安藤裕幹事長から『時の権力者が有利になる制度変更は “独裁” につながる』と厳しい指摘を飛ばされました。実際、『数の力』を手に入れた高市さんの横暴ともとれる態度に、周囲は振り回されていますよ。
高市さんの支持率はいまだに高いが、それでも選挙時よりもガクっと落ちています。本人も焦りがあるのか、最近は “独裁” の兆候が見られることもあります」
こう語るのは、永田町関係者だ。これにはジャーナリストの鈴木哲夫氏も、「定数削減は大問題です。完全に数をバックに、比例、つまり中道の旧公明や少数政党を消滅させることにつながります」と怒りを隠せない。いま、高市首相の周辺で何が起きているのだろうか――。
「彼女が独断で決めたことと言えば、まずは衆議院解散でしょう」
ある自民党関係者はこう語る。
「急転直下の解散で、党内でもその判断を事前に知らされていた人はほとんどいなかったとされます。自民党を仕切る麻生太郎副総裁や鈴木俊一幹事長への根回しをしなかったため、2人は激怒したとも伝えられています。結果として大勝を収めたため怒りの矛は収まったとも見られますが、深い禍根を残したのは間違いありません」
この電撃解散を高市首相に助言したのが、今井尚哉内閣官房参与だといわれる。実際、首相も彼のことは気に入っていたようだ。社会構想大学院大学教授の北島純氏が語る。
「今井さんは経産省出身ですが、高市政権は “経産省内閣” ともいえるかもしれません。昨年11月に選定された、『重点投資対象17分野』ですが、たとえばここで提言されている『核融合』などの分野は、実現可能か専門家の間でも議論が分かれるところ。それでも投資しようというのですから、採算度外視のアイデア勝負で17分野を選定したのでしょう。
発想がいかにも経産省らしいと思いましたが、こうした政策にも今井さんのアイデアが大きく反映されているのではないかと思います。
ただ、高市さんはごく一部の人からのアドバイスで物事を決める傾向があると聞いています。彼女に近しい人に聞くと、官僚がいろいろ助言しても、基本的には『ふんふん』と聞いているだけで、意見がまったく反映されないこともあるということでした」
彼女のブレーンは多くはないものの、今井氏だけではないようだ。前出・永田町関係者が語る。
「2月には、政府が日本銀行審議委員の人事案を提案していますが、これも “高市人事” といえるでしょう。経済評論家の永濱利廣氏と近しい二人が推薦されています。永濱さんは高市さんの積極財政政策と考え方が近く、高市さんも彼のいうことには相当耳を貸しているようです」
だが、衆院選の大勝後、高市首相は蜜月だった今井氏も含め、異を唱える人物の “整理” をおこなっているという。事実、「選挙以降、今井氏が官邸にはあまり来なくなった」(自民党関係者)との証言もある。それ以外にも、多くの人間が首相の周囲から消えているという。
元朝日新聞政治部デスクの鮫島浩氏はこう語る。
「国会運営はかなり乱暴になっており、数の力で押し切る姿勢が前面に出ています。しかもそれが、どうも高市さん主導のようなんです。
2026年度予算案について、高市さんは年度内成立を掲げています。この無理筋なスケジュールに難色を示した梶山弘志国会対策委員長とは、特に疎遠になっていますよ。しかし、彼女が選挙で勝ちすぎてしまったため、誰も文句が言えない状況だと聞いています。
秘書官にしてもそうです。財務省からはエース級の官僚が任命されていますが、部屋にもなかなか入れてもらえず、高市さんに接触することすらままならないようです。
3月2日には、自民党職員から秘書官になった人物を事実上クビにしています。代わりに入れたのが、高市首相が総務相時代に秘書官だった総務相官僚。つまり、かつての “子飼い” を呼び戻したわけです。
自民党を仕切る麻生さん、鈴木さんと確執がある高市さんにとって、党職員の秘書官は信用ならない存在だったのではないでしょうか」
この交代させられた秘書官は、かつて高市首相の側近中の側近だったという。
「この方は高市さんとつき合いが長く、彼女が政調会長だった際にも支えた人物。周辺では『高市さんの精神安定剤』とも言われており、なぜ彼がクビになったのか訝しむ声も少なくありません。
直近では、カタログギフト問題もある種、“独裁” の余波といえるかもしれません。実務はすべて高市さんの弟が取り仕切ったとか。彼は官邸の人間でもなく、ましてや自民党の側近でもない。この騒動も、彼女の周囲に頼れる人間が少ないことを如実に表わしています」(前出・自民党関係者)
さらに連立を組む日本維新の会から首相補佐官に抜擢された、遠藤敬氏にも動きがあるようだ。政治部デスクが語る。
「衆院選までは高市首相が彼の進言に従うこともあったといいますが、選挙後は態度が一変しているようです。
現在審議中の2026年度予算案ですが、遠藤さんも当初は『予算の年度内成立はなかなか難しい』と助言していたといいます。しかし、高市さんは『いいからやってくれ』と聞く耳を持たなくなってしまったとか。
首相執務室に日常的に入ることができる官邸スタッフは、最近では木原稔官房長官、秘書官の中でも首席首相秘書官と広報担当秘書官の2名ぐらい。内閣官房幹部は『スケジュール管理が厳格で、かなり怖い』とこぼしていました」
“裸の王様” の側から誰もいなくなった。
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