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首相支える「国力研究会」発足も流れる“人気あやかり”“消極参加”の空気に「やる意味ない」自民党内からも冷ややかな声…新たな“分断”の懸念も

社会・政治 記事投稿日:2026.05.23 14:20 最終更新日:2026.05.23 14:21

首相支える「国力研究会」発足も流れる“人気あやかり”“消極参加”の空気に「やる意味ない」自民党内からも冷ややかな声…新たな“分断”の懸念も

「国力研究会」の発足記念講演会に出席した(左から)麻生太郎自民党副総裁、加藤勝信党政治制度改革本部長、萩生田光一幹事長代行、小林鷹之政調会長(写真・吉田 豊)

 5月21日16時すぎ、東京・永田町の参議院議員会館1階の講堂では、多くのメディアが見守るなか、高市早苗首相(自民党総裁)を支える議員連盟「国力研究会」の発足記念講演会となる、ジョージ・エドワード・グラス駐日米国大使による講演会が開催された。

 

 国力研究会の発足をめぐっては「2027年秋におこなわれる、自民党総裁選をにらんだ動きのような気がするし、党内でもそうした見方が強い」(自民党ベテラン議員)とされ、事実上の“高市派”立ち上げともみられていた。そのため、何人の自民党国会議員が参加するのかが注目されていたが、事務局の発表によれば、自民党の衆参国会議員417人のうち、8割超の347人が入会。この日の議員本人の出席予定は233人、代理を含めると277人の出席予定となった。

 

 会場に一番乗りしたのは、神奈川県川崎市議を2期めで辞職した後、2026年2月の衆院選に出馬し、神奈川9区で初当選した新人の上原正裕衆院議員。会が始まる前に、一番乗りした理由などを聞くと「とくに理由はないです。ただ、冒頭部分しかいられないため、少し早めに来ただけです。新人ですから。国力研究会とはどういうものだろうと思い、来ました。期待はしています」と話した。新人議員同士で参加の申し合わせなどがあったのかについては「そうした申し合わせなどはないです」と回答した。

 

 その上原議員は、会合が始まる前の15時46分、自身のXに《#国力研究会 発足記念講演会》と、会場で配布された資料写真をポスト。SNS上での会の報告でも、ほかの議員に抜きんでる早さを見せつけた。

 

 会場の前方では、参加者に向かい合う形で、向かって左手にグラス大使をはじめとした駐日米国大使館関係者が座り、右手にはこの議連の実質的な主導役である麻生太郎自民党副総裁、その隣に加藤勝信党政治制度改革本部長、萩生田光一幹事長代行、小林鷹之政調会長、松山政司(まさじ)党参院議員会長、西村康稔(やすとし)選対委員長ら、発起人のメンバーが陣取った。

 

 発起人の重鎮たちが居並ぶ一方で、対照的だったのは最前列の席だ。

 

「2列め以降の席はほぼ満席でしたが、最前列の席には空席が目立っていました。空席のテーブルには《元内閣総理大臣 岸田文雄 先生》《総務大臣 林芳正 先生》の名札がテープで貼られていましたが、会場に姿を見せませんでした。

 

 最前列で目を引いたのは、隅っこのほうに座る下村博文氏くらい。会が始まってから『前方の席にも座ってください』と案内があり、丸川珠代氏と中山泰秀氏が並んで着席し、楽し気に話している姿も目につきました。下村氏は裏金問題で、2024年の衆院選で落選。丸川氏、中山氏もそれぞれ2024年の参院選、2021年の衆院選で落選していましたが、3人とも2026年の衆院選で“高市旋風”に乗り、議員復帰を果たしています。高市首相を“支える”というよりも、その人気に“あやかる”“すり寄る”会合のような印象を受けましたね」(会を取材した政治担当記者)

 

 会場に姿を見せなかった林総務相や、ともに旧宏池会を引っ張った岸田文雄元首相は当初、参加そのものを見送るのではないかともみられていた。5月7日に会の発足が報道された際、本誌は「麻生氏が総裁選に出馬したメンバーを集めているのですが、『林芳正だけは入れるな』と指示したようです。会合には、高市首相を次の総裁選で、“無投票再選”させるための土台作りという意味合いがあるようです」と、政治部デスクの見立てを報じていた。

 

 また、4月20日に政策グループ「総合安全保障研究会」を発足させた旧二階派の武田良太元総務相は、麻生氏と“犬猿の仲”といわれているため、参加しないという見方もあった。しかし、武田氏は5月14日に入会を表明。岸田氏、林氏も入会となっている。この結果に自民党関係者はこう話す。

 

「たしかに『まるで両院議員総会みたいだね』という声や『こんな会、やる意味はないよ』という声が、党内の議員から出ています。高市さんを応援する勉強会と言いながら、ポスト高市の争いについても、麻生さんが続けて自分が主流派として実権を握りたい、という思惑を議員らが感じ取っているからでしょうね。『仕方ない。とりあえず参加しておくか』と、消極的な姿勢の議員も多いようです。麻生さんと反目する武田さんや、次期総裁選に意欲満々の林さんが参加したことで、麻生さんの思惑は外れたような気がします。そもそも自民党議員として、高市政権を支えることは当たり前のことですし、林さんは閣僚ですからね。冷めた目で見ている議員は少なくないので、尻すぼみするような気がします」

 

 同議連の会長には加藤氏、幹事長に萩生田氏が、麻生氏は最高顧問に就任。発起人のひとりである中曽根弘文党憲法改正実現本部長の代役であいさつに立った萩生田氏は、「事前の報道で、いろいろ政局を期待する声もありましたけれど、まったくそういう会ではございません。しっかりとみんなでスクラム組んで、政権を支えながらがんばっていこうという会でございます。ならば両院議員総会でいいんじゃないかっていう先輩の声もありましたけど、両院議員総会ではなかなか勉強会って、できませんので」などと、政局絡みであることを否定。

 

 ときおり拍手が起こるものの、会合は淡々と進み、萩生田氏に続いては、会長に決まった加藤氏があいさつ。最後に「それでは、まさに今日は発足であります。みなさん、じゃあ団結してがんばってまいりましょう」と締め、拍手が起こった。

 

 そして、グラス大使の講演を同時通訳機を装着した議員らが聞き入り、予定の17時よりも早い16時38分に終了した。途中退席する議員や遅れて出席する議員もおり、“ゆるい”雰囲気の第1回会合となった。

 

 しかし、この会が思わぬ“火種”となりかねないと、前出の政治担当記者は指摘する。

 

「『なんであんな大政翼賛会みたいな会をやる必要があるのか。なんでそんなものに俺が入らなきゃいけないの』と批判した村上誠一郎前総務相や石破茂前首相など、議連に入らなかった議員も現時点で70名ほどいるわけです。そういった議員らを今後、冷遇するような事態になれば、党内の分断が起きかねず、議連そのものが崩壊する可能性もあります」

 

 国力研究会の発足は、自民党分断の始まりになってしまうのかーー。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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