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和歌山カレー事件「母・林眞須美死刑囚の無実」訴える長男のポジティブ思考「みんなでがんばっていこうって」

社会・政治 記事投稿日:2026.04.07 06:00 最終更新日:2026.04.07 06:00

和歌山カレー事件「母・林眞須美死刑囚の無実」訴える長男のポジティブ思考「みんなでがんばっていこうって」

家族で買い物を楽しんだ和歌山駅前の商店街を歩く林氏(長男)(写真・木村哲夫)

 

 1998年7月、和歌山市内での夏祭りで提供されたカレーに毒物が混入され、4人が死亡、60人以上が中毒症状を起こした「和歌山カレー事件」。犯人であるとして逮捕され、最高裁で死刑が確定した林眞須美死刑囚については、その強烈なキャラクターを記憶している方も多いだろう。

 

 ただし、2025年公開のドキュメンタリー映画『マミー』でも明らかにされているとおり、この事件は冤罪の可能性が非常に高い。にもかかわらず嫌疑がかけられ、長女は自死し、次女と三女は音信不通となるなど、家庭は崩壊した。そんななか、ひとりで尽力しているのが長男である(私は“林くん”と呼んでいるので、以後もそう表記させていただく)。母親の無実を訴えるべく、仕事の合間を利用して、Xでの投稿、トークイベント、講演会などを精力的に展開しているのだ。

 

 などと書くと、いかにも悲しげな人物を想像してしまうかもしれない。いや、間違いなく、悔しさや悲しさを内に秘めてはいるだろう。でも長身で長い髪が印象的な彼はそれを必要以上に強調しないし、基本的には明るくポジティブな関西人だ。

 

「まあ吉本で育ってるんで、そういうスタンスがいいなと。なにかあっても『みんなでがんばっていこう』っていう」

 

 この発言どおりで、話していても、相手に精神的な負担を与えてしまうような暗さや重たさがない。

 

 ただ、立場が立場であるだけにとても忙しそうだ。

 

「休みのたびに取材を受けたり、トークイベントや講演会などに呼ばれたりっていう感じです。それと月に1回くらい、母親と面会するために大阪拘置所まで行って。まあ生活自体は、荒れているって感じではなくて、そんな日常です」

 

 とはいえ事件のあった7月の慌ただしさは、いまでも変わらない。

 

「毎年7月になると、『あれから何年』っていう感じでメディアの人たちからガッと振り返り取材が入るっていう感じですね。なかなか(精神的に)来るんで、淡々とこなすというか」

 

 事件当時は小学校5年生だったが、事件を境に幸せな日常は失われ、児童養護施設でいじめを受けながら過ごした。そんななか、救いになったのが音楽だ。中学生のころ、施設の先輩から教えられたセックス・ピストルズに興味を持ち、こづかいを握りしめてCDショップに足を運んだが、店員に聞きたくても恥ずかしくて「セックス」と口に出せなかったそうだ。

 

 そんなかわいいエピソードを持つ彼も、2026年で39歳。大のロック好きであり、バンドでギターを弾いていた時期もある。活動に共感したミュージシャンや芸能人からの信頼も厚く、先日はロック・バンド、ブラフマンのTOSHI-LOWと熱く話をしたそうだ。

 

 そんな林くんは本業のトラックドライバーやトークイベントなどと並行しながら、クラブで2週間に1回ほど働いてもいる。私も一度伺ったが、おじさん御用達のやつではなく、DJがいるほうのクラブである。ステージでラッパーがパフォーマンスするなか、彼はカウンター内で淡々と働いていた。

 

「オーナーとは、10年くらい前に飲み屋で知り合ったんです。自分から、あの過去(カレー事件)のことを話すことはないわけじゃないですか。でも、その人には初めて言えたんです。そしたら受け入れてくれたって感じ。事件に関しても理解してくれて、『お前はなにも(悪いことは)やってないじゃん』って。『働くところがなかったら、うちに来たらいいよ』って言ってくれたのが最初だったですね。仲よくしてくれますし、楽しみも兼ねて働けてます」

 

 ところでこの日は、「〇時までしか時間がとれません」とお願いされていた。会ってから聞いてみたら、クラブのバイトがあるためだった。しかも某大物ラッパーのライブ当日だったようで、時間が来たら駅前で散会。「20代後半ぐらいからずっとバイク」だという彼は、「じゃあ」と片手を上げてあいさつすると、愛用のビッグスクーターで颯爽と去っていったのだった。

 

取材/文・印南敦史
いんなみあつし 作家・書評家。林家の長男と数年来の交流を持ち、著書『抗う練習』(2024年、フォレスト出版)では対談もおこなっている

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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