社会・政治社会・政治

「国民生活は何も考えてない」高市首相の “ほぼ全員留任” 人事に呆れ声…「総裁選」見すえ、キングメーカー麻生氏に屈した舞台裏

社会・政治 記事投稿日:2026.09.12 17:27 最終更新日:2026.09.12 17:27

「国民生活は何も考えてない」高市首相の “ほぼ全員留任” 人事に呆れ声…「総裁選」見すえ、キングメーカー麻生氏に屈した舞台裏

林芳正氏と高市早苗首相(写真・長谷川 新)

 

 2026年9月17日におこなわれると各紙に報じられている、高市早苗首相による党役員人事と内閣改造。いよいよその全貌が明らかになりつつある。

 

「まず党役員人事において一番重要な幹事長ポストは、鈴木俊一氏の続投で決まりそうです。また、副総裁の麻生太郎氏も変わりません。小林鷹之政調会長も続投です。主要な大臣ポストについても、木原稔官房長官や片山さつき財務相をはじめ、茂木敏充外相や小泉進次郎防衛相など、ほとんどが続投となる見込みです」(政治部記者)

 

 復興相と防災担当相、デジタル相と人工知能戦略担当相を兼務させるなど、乱立するポストを整理すると報じられているものの、“目玉” がないのは間違いない。政治評論家の有馬晴海氏が、こう指摘する。

 

「1カ月ほど前に組閣を予想しましたが、だいたいそのとおりの展開になっていますね。高市さんは萩生田光一さんを買っていて、幹事長に据えたい気持ちはありました。約100人いた旧安倍派は裏金問題でバラバラになりましたが、いまはまたまとまりつつあります。2027年9月に迎える総裁選のことを考えると、萩生田さんを押さえておけば旧安倍派が応援してくれるので、どこかで使いたい思いはあったはずですよ。

 

 しかし、8月25日に麻生さんと会談した結果、麻生さんから『俺と鈴木が続投する』と言われたのでしょう。自民党内には、事実上、麻生派の派閥しか残っていないわけですから、麻生派の支援を前提に考えると、高市さんとしても麻生さんの意向を受け入れざるをえず、萩生田さんの幹事長起用や入閣は断念したということです。

 

 それに、萩生田氏を入閣させて裏金問題が再燃すれば、高市首相自身が窮地に追い込まれるリスクがありました。そのため、選対委員長に西村康稔氏、組織委員長に松野博一氏という旧安倍派を配し、萩生田氏は幹事長代行として実質的に裏で仕切れる形を作ったわけです。将来的に麻生氏が退いたあと、自民党を仕切る立場になることを見越した人事であり、『麻生さんが退くと言わない限り、党役員は変わらない』という前提の動きだということですね」

 

 若手のホープである小林鷹之政調会長については、高市首相には「1年やって大臣へ」という意向があったとされるが、留任となった。

 

「小林さんについて、僕は内閣に入るかもしれないと思っていましたが、麻生さんが小林さんを気に入っているんですよね。前回の総裁選でも、麻生派の若手が自主投票に近い形で小林さんを応援していました。麻生さんとしては小林さんを自分の懐に入れて政調会長に据え、大臣をやるより政調会長として政策全般を網羅したほうがいいと判断したのでしょう」(有馬氏)

 

 いずれにせよ、今回の人事は高市首相の意向ではなく、そのほとんどが麻生氏の “意のまま” というわけだ。政治アナリストの伊藤惇夫氏は、今回の「非改造内閣」となった背景を、こう分析する。

 

「高市氏としては、もっと自分の色を強めたかったと思うのですが、叶いませんでしたね。ひとつは日米間の金融問題をめぐる “摩擦” です。米国のベッセント財務長官は高市首相のリフレ政策や度重なる円安進行についてかなり憤っています。高市氏はゴマをすって媚びることしか知りませんから、金融全般についてどうしていいかわかんなくなったんだと思います。

 

 もうひとつは、高市人気が当初に比べれば落ちてきていることです。消費減税問題でも、党内で堂々と造反が出ている状態です。そうすると、来年の総裁選で再選を目指すには、やはり麻生氏に頼っているいまの体制を強化・維持するのがいいということになります。下手な人事をおこなってリスクを犯すわけにはいかないということです」

 

 とはいえ、いまのままで高市首相の権力基盤が盤石なわけではない。元朝日新聞政治部デスクの鮫島浩氏は、今後の権力闘争の最大の焦点は「林芳正氏の去就」にあると語る。

 

「高市さんにとってのベストシナリオは、1年後の総裁選における『無投票再選』です。ライバルである茂木さん、林さん、小渕優子さん、小泉進次郎さんらを全員内閣に取り込んでしまえば、現職閣僚は総理に反旗を翻せないという自民党の伝統により、誰も出馬できなくなります。かつて石破さんが安倍内閣に取り込まれて出馬できなかったのと同じ構図です。

 

 これに対し、党内で唯一派閥を持ち、総裁選においてこそ存在意義を発揮する麻生さんにとって、無投票はもっとも困る展開です。ライバル候補が出馬し、苦戦する高市さんが『助けてください』と泣きついてきて初めて、麻生さんの価値が高まり、党内での支配力が維持できるからです。

 

 では、林氏はどうするのか。高市首相は総務相のまま閣内に囲い込んでおきたい意向ですが、来年の総裁選出馬を公言する林氏の側近からは『高市さんの言いなりになるな、出馬するなら大臣をやめて勝負しろ』と進言が出ています。林氏本人は悩みどころでしょう。

 

 12日には林氏が留任の意向を示しましたから、“高市首相の勝ち” で無投票再選が大きく近づきました。もし無役になって閣外へ放り出されれば、間違いなく総裁選に出馬するでしょうから、“麻生氏の勝ち” となったところですが。いずれにせよ、“キングメーカー” 麻生氏の絶妙な手腕はいまも健在というわけです」

 

 また、留任が決まっている片山さつき氏との関係にも暗雲が立ち込めている。

 

「片山氏はすでに『ポスト高市』を見据え、全国各地に自身の後援会組織を作り始めています。年齢的な焦りもあり、高市首相に何かあれば、いつでも自分がスタンバイできるという動きを見せており、今回の留任でさらに自信を深めているはずです。高市首相もその動きに猜疑心を持ち、一部報道の漏洩などもあって、2人の間はギクシャクしています。それでも留任となったのは、秋には消費減税の国会審議が控えており、実務上片山氏を手放すことができなかったということです。

 

 全員留任でメディアの見出しも作れないなか、手足が縛られた高市首相がカラーを出すには、“女性登用” ぐらいしか残されていません。野田聖子氏や稲田朋美氏、上川陽子氏らはリベラル色が強いため使いづらく、留任する片山氏・小野田(紀美)氏の2人に加えて適当なポストで新たに3人を入閣させ、初の女性総理である高市氏を含めて『過去最多の6名』とすることぐらいしか売りがないですよ」

 

 まさにキングメーカーの思惑どおり。麻生氏の高笑いが聞こえてきそうな今回の内閣改造について、前出・伊藤氏は、その本質をこう看破する。

 

「高市首相も、麻生氏も党内の政治力学しか見ていないということですよ。国民生活のことは何も考えてないんです。高市首相は、トランプ大統領に媚びるためにぴょんぴょん飛び跳ねて話題になりましたよね。あの人は自分の政権さえ維持できればなんでもいい人なんでしょう」

 

 身勝手な権力闘争が、国民の目にどう映るのか。早く気がついてほしいものだ。

12

出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

社会・政治一覧をもっと見る

今、あなたにおすすめの記事

関連キーワードの記事を探す