“パチモン” が集結する「時光九八街」(広東省仏山市)
2026年5月、中国・北京に、店舗ロゴなどを日本の有名ラーメン店「一蘭」に似せた “パクり店” がオープンし、話題となった。だが、これは氷山の一角にすぎない。中国で日本の国民的人気キャラクター・ドラえもんを不正使用した店が乱立しているという。
「中国は長く社会主義国として、個人の権利や知的財産という概念を重視してきませんでした。物に対する所有権は理解されても、キャラクターやデザインといった『目に見えないもの』(知的財産)に権利があるという考え方は、社会に浸透しにくかったのです」
こう話すのは、中国の国家資格「法律コンサル士」を持ち、中国の著作権法に詳しい高橋孝治氏だ。高橋氏は、ここ2年ほど中国のSNS「小紅書」で拡散されているドラえもん「パクりスポット」を実際に訪ね歩いたという。その一部を紹介する。
まずは、浙江省麗水市の「糖果屋」だ。壁面に窓から顔を出すドラえもんが描かれ、タケコプターを装着した人形が立つ。
「『藤子・F・不二雄ミュージアムカフェ』(神奈川)のメニューにそっくりでした。本家にはドラえもんの横顔をデザインしたカレーがありますが、中国版はカレー部分が麻婆豆腐になっていました」(高橋氏、以下「」内も同じ)
貴州省貴陽市には、どら焼き店の「浅草銅羅焼(悦然時光店)」があった。価格は1個10元(約240円)からだ。
「中国で、どら焼きは和菓子というよりも『ドラえもんの好物』として認識されています。キッチンカーに見えますが、ナンバーがないので実店舗に近いですね」
浙江省杭州市の洋食店は、ドラえもんの中国語表記がそのまま店名になった「都来A夢/DORA A MON」。
「女性オーナーによると、本店は大連市にあり、広州は2店舗めとのことでした」
広東省仏山市の「時光九八街」は、観光バスが訪れる人気スポットで、ドラえもんの立像が20体ほど並んでいる。
「中国でも知的財産権の保護は強化され、北京や上海のような大都市では露骨なパクりはかなり少なくなっています。ただ、地方都市や観光地の一角には、今もこうした文化が残っている。ネット上でも非公式の商品は大量に流通していて、表通りから見えにくくなっただけなんです」
本誌はこの件について、ドラえもんの著作権を管理する「小学館集英社プロダクション」に見解を求めたが、期日までに回答はなかった。
高橋氏は「中国の人たちの多くは、自分たちが著作権侵害を犯しているという意識は薄い。『公式の店がないなら、自分たちで作るしかない』という単純な発想から生まれているにすぎない」と指摘する。
「パクりスポット」が乱立する状況に、藤子・F・不二雄先生も草葉の陰で泣いているに違いない。
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