イランが周辺国の米基地に攻撃(写真・アフロ)
アメリカとイランの軍事衝突は、もはや限定的な戦闘の域を超えつつある。
イラン国営通信(IRNA)によれば、21日、イランはバーレーン、クウェートに駐留するアメリカ軍施設を攻撃。さらにヨルダンやシリアの米軍関連施設にも弾道ミサイルを撃ち込んだと主張した。これが事実なら、中東各地に点在する米軍基地が一斉に攻撃対象となったことを意味する。イランのペゼシュキアン大統領は「現在はアメリカとの全面戦争の状態にある」と強気の姿勢を崩さない。
対するアメリカのトランプ大統領も黙ってはいない。20日、自身のSNSで、「イランがアメリカ兵を殺害するたび、何倍もの代償を支払わせる」と警告。双方とも一歩も引く気配はなく、中東情勢は“危険水域”へと突入している。
しかし、その一方で水面下では新たな脅威も生まれているようだ。イランの軍事組織「革命防衛隊」は貿易事務所などを隠れ蓑に海外に複数の拠点を持っているという。事務所のスタッフには民間人にカムフラージュした現役軍人が“スリーパー・セル”として、本国からの軍事作戦の指示を待っているというのだ。
防衛省の情報本部で情報分析官を務めた軍事評論家の西村金一(きんいち)氏もこう警鐘を鳴らす。
「イランが軍事攻撃を仕掛ければ、その100倍の報復を米軍から受けることになります。両脚を止めた打ち合いになれば物量に圧倒的な優位性がある米軍にかなわないことはイラン側も分かっています。標的は米国政府関係施設とアメリカ市民がいる施設とはいえ、関係国で起こすテロ攻撃は当然、イランの軍事作戦の選択肢として考えられる有効な手段と言えます」
米国の国務省は22日、HP上で世界的警戒(Worldwide Caution)を発令。「イランおよびイランを支援するグループは、海外にある米国の権益、あるいは世界中の米国および米国人に関連する場所(米国の企業やその他の機関を含む)を標的にする可能性がある」(編集部訳)と、アメリカ市民に対して警告をおこなっているのだ。
じつは、日本の警察庁も警戒を強めているという。大手紙の社会部記者がこう明かした。
「米国の警告後、日本の警察庁から都道府県警察あてに警戒指示が出ています。在日米軍基地、米国政府関係施設、さらに軍人や軍属を含むアメリカ人の立ち入りそうな施設が警戒対象です。じつは、ほぼ同じ内容の通達が2001年の米同時多発テロ事件後にも出されています」
イラン外務省のバガイ報道官は、20日、複数の仲介国から緊張緩和に向けた提案を受け取っていることを認めた。ロイター通信によれば、ある仲介国は「米イラン双方が10日間攻撃を停止し、その間に協議を再開する」という停戦案を提示しているという。しかし、その裏でテロ作戦が密かに進行している懸念は拭えない。
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