いったんは中止が決まった米朝首脳会談。その後、トランプ大統領が、ツイッターで予定通り6月12日に会談する可能性に言及したことで、実際に開催されるかどうか、世界が注視している。
だが、実はその裏で、アメリカも北朝鮮も金儲けに必死のようだ。
北朝鮮は、地下核実験場を爆破する瞬間を海外メディアに取材させたわけだが、アメリカ、イギリス、ロシア、中国、韓国からの取材陣に対して、ビザ免除の見返りに1人1万ドルの参加費を徴収することになった。6カ国協議の構成メンバーでは、日本だけが除外された。
とはいえ、日本のメディアも1人100万円を超えるお金を要求されたとすれば、そんなにすんなりとは参加できなかったかも知れない。安物の映画セットのような建物を爆破する映像に、それだけの価値があるとはとても思えない。怖いもの見たさに付け入る北朝鮮の商売熱心さには恐れ入る。
一方、アメリカも米朝首脳会談を材料に、ホワイトハウスのギフトショップではトランプと金正恩の横顔をデザインした「記念コイン」を準備し、ネット販売を開始した。売り出した日にトランプ大統領が首脳会談の中止を宣言したため、25ドルから20ドルに値下げを決定。また、コインの購買をキャンセルしたい人たちには、全額返金することも発表。
しかし、そのことがかえって話題となり、「幻の米朝首脳会談の貴重な記念品」として、 かえって人気が沸騰している。もし、意図的に値段を吊り上げることを考えて、購入者の投機熱をあおったとすれば、ホワイトハウスもしたたかといえるだろう。(国際政治経済学者 浜田和幸)