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岸田文雄元首相「再登板の布石か」と憶測も…自民党“派閥復活”気運のなか旧宏池会有志秘書会の研修会に登壇

社会・政治 記事投稿日:2026.05.16 13:20 最終更新日:2026.05.16 13:21

岸田文雄元首相「再登板の布石か」と憶測も…自民党“派閥復活”気運のなか旧宏池会有志秘書会の研修会に登壇

5月9日におこなわれた、旧宏池会有志秘書会の会場ホテルに入る岸田文雄元首相(写真・梅基展央)

 

「岸田さんは再登板するつもりなのか」

 

 2026年5月9〜10日の1泊2日で、山梨県のホテルハイランドリゾートホテル&スパなどで、旧宏池会(旧岸田派)有志秘書会の研修会が実施され、講師として岸田文雄元首相が招かれたことに対して、旧宏池会関係者は冒頭のように漏らした。

 

 この関係者は、2027年秋に予定されている自民党総裁選に、岸田氏が再出馬するのではないかといぶかしんでいるのだ。

 

 派閥の政治資金パーティの裏金問題をきっかけに、宏池会の会長で当時、首相だった岸田氏は2023年12月に派閥を離脱。2024年1月に派閥の解散を決定し、同年9月に総務省に政治団体「宏池政策研究会」の解散届を提出し、解散した。

 

 今回の研修会への参加を募る「研修会のご案内」の文書は、令和8年3月吉日の日付、旧宏池会有志秘書会代表幹事名と幹事一同名で、こう記されていた。

 

《通常国会冒頭の解散総選挙も自民党圧勝で終わり、特別国会召集から1ヵ月がたち、それぞれの事務所でも多少落ち着かれたころと存じます。つきましては、旧宏池会有志秘書会として、下記の要領にて岸田文雄元総理を講師にお招きして研修会を開催したいと存じます》

 

 日程は、9日午後に永田町の議員会館前をバスで出発し、17時からホテル内の会場で、講師の岸田氏による研修会、18時から懇親会。翌10日は、山中湖などの観光コース組と富士ゴルフコースでのゴルフ組に分かれるスケジュールとなっている。

 

「研修会とうたってはいますが、いわば慰安旅行みたいなものですね」(前出・旧宏池会関係者)

 

 この研修会については、参加費が1人1万円となっていたことから、5月11日発売の「週刊現代」が「激安研修会」と報じているが、本誌は9日と10日の研修会の一部を現地で取材している。

 

 9日、岸田氏が到着する1時間ほど前には、ホテルの外に出迎えの関係者がぞろぞろと出てきて、山梨県警の要人警護担当の私服警察官5、6名とSPなども加わった。厳戒態勢のなか、16時前に岸田氏が到着。研修会と懇親会を終えた岸田氏は、エレベーターでスイートルームのある客室最上階へとあがっていった。

 

 10日は、ゴルフ組は早朝から自家用車などで出発。観光組は、富士急バス八王子営業所の観光バスで山中湖などに向かい、遊覧船・白鳥の湖号に乗船。乗船したのはほぼ女性の秘書らで、チケットは各自で購入していた。

 

 秘書らが宿泊したホテルは、「ご案内」ではツインルームを2名で利用となっていた。JTBのサイトによれば、土曜日宿泊のツインルームは1部屋6万円ほどになっている。また、富士ゴルフコースの料金をサイトで確認すると、日曜祝日の場合プレーのみで2万1500円、当該ホテル1泊2食つきで5万4900円とあり、1万円ではとても足りない。さらには、研修会では会議室も使用しており、費用はさらにかかっている。足りない分はどこから補填されたのか。

 

 研修会の担当者に聞くと「参加者の積立金と今回の参加費で支払いました」と回答。そのほか、派閥の解散後も秘書の積み立ては継続していたのかなどの質問書を送ったが、「回答は差し控えます」とのことだった。派閥解散後も、秘書会の積立金は残っていたということなのだろうか。

 

 じつは、この研修会は4月中旬ころから、永田町で話題になっていた。自民党ベテラン秘書が言う。

 

「旧宏池会秘書会の研修旅行にもかかわらず、宏池会でナンバー2の座長を務めていた林芳正総務相が、この件を当初、知らされていなかったという話が出回ったのです。そのため、旧宏池会が“岸田派”と“林派”に割れたのではないかという憶測が流れました。また、研修会を呼びかけた有志秘書会の代表幹事は、宏池会が解散したときの代表かつ会計責任者のため、『〇〇さんが岸田さんを講師に呼ぶとは、どういう意味なのか』『“新岸田派”を立ち上げるつもりなのか。そのために1万円の参加費で仲間を釣っているのではないか』などと疑問を持つ旧宏池会の先生もいました。今回、利用したホテルもゴルフ場もバスも、富士急グループの経営ですから、多少は融通が利いたのではないでしょうか。宏池会に所属していた堀内詔子(のりこ)総務副大臣は、富士急グループ“中興の祖”と呼ばれた堀内光雄元自民党総務会長の長男・光一郎氏(現・富士急行社長)の妻で、政治家としては光雄氏の後継者ですからね」

 

 では、旧宏池会が“岸田派”と“林派”に割れているとは、どういうことなのか。前出の旧宏池会関係者が言う。

 

「2025年10月の総裁選は、旧宏池会では岸田氏や、側近の木原誠二元選対委員長と、岸田内閣で官房副長官を務めた村井英樹衆院議員らは、旧宏池会の林氏を支援せず、小泉進次郎防衛相を支援しました。林氏は、次回の総裁選に向け、地方行脚も含めて意欲的に仲間を増やす活動を続けている最中ですが、総裁選でできた溝が埋まっていないと考えている議員からは『岸田氏らは次回も林氏を支援しないのではないか』と疑う声が出ているのです。

 

 また、岸田氏は3月に自らが会長を務める『日本・イラン友好議連』の会合を開催し、4月初めにはフランスのマクロン大統領と都内で会談するなど、外交活動に精力的に動いています。そうした背景から、岸田氏がここにきて“色気”を出しているようにみえるというわけです。『そうでなければ、わざわざ有志秘書会の研修会というか、慰安旅行に講師として駆けつけるはずがない』という議員もいますね」

 

 政治アナリストの伊藤惇夫氏も、今回の研修会についてこう話す。

 

「岸田元首相復権に向けた、派閥復活の動きのひとつです。旧二階派では武田良二元総務相が派閥結成に向けて動き、それが気に入らない小林鷹之政調会長もグループを結成する動きですから、岸田元首相にすれば『このまま放置するわけにはいかない。動かなければ、旧宏池会は林芳正総務相の“林派”になってしまう。それはおもしろくない』という気持ちがあるのでしょう。

 

 岸田元首相は、『高市首相のあとは自分が』という思いは強いんです」

 

 本誌は、林芳正事務所にこの研修会について「当初、知らされていなかったのか。林事務所の秘書は参加しなかったのか」との質問書を送ったが、「回答は控えます」とのことだった。

 

 ただ、岸田氏と林氏との間に不協和音が生じている可能性について、前回の総裁選で林氏を支援した旧宏池会の中堅議員は本誌に「俺から見たら(岸田氏と林氏の)仲は悪くないと思うよ。岸田さんは、首相への返り咲きは『まったく考えていない』と周囲には言っている」と話した。

 

 政治部デスクは現在の旧宏池会の状況について、こう話す。

 

「2025年秋の総裁選で、岸田派内では岸田元首相に近い一派(木原誠二氏、村井英樹氏、小林史明氏、神田潤一氏)と、総裁選に立候補した林芳正氏の選対に集った陣営の間で大きな溝が生まれました。2026年2月の衆院選後には、木原氏と林氏がそれぞれ個別に、新人議員のリクルート活動をやっていました。しかしその際、岸田氏と林氏は2人で昼食をとりながら『互いに人を個別に集めよう。何か政局になったときに協力すればいい』と話し合ったと聞いています。研修会場となったホテルや富士ゴルフコースは、林グループに所属する堀内議員の一族の財団が大株主の、富士急行が所有しています。岸田派も存続当時は毎年、富士吉田市で議員研修会を開いていました。そこに岸田氏が行ったということは、当面は旧岸田派の緩ゆるやかなつながりを大切にしていく流れだと思います。ただ、木原氏らは小泉進次郎氏を首相にすることを考え、現在、高市官邸から干された非主流派生活に耐えている状況です」

 

 党内の派閥復活が活性化し始めたタイミングでの、旧宏池会有志秘書会の研修会。講師として招かれた岸田元首相の動きは波紋を呼びそうだ。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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